木村龍童製作・主演「Barrel」、新しい“ハードボイルド映画”誕生
2015年7月24日 23:45

[映画.com ニュース] 脚本家・演出家として様々な舞台や番組を製作している木村龍童が、プロデューサー・原案・脚本を手がけ、主演した劇場用長編映画「Barrel」が完成した。その1日限定イベント試写会が7月17日、東京・深川江戸資料館の小劇場で行われ、監督、キャストが舞台挨拶に立った。
作品は、木村の活動拠点でもある東京の下町・深川を舞台に、現代社会が抱える様々な「日常に潜む悪」をテーマに描くもの。近代的に整備された美しい街並みと、江戸情緒が色濃く残る風情が混然と入り混じる深川という街に、あえて現代社会が抱える闇を刻み込み、時代にくさびを打とうという意欲作。普通に暮らしたいと願う男、自分の居場所を失った女、誰にも心を開かない老人など、それぞれの孤独な魂が交錯する時、物語は破滅へと向かう。
昨今の日本映画では失われつつある、映画としてのバイオレンスやクライムアクション、ハードボイルドの要素を盛り込み、さらに「下町人情」としてのハートウォーミングな物語も加えた、全く新しいジャンルの“ハードボイルド映画”が誕生した。監督は1000本以上の作品歴がある映像・CMディレクターの小野浩嗣。初の長編劇映画監督作品となる本作では撮影・編集も手がけ、木村、山口文子とともに脚本も執筆した。
小野監督は「元々は今から2年半前に、とある演歌のPVをほぼ今回と同じキャストで撮り、その時にぜひ同じような形で映画にしたいと龍童さんと話をし、そこから実際に映画を作っていこうとなってようやく完成した。昔からずっと映画を撮りたいと思っていたので、やっと実現することが出来て嬉しい」と制作の経緯を語り、劇中のガンアクションにもこだわりをみせている。
誰も知らない別の顔を持つ男を木村、その男と親子のような信頼関係を築く旋盤工の寡黙な老人を深水三章が演じた他、北条ナオ、岡慶悟、荒金蔵人、NECO(友情出演)、新森大也、丸山正吾、岡本裕輝、岬万泰、真鍋誠志、大沢直樹、栗橋勇、田中希奈、ミョンジュ、加藤竜治と個性派・演技派俳優が脇を固める。音楽監督はhoto-D、題字・タイトルは書道家の万美が手がけた。
木村は「私の地元・深川のコントラスト、二面性が面白くて、いつか映画で撮りたい街の一つだった。登場人物たちにもある種の二面性を持つキャラクターを作り、人間の明暗や強弱を描きたかった。単純なバイオレンスを描いたハードボイルド映画ではなく、実は意外とウェットで浪花節、ハートフルな人間ドラマで、そこが上手くかみ合った作品に仕上がったと思う」と、フィルム・ノワール的な世界観も感じさせる本作を製作した想いを語った。なお、作品は海外映画祭への出品を目指し、その後、国内での公開を予定している。
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