米放送局が22年のゴールデングローブ賞授賞式中継放送を見送り
2021年5月11日 19:00
米NBCが2022年のゴールデングローブ賞授賞式中継の放送を見送ると発表した。ゴールデングローブ賞授賞式は、アカデミー賞の前哨戦のなかでもっとも注目される映画とテレビドラマの賞として知られている。今年はリモート中継のため全米視聴者数が542万人と激減したものの、その前年は1830万人と映画賞中継ではアカデミー賞授賞式中継に次ぐ視聴者数を誇る。
しかし、2月28日(現地時間)に行われたゴールデングローブ賞授賞式の直前、米ロサンゼルス・タイムズ紙がゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に関する暴露記事を掲載。会員87人(当時)に対し、黒人会員がひとりも存在しないことを報じた。この記事をきっかけに、多様性、包括性を推し進めるハリウッドは、懇意にしていたHFPAとの関係を見直すことになった。大物セレブなどの取材対応を担当するパブリシティ会社100社は連名で、HFPAに抜本的な改革を要求。具体的な改革案が提示されるまで、HFPA主催の記者会見にはタレントを出席させないと宣言した。
これを受け、HFPAは年内に会員数を最低100人まで増やし、13%を黒人ジャーナリストにすると発表。さらに、ダイバーシティのコンサルタントと外部の法律事務所の協力を仰ぎ、改革案を策定してきた。そして5月6日(現地時間)、HFPAの会員は、放送パートナーである米NBCや製作会社ディック・クラーク・プロダクションと共同で作り上げた改革案を賛成多数で可決。南カリフォルニア在住という入会条件を撤廃し、会員数を最低50%増加。外部からCEOや役員を登用し、透明化を推進。また、ダイバーシティの専門家を起用するなど抜本的な内容となっていたものの、「今後18カ月間をかけて履行する」としていたため、改革のペースが遅すぎるとの批判が相次いだ。その結果、Netflixやアマゾンがパブリシティ会社100社に賛同し、HFPAの取材拒否を表明することになった。
こうした事態を受けて、NBCは22年のゴールデングローブ賞授賞式の放送を見送ると発表。「私たちは、HFPAが意義のある改革に取り組んでいると信じています。ですが、このような大規模な改革には時間と労力が必要であり、HFPAが正しく行うためには時間が必要だと強く感じています」と、声明を発表。「HFPAが計画を遂行し、23年1月にゴールデングローブ賞授賞式中継の放送ができるようになることを期待しています」とコメントした。