【「鬼滅の刃」2本立てインタビュー】花江夏樹が語る、炭治郎の優しさと強さ 声優として目指すのは“水柱”
2020年10月15日 20:00
2019年4月から放送され、幅広い世代から人気を博しているテレビアニメ「鬼滅の刃」。その続編となる「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が10月16日に公開されることをうけ、キャストインタビューを2本立てでお届け! 第1弾は主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)役の花江夏樹。劇場版の炭治郎の印象、これまで炭治郎から学んだこと、アフレコで圧倒された共演陣の演技とは? さらに、「現場において、自身は“何柱”だと思うか」と問うと、声優を志した頃から目指しているという“声優としての在り方”を教えてくれた。(取材・文・写真/編集部)
本シリーズは、「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)に16年2月~20年5月に連載された、吾峠呼世晴氏の人気漫画が原作。鬼に家族を殺された主人公・炭治郎が、鬼に変ぼうしてしまった妹・禰豆子(CV:鬼頭明里 ※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」)を人間に戻すため、政府非公式の組織「鬼殺隊」の一員として戦う姿を描く。劇場版は、テレビシリーズの最終話「新たなる任務」から連なるストーリー。次なる任務の舞台、無限列車に到着した炭治郎、禰豆子、善逸(CV:下野紘)、伊之助(CV:松岡禎丞)が、“炎柱”煉獄杏寿郎(CV:日野聡 ※煉獄の「煉」は「火+東」)とともに新たな鬼に立ち向かう。
劇場版で見える、炭治郎の成長と強い覚悟
戦いの一瞬一瞬に「緊迫感がある」
プレッシャーはありませんでした。ただストーリーにおいては、今回は今までよりも強い敵が登場しますし、炭治郎たちにとっては任務中いつどのタイミングで命を失うかわからない、一瞬一瞬に「もしかしたら最後になるかもしれない」という緊迫感があるので、そこは大切にしようと演じました。
今回は今まで以上に強い敵なので、炭治郎は強い覚悟で任務に挑んでいると思います。柱である煉獄さんと共闘する任務も初めてなので、柱の強さを目の当たりにしたことで、より自分に足りないものが見えてきて、「がんばらなきゃ」「柱みたいになりたい」という気持ちも強かったのではないでしょうか。
またテレビシリーズでは、戦っていない間に“修業”を積んでいる描写もあったので、突然強くなったのではない、炭治郎の成長を感じています。精神的な面でも、より冷静な判断ができるようになってきていると思います。
「ギャグシーンはどこまでキャラクターを崩したらいいのか」という点は難しかったです。例えば、笑える場面でも「炭治郎は、真面目な気持ちで話している」というバランスの面白さがあるので、その塩梅というか。顔も思いきりギャグになっているところは思いきりくずしていいけど、真顔で話しているところは、面白さを狙わずに素直な気持ちで言おうとか。そういった部分を心がけるのは大変でした。
“共闘”した日野聡の熱さ、松岡禎丞の気迫
炭治郎、伊之助、善逸の関係はどう変わった?
煉獄役の日野(聡)さんですね。煉獄さんは、普段は声が大きくて、どこを見ているのかわからない、ちょっと不思議な感じがあります。でも柱としての強さ、実力があり、とても頼りになる存在。ついていきたいと思わされるキャラクターです。そういったところが日野さんとマッチしているというか。言葉がストレートに心に伝わってくるようなお芝居でした。そして、戦っている時の熱さに圧倒されました。
また、(伊之助役の)松岡さんの全力のお芝居は、すさまじい気迫で、ひりひりと伝わってくるものがありました。一緒に戦っていて頼もしかったです。
2人とも印象が悪い状態から関係がはじまっていますが、一緒に任務をこなしていく、乗り越えていくうちに関係性はよくなったと思います。伊之助は人のやさしさに触れ、人間関係においても思いやりを持てるようになってきました。善逸も、禰豆子のためとは言いつつも、炭治郎たちのことも考えているし、臆病だけど鬼殺隊の責務をまっとうしようとしています。それぞれに、すごく変化していると思います。
魘夢は、倒すのが大変そうだなと思いました。(魘夢役の)平川(大輔)さんのお芝居は、夢見心地でふわふわした感じ、圧をかけるわけでもなく、大声を出すわけでもなく、優しい子守唄みたいだったので、それが逆に怖いというか。ゾクゾクする怖さがありますね。
“柱”について――
声優・花江夏樹が目指すのは“水柱”
水柱ですね。水のように、どういう形にもなれる、その現場ごとに求められているポジションにすっと入れるような。声優として、常日ごろそんな人になりたいと思っているんです。
はい。ずっと思っています。
下野さんは、やっぱりカラアゲ柱ですね。カラアゲニストなんで。松岡さんはなんでしょう……ハンバーグ柱ですかね。ハンバーグをすごくうまく作れるんです(笑)。鬼頭ちゃんはSNS柱ですね。かなり現代っ子なので(笑)。
煉獄さんか宇髄(うずい)さんですね。煉獄さんはやっぱり頼りになる。面倒をちゃんとみてくれそうな感じがするし、かっこいい。宇髄さんは、普段は派手だ派手だと言ってますが、人間としてすごく好きなんです。
「鬼滅の刃」に詰まっているもの
原作を踏襲した魅力と、アニメならではの表現
もちろん原作ありきですが、人を思いやる気持ち、くじけそうな時に背中を押してくれる言葉、「自分が頑張るための原動力ってなんだろう」ということを感じる作品だと思います。そして「善悪ってなんだろう」ということ。人だから、鬼だからというだけで、良い悪いが決まるわけではなく、分け隔てなく、寄り添ってあげられる、だめなことはだめと言ってあげられる。炭治郎にはそういった優しさとかっこよさがあります。
そういった要素が、アニメになって、音楽も声も入って、ufotableさんがめちゃめちゃ豪華にきれいに描いてくださったことで、原作の面白さがより際立ち、魅力的になっていると思います。
テレビシリーズも「劇場で見たい」と思わされるくらいクオリティが高かったので、やっと劇場で見れるという感動があると思います。大迫力のスクリーン、音響も良いと思うので、これまで以上に「鬼滅の刃」の世界観に没頭できると思います。ぜひいろんな年代の方に見ていただきたいです。
Amazonで関連商品を見る
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。