ショートフィルム専門オンラインシアターがオープン “人生”を潤す設計思想を聞く
2018年2月15日 18:00

[映画.com ニュース] 神奈川・みなとみらいのショートフィルム専門館「ブリリア ショートショート シアター」を運営していたビジュアルボイス社が、2月14日から「ブリリア ショートショート シアター オンライン」(以下オンラインシアター、https://sst-online.jp/)をスタートさせた。会員登録さえすれば、世界各国から選りすぐられたショートフィルムを、オンライン上で無料視聴することが出来るサービスだ。
米アカデミー賞公認の短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)」と連動する同社のオンラインシアターは、Amazonプライム・ビデオやNetflixと同じように、PC、スマートフォン、タブレットなどでコンテンツを見ることができる。2週間に1本の頻度で新作が追加されていき、常時6本以上が視聴可能な体制を整えている。ローンチに際しては10本がセレクトされており、ベネディクト・カンバーバッチ主演「二人(Inseparable)」やマーティン・フリーマン主演「着信履歴(Call Register)」など、海外の人気俳優が出演した作品も多い。さらに映像視聴の“シアター”と、インタビューなどの記事を紹介する“マガジン”を2本の柱に据え、“シネマティックなライフスタイル”を提案することがコンセプトだ。
2008年のオープン以来、根強い人気を誇ってきたみなとみらいの劇場は、建物を所有する「東京建物」との10年契約が終了することを機に、惜しまれつつも閉館が決まった。新たな転換点において、リアルな劇場ではなく、オンラインへと舵を切った理由はなんだろうか。ビジュアルボイス社代表で俳優の別所哲也氏は、「映画祭(SSFF&ASIA)期間以外にもショートフィルムを見られる場、発表できる場を作りたい、という思いはリアルの劇場のときから変わっていません。その思いと、現代の『見る』スタイルを考えた時に、全国の人がそれぞれの時間のなかで、自分に合う形でショートフィルムを見られるようにすることで、ショートフィルムが『映画』であると同時に、新たな、また異なる存在として浸透していくのではないかと思いました」と可能性を見出したことを明かす。
オンラインシアターのメインターゲットは「20~30代のビジネスパーソン」。主幹を担うビジュアルボイス社Webマネージャー・大竹悠介氏は、「毎日を忙しく働いている方々に、仕事終わりにリラックスし、プライベートに切り替えるために利用してもらう。それが根幹のコンセプトです」といい、「ショートフィルムは5~20分。通勤時や半身浴の最中、お風呂上がり、寝る前など、ちょっとした隙間時間に、スマホやタブレットで楽しんでもらえればと思っています」と思いを込めた。
また、別所氏いわく「ショートフィルムは心のサプリメント」。多種多彩なショートフィルムのなかから、日々ストレスにさらされ磨耗していく心を満たす作品を見つけて欲しい。オンラインシアターは、そんな思いのもとデザインされている。大竹氏は「『現代人は自分の時間を生きていない』。自分のための時間を、皆さんは持っているのか、そんな問いが自分のなかにあります。そう考えると、映画を見ている時間は、1人の時間を得られると思うんです。誰かのためでなく、自分のために映画を見ている。そういう時間が日常のなかにちょっとでもあることは、良いことだとも思います。だからこそ、日常の隙間に、自分が自分になれる時間を持つ、そのための手段としてショートフィルムの価値はあると思っています」と、その魅力を語る。
そして、無料のオンラインシアターからリアルの劇場やイベントに誘導することで、“映画業界全体の利益”を目指しているという。大竹氏は「ほかにもオンラインの配信サイトは存在しますが、私たちは他サイトや映画館の競合ではありません。ユーザーにショートフィルムを見てもらい、いろんな映画体験を知ってもらい、映画の世界に入ってきてもらおうとしています。そうすると、業界全体の母数が増えていきますよね。オンラインシアターから魅力を知った人が、ミニシアターに行くかもしれない。映画に親しんでこなかった人たちが流入し、映画そのものが活性化していけばと、大局観を持って臨んでいます」と展望を話す。
上質なショートフィルムをオンラインに常備していく方針だが、オススメ作品を聞くと、大竹氏は「個人的には、『ロシアンルーレット』がオススメです。決して著名な方が出ているわけではないですが、ストーリーが非常にスカッとします。引きこもり気味な女性が主人公で、チャットをしたら宇宙飛行士と繋がった、という話。疲れている時に見ると、明日を生きるエネルギーをもらえる作品です」と教えてくれた。
まったく期待していなかった、あるいは偶然出合った映画に、人生を変えられるほどの感激を受けることは、確かにある。ショートフィルムを多くの人が享受し、心を充足させられるサービスが生まれた。大きく発展し、人々を癒す作品を供給し続けてほしい。映画ファンとして、そう願うばかりだ。
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