長谷川博己、銀幕デビューを経て芽生えた映画への渇望
2011年9月22日 08:26

[映画.com ニュース] 昨年10月にNHKでドラマ化され、大きな話題を呼んだ「セカンドバージン」が、より濃密な世界観を引っさげ映画として戻ってくる。ドラマ版で主演・鈴木京香の相手役を務めあげた長谷川博己が、映画初出演となる今作で大きく羽ばたこうとしている。ドラマ「鈴木先生」主演で“座長”を経験し、満を持して銀幕の世界の扉をこじ開けた長谷川に話を聞いた。
長谷川は大学卒業後の2001年、文学座附属演劇研究所に入所し、翌年「BENT」のルディ役で初舞台を踏んでいる。文学座への入座も、森雅之、宮口精二、岸田森ら好きな俳優が同座出身だったことが大きな要因だった。舞台、ドラマと着実にキャリアを積み、ドラマ版「セカンドバージン」への出演が、長谷川にとっては大きな転換期となる。
銀幕デビューの一報が長谷川の耳に入ったのは、「鈴木先生」の撮影時。スポーツ紙で映画化についての記事は目にしていたものの、「僕は聞いていなかったし、ドラマの最後で死んでしまっているから、ないだろうな……と思っていたんです」。ところが、マネージャーから「『鈴木先生』が終わったらすぐにクランクインする」と聞かされ、仰天したという。唐突に舞い込んだ吉報だけに、喜びをひとしおだったに違いない。公開を待つばかりとなった最近は、「いろいろなところでポスターを見るようになって、僕もとうとう映画の世界に入ったんだなという気持ちになって、すごくうれしいです」とはにかむ。
初めての映画の現場を終えた長谷川に、浮ついた気持ちは微塵もない。鈴木と深田恭子という、日本映画界で活躍を続ける女優ふたりを間近に見て、得るものも大きかったようだ。自らに対してはどこまでも貪欲な姿勢を貫こうとしている。いま、喉から手が出るほど欲しているものは「眠らなくてもいい体力。どんなときでも疲れを感じない強靭(きょうじん)な力が欲しいですね」と真摯(しんし)な眼差しで語る。「どうしたって過酷なスケジュールになってくると、ふだんはアイデアが出てきたりするのに、肉体的に言うことをきいてくれないことってありますよね。今だってないわけじゃないんですが、精神的にも肉体的にも体力が一番ほしいです」と明かす。
長谷川は、ドラマ版での役づくりの際、行と似たキャリアをもつ元官僚たちの話を聞いたという。「取材をさせていただいたとき、『昔の官僚は国のビジョンを考えている人が多かった』とおっしゃっていた。もちろん公務員ではあるわけですが、今は必ずしもそういう人ばかりではなくなってしまったと。上司として部下の仕事を見ていれば、その人の志が手に取るように分かる。今だって『日本のために何かしようとしている』人がいることも事実だと。僕も、役者としてそういう人間でありたいなと思いました。経済のために何かができるわけではないけれど、文化のレベルをもっと上げていきたい。日本映画界の端っこでもいいですから、自分も世の中に貢献できるようになりたいなと強く感じています」
日本映画界の名優・中井貴一が以前、「映画俳優にとってデビュー作というのは本当に大切なんだ」と熱く訴えていたことがあった。長谷川にとっても、今作は今後の俳優人生で重要な位置づけになるはずで、「ドラマ版も映画も僕にとってターニングポイントになった作品であることには間違いありません。このお仕事のおかげでいろんなお仕事が入ってきましたし、いろいろなことができるようになった。本当に感謝している作品です」。今後2作目、3作目とキャリアを積み重ねていく過程で、長谷川の殊勝すぎるくらいに殊勝な姿勢は、日本映画界にとって大きな財産となるはずだ。
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