森川葵、脚本・又吉直樹のNHKドラマで気づいた渋谷の本質とは
2017年12月18日 14:32

[映画.com ニュース] お笑いコンビ「ピース」又吉直樹がドラマ脚本に初挑戦した「許さないという暴力について考えろ」の試写会が12月18日、東京・渋谷の同局で行われ、出演者の森川葵、森岡龍、宮本信子が会見に臨んだ。
本作は、上京したばかりの又吉にとって東京の象徴といえる街・渋谷が舞台。「許さない・不寛容」をテーマに、同所を舞台にした2つの物語がカットバックで進む構成だ。「渋谷」という街の本質は何かを取材するテレビディレクター中村(森岡龍)がおっさん(でんでん)や老婆(宮本)と出会って不思議な体験をするエピソードと、服飾デザイン専門学校に通うチエ(森川)と漫画家の姉(柴田聡子)にフォーカスを当てたストーリーが紡がれる。
スケジュールの都合で又吉は欠席となったが、コメントが代読された。ひとりで渋谷を歩くなか、同所にまつわるあらゆる人々、そして“街”自体も主人公にした物語を考案し、一風変わったタイトルは「自分に対しても言っているようです」と告白。「完成した映像を見ていたら、渋谷を歩きたくなりました。そして、よっぽど気分の良い時にしか、そんな発想にならないのですが、このドラマの登場人物や渋谷にいる一人一人に幸せが訪れますようにと思いました」と作品に込めた思いが明かされた。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」終了後にオファーを受けた宮本は「台本がものすごいカラフルなんですよ。タイトルもとても気に入ってます」と話し、渋谷オールロケ撮影で完成した映像を見て「渋谷の音、空気など、匂いを感じさせられた」と感想を述べていた。
元々渋谷についてのイメージは「一度は憧れる街。地方から出てきた自分にとっては、最先端をいくという感じ」だったという森川。だが、本作への参加を通じて「渋谷という街は誰のことも受け入れてしまう。どんな人間でも吸収してしまう渋谷の力ってすごいんです。皆が皆、そこにいて自然なんです」と本質に気づいた。さらに、自分を“許す”ことができないチエという役を演じて「私も自分に対して自信を持つことができないことがありました。でも、台本を読んだ時、自分に自信が持てないということは、周りに対して嫌な思いをさせてしまう面があることに気づきました。自分を許してあげることは大切だと思う」と学んだようだ。
俳優だけでなく「ニュータウンの青春」で監督としての才能も発揮した森岡は、又吉が紡いだ物語の妙を分析。「まずはタイトルが素晴らしいですよね。(台本の)ページを開く前から面白いものになるという予感が漂っています。コントのような構成にクスっと笑ってしまいますし、素敵なセリフやエピソードが並べられている」と語った。そして印象的なシーンを問われると「でんでんさんが増殖するところ(笑)」と回答。同シーンは、まるで悪夢のようにも思えるコミカルな光景だったため、森川と宮本も笑いながら頷いていた。
「許さないという暴力について考えろ」は、NHK総合で12月26日午後10時から放送。
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