山田洋次監督、日本映画界に警鐘「元気じゃない」「かなり沈んでいる」
2021年8月5日 20:15

松竹映画100周年記念作品として、原田マハ氏の小説を映画化した「キネマの神様」の公開記念舞台挨拶が8月5日、東京・新宿ピカデリーで行われ、主演を務めた菅田将暉、共演する野田洋次郎、北川景子、宮本信子、山田洋次監督が出席した。
菅田とともにダブル主演を務める予定だった志村けんさんの急逝と、その遺志を引き継いだ沢田研二の代役出演、緊急事態宣言による撮影の長期中断、2度の公開延期とさまざまな出来事を乗り越えた本作。映画監督になる夢を追いかけ、挫折を味わうも映画を愛し続ける主人公ゴウ(現在:沢田 / 過去:菅田)と、彼を取り巻く人々の青春と晩年の軌跡が描かれる。

メガホンをとった山田監督は「このコロナ騒ぎで、映画や演劇、音楽は劇場に人が入れなくなっている。僕たちにとっても大問題で、必死の思いでの興行なんですよね」と強い決意を示すと同時に、「かつて日本映画は世界中をびっくりさせていた」と青春時代を回想。「今の日本映画はそんなに元気じゃないと思うし、かなり沈んでいる。なぜか? どうすればいいのか? 映画界だけではなく、日本の政治の上でも問題じゃないかと思う」と警鐘を鳴らし、「映画館に足を運ぶのも躊躇する時代だが、それでも映画館は比較的安全な場所。配信じゃなくて、テレビじゃなくて、映画館のスクリーンで、正確な映像、正確な音響で楽しんでもらえればと日本の映画ファンにお願いしたい」と“キネマ”への熱い思いとともに訴えかけた。
また、劇中で沢田演じるゴウが「東村山音頭」を酔っぱらって歌唱するシーンに触れて「オマージュになるだろうし、今は亡き志村けんを思い出し、彼に捧げるという思いで歌ってもらうと、これがハマっていましたね。いい判断だったと思っています」と経緯を説明。代役を引き受けた沢田に対しては「相当な覚悟だったんだろうなと、改めて感じましたね」と感謝を示した。

主演の菅田は、沢田が演技する現場を「1度見学させていただいた」といい、「すごく集中していて、誰も近づけないような雰囲気だった。その姿を見ただけで、作品に臨む思いを感じ取れた」と明かし、「同じ人物を演じられたこと、すごく光栄です」と最敬礼。「いろんなことがあった分、ひとつの作品に携われた時間も今までで最長。いっぱい愛でることができた」と強い思い入れを示し、「未来を生きる上で、昔のことを知るのは大切なこと。この映画を通して、今の仕事や映画というものが、これだけカッコ良くて……、自分のしんどい日々にも誇りを持てるようになりました」としみじみ語っていた。
「キネマの神様」は、8月6日に全国347スクリーンで公開。
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