“生みの親”富野由悠季「ガンダム」誕生秘話を吐露
2010年7月30日 20:43

[映画.com ニュース] 終戦秘話を描いた半藤一利のドキュメント小説を映画化した「日本のいちばん長い夏」のトークショー試写会が7月30日、東京・新宿バルト9で行われ、半藤と出演者のひとりであるアニメ映画監督・富野由悠季が出席した。
昭和38年6月20日、「文藝春秋」編集部員だった半藤の呼びかけで、東京の料亭「なだ万」に日本を代表する知識人や政治家、官僚ら28人が集結。戦争の過酷な経験をうちに秘めながら、戦後を生きる彼らが「ポツダム宣言に対する日本政府の対応」「原爆の投下」「ソ連の参戦」「終戦へと至る過程」などをそれぞれの視点から、約5時間にわたって語り合う座談会が行われた。
同作は、この座談会を職業俳優以外の文人によって演じられる「文士劇」のスタイルで映画化。富野をはじめ、鳥越俊太郎、松平定知、田原総一郎、江川達也、立川らく朝らが俳優として出演している。
半藤は、座談会を開いた当時を「次々と戦時中の関係者の訃報が届くようになり、このままでは戦争中の記憶が消えてしまうと痛感した。そこで(文藝春秋の)編集会議で座談会をやりませんかと上司に持ちかけた」と述懐。当初は、28人が一堂に会する座談会は混乱が予想されたが「延々5時間、誰もが静かに発言者の話を聞いていた。それだけ日本人全体が、いかにして戦争が終わったのか知らないんだなと思い知った」
富野は終戦時、陸軍大将・第八方面軍司令官としてラバウルに赴任していた今村均を演じた。「10歳以上も年上のいとこが、ラバウル帰りだった。それが表向きの出演理由ですが、実際には僕が断ったら、現場が困るだろうなと思ったから。僕も製作者の立場だから、それくらいのことはわかる」。今回の出演をきっかけに、改めて太平洋戦争について調べるようになったといい「語り継ぐことが大切だと実感した。死ぬまでやる仕事が見つかった」と話した。
「機動戦士ガンダム」の生みの親としても知られる富野は、「もともと戦争ものを作るつもりはなかった。巨大ロボットを“らしく”活躍させる場が戦場しかなかった」と振り返る。その一方で、「どうせ戦場を舞台にするなら、戦闘シーンだけじゃなく兵站(へいたん)もしっかり描こうと思った。実は(太平洋戦争)当時、海軍の上層部は兵站のことなんて、まったく考えていなかった。そうでなければ、あんなバカな戦争はできるはずがない。だから、アニメでも兵站くらい考えていると示したかった」と間接的に、戦争に対するメッセージを込めたと持論を展開した。
「日本のいちばん長い夏」は、8月7日から全国公開。
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