「風が吹けば桶屋が儲かる」的ドキュメンタリー「ダーウィンの悪夢」
2006年11月10日 12:00

アフリカ最大の淡水湖・ビクトリア湖に面するタンザニアを舞台に、1匹の外来魚がもたらした一大産業と、その影に潜む貧困、エイズ、ドラッグなど深刻化する問題に焦点を当てたドキュメンタリー「ダーウィンの悪夢」。各国で社会論争も巻き起こした本作を手掛けるフーベルト・ザウパー監督が、11月9日、東京・渋谷のエクセルホテル東急にて来日記者会見を行った。
今から半世紀ほど前、ビクトリア湖に外来魚ナイルパーチが放たれた。ナイルパーチはどんどん増え続け、湖畔の町では魚を加工・輸出する産業が発展する。その一方、一部の人間以外は仕事にあぶれ、貧困が広がる。すると女たちは生活のために売春婦になり、エイズが蔓延して人が死んでいく。貧困やエイズで親を亡くしたストリートチルドレンは、粗悪なドラッグで現実逃避する……。思わず「風が吹けば桶屋が儲かる」を思い出してしまう連鎖だ。このドミノ倒しのような問題を、真正面から捉えた監督は、「これはナイルパーチについての映画ではなく、人間についての映画。東京のスーパーで売られている食材にも、本作で描かれているような破壊的な背景があるはず。それを見る目を持ってほしい」とコメントする。
フランスでは、内容に衝撃を受けた観客がナイルパーチをボイコットする運動を起こした。また、映画の舞台タンザニアでは、国のイメージを下げるという理由で政府が映画を見ないよう民衆に呼びかけたという。それについて監督は「映画を見てナイルパーチをボイコットするのはやめてほしい。ボイコットするならまず武器を拒むべき」と訴えた。ちなみに、ナイルパーチは日本のスーパーでも市販され、白身フライなどに使われている魚である。「ダーウィンの悪夢」は12月ロードショー。
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