菊地凛子、演じることの“痛み”を吐露「楽しいと言いつつやるのも努力」
2015年5月29日 14:46
[映画.com ニュース]女優・菊地凛子が5月28日、都内で行われた映画「THE COCKPIT」の公開記念イベントに出席。同作の三宅唱監督とともに、「クリエイションの悦びと憂鬱」と題したトークショーに臨んだ。
菊地は、昨年12月に菊地成孔プロデュースのアルバム「戒厳令」でミュージシャンデビューを果たしたことから、音楽活動について言及。「音楽はキーをとる、テンポが難しいとか、そういう苦労はあっても痛みがない。何せ楽しくて、こんなことやっていたら究極じゃんこの人たちと思った。距離とかテンポとか、音楽が心底体の中にある気がしてきた。そこがわかっただけ、私はアルバムを出してよかった」と持論を展開した。
一方で、「映画は楽しいと言いつつ痛みを伴うんですよ。演じるということなのか、カメラと個人的なぶつかりがあるから暴力に感じるのか、とか説があります」と演じることの苦労を告白。それでも、「憂うつにやり続けることも、楽しい楽しいと言いつつやるのも努力だと思う。監督や女優という役割をやり続ける憂うつ感もあったり。『THE COCKPIT』を見て、そういう憂うつとかもあるだろうなという人たちが出てきますが、『あるけど、やり続ける以外特にないよね』みたいな感じが終始ある」と映画からの教訓を説いていた。
またこの日は、イベント前に三宅監督作「無言日記/201466」を上映。同作は三宅監督が1日のある瞬間をiPhoneで切り取り、その動画をつなげて完成した作品で、菊地は「そこからストーリーが始まりそうな(日常の)シーンがいっぱい出てくる。あれだけで想像力がかきたてられるから、それだけでお腹がいっぱいになる。どこかハマる映像が新しいし、どこか懐かしい普遍的なものも感じるし、すごい良かったですね」と手放しで絶賛した。
さらに三宅監督は、「無言日記/201466」の製作経緯を「人に撮れと言われたんですよ」とジョーク交じりに明かしながらも、「やっているうちに理由とか関係なく、楽しくなってきちゃったんですよ」と話した。アイデアを借りれば誰でも挑戦できる作品だが、「誰も『無言日記』をマネしてくれない。他の人のを見たいんですよね」とぼやくと、菊地は「ちょっとやってみたいと思った。そう思っている人たくさんいると思いますよ」と大きくうなずいていた。
「THE COCKPIT」は、ヒップホップユニット「SIMI LAB」のOMSBと「THE OTOGIBANASHI'S」のbimが、小さな部屋で楽曲を共同制作する過程をとらえたドキュメンタリー。5月30日から東京・渋谷のユーロスペースでレイトショー公開。