「ヒロシマ ナガサキ」日系アメリカ人監督が見る原爆とは
2007年7月25日 12:00

[映画.com ニュース] 91年に短編「収容所の長い日々/日系人と結婚した白人女性」でアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞した日系3世のスティーブン・オカザキ監督が、広島・長崎の原爆をテーマに描くドキュメンタリー「ヒロシマ ナガサキ」。来日した監督に、構想25年を経て完成させた本作について話を聞いた。
オカザキ監督は、1952年ロサンゼルス生まれの日系3世。中沢啓治の「はだしのゲン」の英訳版を読んで以来、原爆の脅威を世界に伝えたいと感じていたそうだ。アメリカで生まれ育った監督が、広島・長崎の原爆をどう受け止めたのか尋ねると、「原爆の実態を初めて知ったとき、日本人としてではなく“いちアジア人”として色々考えたよ。もし戦争の相手が白人だったら原爆を落としただろうか? 原爆投下の裏には人種的偏見があったのではないかと感じるんだ」と話し、さらに「劇中に当時のアメリカ大使が日本人がどんな人種なのかを語る場面があるが、あの語り方は今のイラクやアラブに対するアメリカの報道に似ているんだ。そうやって“我々とはまったく違う人間なんだ”と敵の人間性を排除しないと、人を殺すことなんて出来ないからね」と、アメリカの戦争敵対国への意識を分析した。
映画は、14人の被爆者と原爆投下に関与した4人の元米軍兵士双方の証言で構成されており、元兵士の取材に関しては、監督が日系米国人であるがゆえに慎重になった部分があったという。「被爆者中心の視点で描かれる映画だから、彼らは自分たちが悪者扱いされるのではと警戒していた。だから、警戒を解くために日系人の私は取材に同行せず白人クルーに任せようとか、私の父親は日系人だがアメリカ兵として戦争に参加したことを彼らに伝えようかなどと考えたよ。でも“ストレートでオープンな映画作り”が私のポリシーだから、結局正直に取材意図を説明したんだ。もちろん彼らは取材を快諾してくれたよ」
25年もの歳月を費やした映画の公開を目前に、監督は私たちへ次のようなメッセージを送ってくれた。「原爆は、体験された方々にとっては世界の終わりのように感じた出来事だったと思う。彼らのすさまじい物語がこの映画の中にあるので、ぜひ見に来てほしい。また、核戦争が現実になり得る今の時代だからこそ、多くの人に見てもらいたい」
「ヒロシマ ナガサキ」は7月28日よりロードショー。
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