荒川静香、ポール・ボッツとトリノ金メダル曲での“共演”を熱望
2014年3月12日 20:48
[映画.com ニュース]英オペラ歌手ポール・ボッツが、自身の半生を描いた映画「ワン チャンス」のため来日し3月12日、都内の教会で行われたプレミアイベントで、世にその名を知らしめた「誰も寝てはならぬ」を生歌唱した。
劇中の歌声もすべて吹き替えたボッツは、「声で参加できて良かった。僕も見てたくさん笑い、温かい気持ちになった。でも不思議な感じもした。普通、半生を描く映画はその人が死んでからできるものだから」とジョーク交じりの感想。共に来日したデビッド・フランケル監督は「彼のエモーショナルな経験を正直に描くことが重要だった。この場に一緒に立てることができて光栄」と称えた。
スペシャルゲストとして、2006年のトリノ五輪女子フィギュアスケートで同曲を使用し、金メダルに輝いた荒川静香が登場。現役最後の大会と決めて出場し優勝した04年の世界選手権でも同曲で滑っており、「その後で別の曲にしたんですが、五輪では自分の好きな曲で滑ろうと思って『ネッスン・ドルマ』(原題)を使って金メダルを取ることができた。私の運命を2度も変えてくれた曲で、運命を感じます」と、ボッツとの初対面に笑顔をはじけさせた。
ボッツは、「何があっても勝つという気持ちを表すアリアですが、その意味は後で知ったんです」と告白。荒川も「私もどこかの会場で聴いて、いいなと思って使い始めたんです。曲の意味を知ったのはトリノの後ですよ」と意気投合した。
そして、ボッツの重量感のある歌声を間近で聴き、「パワーの中に柔らかさ、優しさがある声。体中が包まれるようで鳥肌が立ちました」と感激の面持ち。フランケル監督が「スケートをしたくなったでしょ」と振られても、「聴き入ってしまって、すっかり忘れていました」と照れ笑いを浮かべた。
ボッツは、映画のミュージック・アンバサダーを務めるオペラ歌手・藤澤ノリマサとのデュエットで「ムーン・リバー」も披露。現在はプロスケーターとしてアイスショーなどに出演し、「誰も寝てはならぬ」のボーカル入り楽曲も使用しているという荒川は、「いろんなバージョンの歌声を使っていますけれど、ボッツさんの声で滑るなんて想像がつかない。でも、広いリンクで聴きながら滑ってみたいですね」と、“共演”に夢をはせていた。
「ワン チャンス」は、子どもの頃はいじめられっ子で、恋人も友達もできない携帯電話の販売員のボッツが、ジュルツという理解者らの後押しを受けてオペラ歌手になる夢を目指し、人気オーディション番組で一大センセーションを巻き起こすまでの波乱の半生を描く。3月21日から全国で公開される。
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