ペドロ・コスタ監督が彫刻家ルイ・シャフェスと来日 小津安二郎の「父ありき」を語る
2012年12月2日 14:35

[映画.com ニュース] オーディトリウム渋谷でポルトガルの鬼才ペドロ・コスタ監督と彫刻家のルイ・シャフェス氏が選んだ名画を上映する「ペドロ・コスタ&ルイ・シャフェスのカルト・ブランシュ」が12月1日始まり、来日したふたりがトークイベントを行った。
本企画は、原美術館で開催する展覧会「MU[無] ペドロ・コスタ&ルイ・シャフェス」展と連動し、映画と彫刻という異なる表現領域で国際的に活躍するふたりが選んだ作品11本をフィルム上映するもので、この日は小津安二郎監督の「父ありき」が紹介された。妻を亡くした元教員が、仕事の事情で離れて暮らしながらも男手ひとつで息子を育て上げた生涯を描く。
コスタ監督は小津の作品については「書かれたものが多くあるので、あまりたくさん話したいとは思わない。映画を見るほうがよい」と前置きしながらも、「デジタルではなくフィルムで上映されることが興味深く、小津の作品はどれも固定のショットで撮られているにもかかわらず、映写機にかけられて常に振動のようなものがある。この震えていることが実は小津の繊細さにつながっているのではないか。非常にエモーションをかきたてる」と話す。
そして、「また振動は音楽にも通じ、音が奏でられるイメージに近いと思う。奏でられる振動から音楽を作るのは非常に大変で、芸術の抽象化には莫大なエネルギーがかかる」といい、本作で笠智衆演じる主人公が息子の子供時代と、成長してからの2度魚釣りをするシーンを挙げ「この2回が音楽的。音楽の中でバリエーション、つまり変奏している。バロック音楽に見られるような効果が生まれているのではないかと思う。バッハの『Dein Alter sei wie deine Jugend (邦題:汝の老いは若かりし時の如くあれ)』というカンタータがありますが、この父と息子との関係そのものを表している。年齢が重要なのではなく、老いと若さの間にある変奏が興味深い」と語った。
「売り文句のようにパブリシティとして機能することが多いミニマリズムという言葉が嫌い」だというシャフェス氏は、「今回私たちが選んだ作品はこのミニマリズムというコンセプトとは一切の関係ない作品、ミニマリズムを超えて現実に純粋な映画の形式が向かい合っている作品を選びました。それはスペクタクル形式の作品と対極にあるものです。私が初めてペドロ・コスタの映画を見たときにロベール・ブレッソンの作品と同じ印象を持ちました。現実というもののコラージュで、大事なのは現実に穴を穿つということ。そういった作品が純粋な映画形式だと思う。スペクタクル作品はつるつると滑ってしまうようなイメージがあり、決して現実に触れることができない。現実に穴を穿つという作業が彫刻家としての私の作業の方法論でもあります」と芸術家ならではの視点で、本企画について語った。
「ペドロ・コスタ&ルイ・シャフェスのカルト・ブランシュ」はオーディトリウム渋谷で開催中、12月13日まで。展覧会「MU[無] ペドロ・コスタ&ルイ・シャフェス」展は品川の原美術館で12月7日~2013年3月10日。
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