若き僧侶の苦悩、高僧との対話――空族・富田克也最新作「典座 TENZO」予告公開
2019年9月4日 09:00

[映画.com ニュース]第72回カンヌ国際映画祭批評家週間「特別招待部門」に選出された空族・富田克也の最新作「典座 TENZO」のメインビジュアルと予告編が、このほどお披露目された。
映画は、富田監督が全国曹洞宗青年会から依頼を受け、道元禅師が遺した「典座教訓」と福島と山梨に生きる2人の若き僧侶の苦悩を軸に、 3・11以降の日本における仏教の意義、そして信仰とは何かを探求した作品。10年前、本山での修行を共にした兄弟子の隆行(リュウギョウ)と弟弟子の智賢(チケン)は福島と山梨のそれぞれの寺に戻る。智賢は、住職である父と、母、妻、そして重度の食物アレルギーを抱える3歳の息子と共に暮らしている。一方の兄弟子・隆行は福島県沿岸部にあったかつての寺も、家族も檀家も、すべてを津波によって流されてしまい、今では瓦礫撤去の作業員として、ひとり仮設住宅に住みながら本堂再建を諦めきれずにいた。
出演は、全国曹洞宗青年会の実際の僧侶たち。富田監督が「今、一番話を聞いてみたい曹洞宗の高僧はいますか?」と僧侶たちに尋ねたところ、名前が挙がったのが青山俊董だ。青山と智賢の対話が映画の随所に挿入されており、予告編の冒頭は、青山の「私自身がこの命を誰にも差し上げていない。その私が一日生きるだけにどれだけの命を頂戴しているかわかりません」という言葉からスタートする。
その後、アレルギーで倒れた息子を抱きかかえて病院へ急ぎ、日々の職務に疲れた様子をみせる智賢、津波によってなぎ倒された墓石の前で読経する隆行を活写。また「一時はお寺を継ぐということも、家に帰ることもやめてしまった」と告白する智賢に対して、青山が「結構ですね。反発されて結構だと思います」と動じずに答える姿が印象的だ。
メインビジュアルは、法衣を着た智賢、作業着で手を合わせる隆行、静かに微笑んでいる青山の姿をとらえたもの。「何の為の信仰か? 誰の為に祈るのか?」というキャッチコピーが使用されている。
「典座 TENZO」は10月4日から、アップリンク吉祥寺・渋谷ほか全国順次公開。
(C)空族
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