ジャッキー・ウー監督、新作「邂逅」は3ページの長セリフに「すべてが詰まっています」
2016年3月19日 21:30

[映画.com ニュース] 俳優、監督、プロデューサーとしてフィリピンで活躍し、中国、台湾、韓国、そして日本へと活動の幅を広げているジャッキー・ウーがメガホンをとった日本映画「邂逅」が3月19日、東京・シネリーブル池袋で公開され、ウー監督をはじめ、主演の野村宏伸、共演の荒井乃梨子、天川真澄、プロデューサーの新田博邦が舞台挨拶に出席した。
フィリピンのラグナ州カリラヤにある「比島戦没者の碑」の近くに引っ越してきた一家に起こる不可思議な出来事を描くファンタジーホラー。本作は約3ページにわたる長セリフがあり、それこそが物語の核になるという。ウー監督は「本作は実話に基づいたホラー映画です」という前置きのうえ、「実は『DEATH MARCH』という映画で資料を調べていた時に出合った物語に、最初に出てきたのがこの長セリフだった」といい、「このセリフを元に(物語を)描きたいという思い、生まれたのが『邂逅』だったんです」と誕生の経緯を明かす。
セリフを劇中に盛り込むにあたり「あのセリフだけはかみ砕かないで、ファーストインプレッションで懐の広い中で解釈してしゃべってほしい。それが僕のメッセージになる」という思いがあったため、役者にセリフを渡すタイミングは注意を払ったという。ウー監督は、「撮影の1時間前にその長セリフを野村さんに渡しました。渡す時に『この映画の思いはここに全部詰まっています。このセリフのためにこの映画を作らせていただきました』と伝えました」と述懐。その意図を問われると「野村さんくらいの役者になると、1日前とかに渡してしまうと、セリフを自分のものにしてしまう」と答え、「映画って監督のものじゃないですか」とほほ笑んだ。
横浜で生まれ育ったウー監督は、30代から長年の夢であった映画製作に着手。1996年に活動の拠点をアジア諸国に移すと、フィリピンの国民的俳優になり、これを機に各国から出演依頼が殺到する人気俳優となった。監督としての評価も高く、2014年には、本作でマンハッタン国際映画祭の最優秀監督賞を受賞した。
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