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「No Limit映画祭」、観客が作品の値段を決める“フリーカンパ制”実施

2015年11月18日 22:00

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フリーカンパ制を導入した自主制作映画祭
フリーカンパ制を導入した自主制作映画祭

[映画.com ニュース] 観客が上映後に鑑賞料金を決める“フリーカンパ制”の映画祭「第2回 No Limit映画祭」が、東京の渋谷UPLINK FACTORYで開催された。

11月14日と15日の2日間で上映された作品は、JCF学生映画祭で入賞歴を持つ渡辺茉琳監督の最新作「クソみてえなお前らなんかぶっ飛ばしてやる」を含む全5作の自主制作映画。映画鑑賞料金は通常1800円(一般料金)だが、今回の映画祭では各作品の上映後に観客が値段を決めるシステムとなっている。観客は2日間の合計で約60人が入場し、支払われた総額は6万2305円。最高合計金額は鈴木崇広監督の「彼女の写真は夢をみる」で1万7745円、最低合計金額は渡辺茉琳監督・白鳥遊プロデュースの「ショートストーリー」で7200円だった。

本映画祭の主催者である佐々木聖監督は、投げ銭形式を“フリーカンパ制”と称し、導入した理由を「自主制作映画は見に来にくいというハードルを下げたかった」とし、「面白くないと思ったら0円でいいんです。私たちはそれを真摯に受け止めます。でも少しでもお金を払ってくれる人がいたら、今後の励みになります」とフリーカンパ制ならではのメッセージ性をアピールした。

オープニング作品である「彼女の写真は夢を見る」に2000円支払ったという女性は「映像がとても綺麗だった」と感想を述べ、5000円を支払ったいう元映画プロデューサーの60代男性は「(鈴木監督が学生ということもあり)励ましの意味を込めて」と将来の映画監督の卵に激励を送った。150円という値段をつけた20代男性は「映画の体をなしてなかった。まだそんなに本数も撮っていないだろうから、応援の意味でジュース1本分」と支払った金額の理由を明かし、同日上映された「クソみてえなお前らなんかぶっ飛ばしてやる」には1000円を支払った理由として「完全に映画だった。なので、映画1本分」と評価していた。

終了後にそれぞれの金額を受け取った監督らは、今後の予定について「映画の企画・脚本の構想はどんどん出てくるので、絶えず制作を続けたい」「今後は映画のような大きな作品でなく、低予算で断続的な番組の制作をしたい」などと夢を語った。

なお、第1回は昨年10月に原宿のレンタルシアター「CAPSULE」で開催され、最高合計金額は1万2270円、最低合計金額は6340円だった。今回は前回の1.4倍の集金に成功した結果となったが、佐々木監督は「映画祭の企画を思いついた時から、単発ではなく10年、20年と定期的に続けていけるような映画祭にしたいと思っていました」と次回の開催も視野に入れていること明かし、将来像として「映画祭においては、いつしかこのスタイルがスタンダードになって、一定料金とフリーカンパ制の2パターンになったら面白いと思います」と料金制度の変革に希望を見出していた。

なお、本映画祭の会場となったアップリンクでは11月より、「割引をイベント化」というコンセプトで、1日だけの突発性の割引「フラッシュ割」を実施している。Twitter(@uplink_jp)、facebook(https://www.facebook.com/uplink.co.jp/)などのSNS公式アカウントで突然告知される条件を満たし、劇場窓口で申告すると鑑賞料金が1000円になるという試みだ。これまでに、11月11日を「ボーダーの日」とし、ボーター柄のTシャツの着用を条件にしたり、11月14日を「いい石の日」とし、お気に入りの石を窓口で見せることを条件したりと、独自の割引で観客を楽しませている。

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