ファンの老眼が映画化のきっかけ。「いけちゃんとぼく」西原理恵子が語る

2009年6月19日 12:00


愛情を毒に交えて表現するのが西原流
愛情を毒に交えて表現するのが西原流

[映画.com ニュース] 漫画家・西原理恵子による初の絵本作品を実写映画化した「いけちゃんとぼく」(大岡俊彦監督)が6月20日に公開される。原作者の西原がインタビューに応じた。

ヨシオにしか見えない謎のいきもの“いけちゃん”はいつもヨシオを見守っていたが、ヨシオが青年へと成長するにつれ、段々とヨシオのそばから離れていく。蒼井優が、色も形も変幻自在な“いけちゃん”の声を担当している。

「息子の所に実際にやって来た“イマジナリー・フレンド”(子供の想像から生まれる友だち)と、子供の頃の切なかった話をしてくれた昔の恋人たちの面影が結びついて自然に出来た作品が『いけちゃんとぼく』」と語る西原。

原作は、フジテレビ系情報番組「ザ・ベストハウス123」の“絶対泣ける本ランキング”で第1位を獲得して話題となったが、西原曰く「もともと5万部刷ったうちの2万部しか売れなくて、3万部もお蔵入りになっていたけど、テレビで取り上げられるとあっという間に売れた。ぱっとしないまま終わるはずの絵本だったけど、テレビ様のおかげで売れた(笑)」そうで、今回の映画化について「私のファンが老眼になり始めたので、リハビリ感覚で絵本より何かおっきいことをやろうという話になった」と製作のきっかけを明かした。

「いけちゃんとぼく」より
「いけちゃんとぼく」より

ヨシオと“いけちゃん”の生活を断片的に描いた原作に対し、映画ではそれらが1本のストーリーに集約されている。原作とのギャップに西原は、「もちろん違和感はあるけど、自分の作品を題材に他の現場のプロが違う作品として生み出しているのだから、違うものができて当たり前。むしろ向こうの解釈を見るのが楽しい」とあっけらかんと話し、「“いけちゃん”って少しストーカーっぽいから、女性の監督が撮ると怖くなっちゃうかもしれないけど、中2から成長していないネチ男(大岡監督)がヨシオ目線でカラっと撮ってくれて良かった。何より東南アジアのような故郷の高知で全編ロケしてくれて、私の色のキツめな漫画の世界に近いものができたと思う」と、西原節で監督にねぎらいの言葉を送った。

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