「サプライズ」の新鋭監督、殺人鬼がもたらす影響を描いたスリラーを語る
2013年11月29日 16:10

[映画.com ニュース] オースティン ファンタスティック映画祭でホラー部門審査員賞など4部門を制したサディスティックスリラー「ビューティフル・ダイ」(2010)が、11月30日に日本に上陸する。公開に先駆け、「サプライズ」などスリラージャンルの新旗手として注目を集めるアダム・ウィンガード監督が、同作について語った。
ウィンガード監督が、日本未公開作「えじき」の脚本家サイモン・バレットとタッグを組んだ異色スリラー。アルコール依存症のセラピーに通うサラは、誰にも明かすことのできない秘密を抱えている。過去に、恋人ギャリックが連続殺人犯であることを知り、苦しみながらも警察に通報していたのだ。一方、シリアルキラーとしてカリスマ的存在となったギャリックは、脱獄に成功。道中で出会う人々を手にかけながら、かつて愛したサラのもとを目指していた。
本作の特徴は、現在と過去の時間軸を交差させ、サラが直面する恐怖とギャリックの目的をあぶり出していく点にある。ウィンガード監督は「たくさんの情報を与えつつも、考える幅を与えたかった。一方でフラッシュバックなどの古典的な手法などに縛られたくはなかった。時を気分次第で行き来したかった。なぜなら時系列に展開するよりも、ひとつひとつの出来事への気持ちの動きをより重要視したかったから」と斬新な構造を組み立てた。パズルのように入り組んだ展開にすることで、物語は予想もしない衝撃のエンディングを迎えることになる。
ウィンガード監督がスタイリッシュに映し出した狂気と愛の記憶のなか、サラを襲った恐怖と苦悩が生々しく浮き彫りになる。「シリアルキラーを描くよりも、人間の交流を描くことにひかれた」というウィンガード監督は、05年に逮捕されたアメリカのシリアルキラー“BTK”を例に挙げ、「BTKが自白したとき『なんてこった。彼は結婚していたんだ。そして奥さんはこれからこのことに直面していくんだ』と思った。この考えが、早い段階で組み込まれた」と説明。そして、本作の核として「殺人や暴力といったショッキングな部分ではなくて、殺人犯たちがその家族や彼女に及ぼした影響」とフォーカスした。
「ひとつの視点だけを描くのではなく、男と女の視点を行き来するように描いた」と描写にひねりを加え、内面に渦巻く孤独や渇望が描き出した。「『Pop Skull』で描いた“別れ”と“中毒”の延長線上にあると言っていい。『Pop Skull』のように、本作は“別れ”を描くことで始まり、暴力とアルコールの中毒を描いている」。そして、もうひとつのテーマとして「人間関係における信頼」を意識し、「この作品の罪である殺人は不倫と同種の禁じられた行為で、刑の重さが違うのはもちろんだが、信頼と裏切りという問題が残る」と投げかけている。
「ビューティフル・ダイ」は、11月30日から全国でレイトショー公開。
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