「ソワレ」外山文治監督、豊原功補&小泉今日子にとって“映画”とは?
2020年8月26日 22:00

[映画.com ニュース] 豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らが立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の初プロデュース作品「ソワレ」が、8月28日から全国で公開される。村上虹郎、芋生悠が生命力あふれる演技を披露した今作の“仕掛け人”ともいえる外山監督、豊原、小泉に、自身にとっていま、映画がどのような存在になっているのかを聞いた。
同作は、和歌山県の名所・道成寺にまつわる「安珍清姫伝説」を織りこんだオリジナル作品で、人生の主人公になることがかなわなかった若い男女の切ない逃避行を描いたドラマ。逃走劇はポピュラーな題材でもあるため、既視感にとらわれることがあるが、今作では若い村上と芋生の躍動感が、それを取り払うことに成功している。

外山監督との出会いがきっかけとなり、豊原と小泉は新世界合同会社を立ち上げたという背景からも読み取れるが、3人の映画への思い入れはどこまでも深く、そして熱い。とりわけ外山監督はこれまで、製作・宣伝・配給まで全て自ら手掛けてきただけに、ふたりへの感謝の念は話しぶりからも伝わってくる。
「本当にありがたいです。なんでひとりでやってきたかというと、今の映画業界と自分のやりたいことはどうも違ったんですね。潮流に乗れない。でも映画はやりたい。ならば自分でやるしかない。おふたりは映画界、テレビ界のトップにおられる方なので、自分のような末端の映像作家とは違うと思っていた。でも映画業界に対する思い、もっといろんな種類の作品があってもいいんじゃないかということを、自分とは違う場所から感じ、疑問に思い、何か変えたいと思っていたとうかがって……、救いですよね。そういう人たちがいてくださったということが、本当に嬉しいです」

そんな思いがあるからこそ、映画への愛情を言葉にすると、補足説明など不要なものとなる。
「永遠の課題ですよね。映画って、特別なんですよ。映画じゃなかったら、こんなに貧乏しないよって思う(笑)。もちろん生活のため、仕事は仕事なんだけど、そうじゃない瞬間があって、まったく嘘をつけないんです。映画って特別だから、納得できないのに進めない。僕の中ではまだ特別なものであり続けている。映画というコンテンツは、いまだにキラキラしたものです」
この言葉に呼応するかのように、今作では製作に回り裏方に徹したふたりからも、こだわりにあふれた思いを吐露してくれた。

小泉「私にとっては、時代とか瞬間を記録、記憶するもの……かな。子どもの頃に父に連れられて寅さんを見た記憶、いまだに鮮明に残っています。俳優としても、10代の頃の私の記憶がそこにある。今回は、初めて製作側として参加させてもらった映画として記憶、記録になっていく。私にとってだけじゃなく、全ての人にとって記憶、自分史の記録になりえるものなんだろうという気がしています」
豊原「愛情の対象でもあるし、憎しみの対象でもある。ずっとくっついて回る、天使と悪魔。優しいときもあるけど、どれだけ泣いたか分からない。酷い仕打ちをすることがあるんですよ。でも、たまに優しいから厄介。こうして取材を通して、映画に対する気持ちがこんなにも深かったんだと再認識することができましたね」
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