「東京タワー」オカンを呼び寄せたリリーにグッときた松尾スズキ
2007年4月10日 12:00
亡き母への想いを綴り、06年の大ベストセラーとなったリリー・フランキーの自伝小説「東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン」。その映画化にあたり、脚本を担当した松尾スズキに話を聞いた。
リリー・フランキー本人から依頼されて脚本を手掛けることになった松尾だが、脚本の第1稿はそのまま撮ると4時間に及ぶほどの長さになってしまったのだとか。「話がブレないように原作の要素を入れていったら長くなってしまった。時間を省略するのはすごく難しかったですね」と振り返る。また、リリー・フランキーとは同世代で同郷、職業と共通する部分が多い。「何でこんなに似てるんでしょうね。そういう意味でも共感できる部分はありますし、逆に自分とはこんなに違うんだと分かったことも多いですよ。僕はスポーツが出来ない子供だったから、リリーさんが野球少年だったと聞いた段階で『眩しい!』みたいな(笑)」と自ら分析する。
原作は200万部以上売れた大ヒット小説。読者として原作を読んだときの率直な感想を聞くと、「この小説が支持されるのは、『お母さんのことが大好き』という部分を率直に描いてるからだと思うんです。やっぱり母親が死ぬのは恐いですから。それと、リリーさんは母親を東京に呼び寄せますよね。普通だったら母親のところへ行くか、見捨ててしまうという展開になるんだけど、そこが今までの親子物語にはなかった選択だと思う。僕が一番グッと来た場面ですね」と答えてくれた。
今後、自身の自伝を出版する予定はないかと質問すると、「僕は現実をそのまま書き写すことに対して不向きなので、“自伝”という形で書くことはないと思いますが、自分で劇団を作った怒涛の時代のこととか、今だったら田舎と自分の関わり合いの話をどこかで書こうかなと思ってます」とのこと。松尾スズキのパーソナルな作品が見られる日も遠くない?
「東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン」は4月14日よりロードショー。