映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

小松菜奈&菅田将暉「溺れるナイフ」で鋭さと痛みを抱えた若者を鮮やかに体現

2016年11月4日 12:00

リンクをコピーしました。
「溺れるナイフ」ダブル主演の小松菜奈と菅田将暉
「溺れるナイフ」ダブル主演の小松菜奈と菅田将暉

[映画.com ニュース]否応なしに「愛し合う」と「傷つけ合う」が同義となってしまう10代の2人。小松菜奈菅田将暉は文字通り、傷だらけになりながら17日間の撮影を駆け抜け、作り上げた「溺れるナイフ」を特別な作品だと自負する。いや、もちろん俳優にとって1本1本の作品が特別であり、ましてや小松も菅田も次々と新たな作品が公開される人気俳優。繊細さや残酷さ、爆発しそうな激情を内包した若者たちはこれまでも幾度も演じてきた。それでもやはり、この「溺れるナイフ」は他とは違う“何か”を彼らの中にはっきりと焼き付けた。(取材・文・写真/黒豆直樹)

原作は10代のリアルな心情を洗練された世界観の中に描き、熱烈な支持を集めるジョージ朝倉による人気漫画。15歳の夏、モデルの仕事をやめ、東京から地方へと移ってきた夏芽とその街の神主一族の息子で、強烈なオーラを放つ少年・コウが反発し合い、ひかれ合い、過酷な運命を背負いつつも成長していくさまを鮮やかに描き出す。

タイトル通り、ナイフのような鋭さと痛みを抱え、己の内に秘めた感情や巨大すぎるエネルギーをコントロールできず、周囲をも傷つけながら青春を疾走する夏芽とコウ。そんな彼らを小松と菅田はどう捉えたのか? 理解や共感を抱く部分はあったのだろうか? 小松は言う。

「その場になじもうとするけど、なじめない。若さゆえの葛藤や新たな環境に飛び込む不安は、私自身も感じたことはあります。夏芽はその表現が大きすぎるけど、根本にあるものは、多くの人が抱いてるものなのかなと思います」

一方で、そのエネルギーの輝きが抑制できないほど強過ぎる夏芽に対し、完全な共感を抱くのではなく、客観的な視点で距離を持っていたのも事実。

「10代でモデルや女優をやっていて、という点で共通点はあるんですけど、私はあんなにも感情を丸出しにはできないですね。私自身の話で言うと、12歳からこの仕事を始めてずっと学業と両立していました。、仕事だけでなく普通に女子高生でもありたいなと高校も地元の共学の高校を選んだんです。東京に来ると仕事モードで、刺激的な大人たちの中で、先に進もうとするところ、まだ気持ちの準備ができてないのに行かなきゃっていう焦りを覚えた時期もありました。一方で学校に行けば何気ないみんなとの会話で何でもないことで笑って過ごしていて、そのギャップが当時の自分にとっていい意味でのスイッチにもなっていたし、いまでもそれでよかったなと思うんです。だから、そこまで夏芽のような行き場のない感情のはけ口を求めて……ということはなかったですね」

一方の菅田はコウや夏芽の抱える感情について「もちろん、自分にもそういう時期はありました」と語る。

画像2(C)ジョージ朝倉/講談社 (C)2016「溺れるナイフ」製作委員会

「危険な方へ危険な方へ、制限されればされるほどそっちへ。ダメだと言われるものを求めてしまう。ただ、この作品に関しては、そういう強過ぎる衝動を持っている2人が出会ってしまったというところが全てなんだと思います。それまではまあ多少の不良っぽさを持った少年で済んでたけど、夏芽と出会ったことがリミッターを外すきっかけにもなったし、自分も彼女の中の“何か”を解放させたくなっただろうし。ひとりでは起こりえない、より強い衝動なんだなと思います」

菅田自身は、己のそうした感情が、この仕事を始めたことでいい意味で解放されるのを実感したという。

「やっぱりこの世界、いろんな感性があふれてて、地元では想像しえなかったことがたくさんありました。地元にいた頃、毎日、通っていた通学路が突然、つまらないものに見えてきたことがあって、ちょうどファッションであったり、自分の好きなものを共有できる友達がどんどん減っていき、自分が勝手に“枠”に閉じ込められて評価されているような感覚を覚えることがあったんです。自分の中で『なんか、そういうことじゃないんだよな』という感情があって。でも東京に来て仕事で様々な人と出会って、かつ自分のやったこと、表現が世の中に発信されるというのを経験して、その時にふっと自分の中の何かが解放され、楽になるような感覚を覚えたんですよね」

小松も菅田も文芸作からエンタメ大作まで、いろいろな作品で時代に、大人に、常識に抗い、己の中に留め置けない感情を様々な形で発露する若者たちを演じてきた。そんな2人がなにゆえ、この「溺れるナイフ」を特別な作品だと感じているのか? 小松は「17日間の撮影が、1年くらいに感じました」と鮮烈な日々を懐かしそうに振り返る。

「私は19歳で、あの瞬間にしか撮れなかった、といまになって思います。20歳を迎えて、何が具体的に変わるってわけじゃないけど、やっぱりどこかで気持ちは大人になっていて、そうなる前のあの瞬間を、あの場所で、撮ることにすごく意味があったんだなと。撮影中は毎日、泣いて、叫んで、海に入って、本当に大変で……(笑)。逃げ道のない、撮影中はリラックスして息をつくこともできない中で、いろんな奇跡と偶然が重なってできた作品だと感じています」

菅田は、小松の言葉にうなずき、劇中の写真を見ながら「若いよね。あとね、顔が青白い(笑)! (撮影が過酷で)覇気がないもん」と笑いつつ、「本当にこの現場のことは、一生忘れないと思います」としみじみと語る。

「肉体と精神、両方にこびりついてるものが大きすぎますね。この映画、いい意味で猫を被ってるなと思うんです(笑)。表面的には現代的で、少女漫画的な“胸キュン”や(パンフレットには)“神キャスティング”なんてイマドキの言葉が使われてるんですけど、内にあるものは、昔のロマンポルノや『仁義なき戦い』など、それこそ僕らが生まれるよりも前の時代の熱量や生々しさがある。人間と人間が、何かわかんないけど、こんなことになっちゃった……という熱。それがいまの時代の若い感性と共存しているのがこの作品なんだと思います」

溺れるナイフ」は11月5日から、東京・TOHOシネマズ渋谷ほか全国順次公開。

小松菜奈 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

aftersun アフターサン

aftersun アフターサン NEW

父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版 NEW

内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る