松江哲明監督「フラッシュバックメモリーズ」は「GOMAさんのアルバムにしたかった」
2013年8月10日 22:00

[映画.com ニュース] 事故で記憶に障害を負ったディジュリドゥ奏者・GOMA氏の再起を追ったドキュメンタリー映画「フラッシュバックメモリーズ」のDVD発売を記念し8月10日、主演のGOMA氏と松江哲明監督が東京・タワーレコード渋谷店でトークイベントを行った。
2009年11月26日、首都高速で追突事故に遭ったGOMA氏は、記憶の一部が消える、新しいことを覚えづらくなるといった後遺症に悩まされ、後にMTBI(軽度外傷性脳損傷)と診断された。突然異なる映像が頭の中に飛び込んでくる症状「フラッシュバック」をアニメーションで表現しながら、つらいリハビリを経て再びステージに上がるまでの姿を、GOMA氏と妻の日記を交えて振り返る。第25回東京国際映画祭のコンペティション部門で観客賞を受賞したことも記憶に新しい。
GOMA氏は、「よくあるメンバーのインタビューとかではなく、この構成だから良かったと思う。焦点がリアルタイムというか等身大。事故の日からの4年間の記憶が完全に詰まっている。僕は繰り返し見ないと忘れちゃうので、こういう形になっていつでも見られるのはうれしい。すごく感動した」。公開時には松江監督と取材や舞台挨拶を多数こなしたが、「松江監督は明らかに飽きてたけど、僕はいつでも(記憶が)フレッシュ。これは長所にできるなと。ライブでも毎回フレッシュなエネルギーを注げる」といい、「みんながそういうポジティブな気持ちにさせてくれた」と笑った。
松江監督は、「映画をやっている側からするとDVDって区切りというか、“ゴール感”がある。だけどこの作品に関しては、ゴールじゃなくて広がるものになる気がする」と思い入れもひとしお。また、「事故を現在として描きたくなかった。何が起こるか分からない、でも新しいエネルギーを記録できるかもというワクワク。わかんなくてもいいじゃん。まず体が動いちゃうような映画にしたかった。言語化できないことを作るのが映画」と熱い持論を展開。そして、「GOMAさんがすぐ見られるような、GOMAさんのアルバムにしたかった。GOMAさんが生きていく上でちょっと楽になる、便利なものになればうれしい」と胸中を明かした。
「フラッシュバックメモリーズ」DVDは発売中。
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