中村勘三郎さん最後の「春興鏡獅子」がシネマ歌舞伎として11月30日公開
2013年9月17日 13:10
[映画.com ニュース] 昨年12月5日に逝去した中村勘三郎さんの一周忌にあわせ、勘三郎さんが主演した「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」が、歌舞伎の舞台を映画館で上映する「シネマ歌舞伎」のシリーズ20作目として、11月30日から公開されることが決まった。
華のある存在感と、明るく奔放な人柄で愛された勘三郎さんは、自ら立ち上げた平成中村座による地方・海外公演や古典歌舞伎を現代風に演出するコクーン歌舞伎、串田和美、野田秀樹、渡辺えり、宮藤官九郎、山田洋次といった各界の才能とのコラボレーションにも積極的に取り組み、歌舞伎界に新風を吹き込んできた。その一方で「型があるから型破り、型が無ければ型なし」という言葉を好んで語ったように、先人たちから長年受け継がれてきた伝統を何より大切にしていた。
「春興鏡獅子」は、そんな勘三郎さんが祖父(6代目尾上菊五郎)から父(17代目中村勘三郎)を経て譲り受け、鍛練を重ねた演目。20歳で初演して以来17回演じ、特別に大切にしていた演目と言われている。今回の「シネマ歌舞伎」は、勘三郎さん最後の「春興鏡獅子」となった、2008年1月の「歌舞伎座さよなら公演」での舞台を収録。勘三郎さんの心技体がそろった名舞台を、映画館のスクリーンで堪能することができる。
さらに、命日の12月5日には、勘三郎さんが出演した「シネマ歌舞伎」6作品がブルーレイ。DVDで発売されることも決まった。
発売されるのは、野田秀樹作・演出の「野田版 鼠小僧」「野田版 研辰の討たれ」、新作歌舞伎として話題となった宮藤官九郎演出の「大江戸りびんぐでっど」、俳優で舞台演出家の串田和美が手がけた「法界坊」、山田洋次演出の「人情噺 文七元結」「連獅子/らくだ」の6タイトル。単品はブルーレイ5985円、DVD4935円で、特製のアウターケースが付属。6タイトルをまとめたボックス商品「シネマ歌舞伎 傑作集 壱の巻」(ブルーレイ3万5910円/DVD2万9610円)は、舞台写真ポストカード6枚を封入する。「シネマ歌舞伎」がパッケージされるのは今回が初めてで、自宅で高画質・高音質で歌舞伎の名演を楽しむことが可能になる。
また、5代目中村勘九郎時代に主演したスペシャルドラマ「幕末青春グラフィティ 福沢諭吉」「袖ノ下捕物帖」もそれぞれ初DVD化される(各3990円・価格はすべて税込)。