虚構と現実が共存するファンタジー「クリムト」ラウル・ルイス監督
2006年9月26日 12:00
1900年代初頭のウィーンを舞台に、幻想と現実の間を行き来した天才画家グスタフ・クリムトの生き様を、「見出された時/『失われた時を求めて』より」などで知られるラウル・ルイス監督が、ジョン・マルコビッチ主演で描いたファンタジックな人間ドラマ「クリムト」。公開を1カ月後に控えて監督が来日。9月25日、東京・飯田橋の日仏学院で記者会見を開いた。
幻想と現実、仮想と真実を行き来する独特な作風で知られるラウル・ルイス監督。本作について「私は、この映画の副題に『シュニッツラー風の』というのを付けています。シュニッツラーという作家はクリムトと同時代の人であり、また精神分析学者のフロイトが自分の分身と呼んだ人物です。シュニッツラーが書いた小説に『誘惑の喜劇』というのがありまして、その中にクリムトをモデルにしたキャラクターが出てきます。このように、私の映画『クリムト』でも、虚構と現実が共存しています。それは、シュニッツラーが文学の世界で行ったやり方です。ですから、私はクリムトの伝記映画をつくるのではなく、この象徴的なクリムトという人物を巡るファンタジーを撮ろうと思ったのです。もし、私がピタゴラスの伝記映画を作るとしたら、今回と同じようにピタゴラスにまつわる神話と歴史的な事実を混ぜて伝記作品を仕上げるでしょうね」と自らのスタイルを説明。
また、劇中に女性器が映ることにより、日本ではR-15指定になったことについて「ちょっとやり過ぎのような気もしますが、どこの国でも同じだったと思います。ただ、現在の人々とあの当時の人々の裸体との関係はまったく違うということを覚えておいた方がいいと思いますね」と超然としていた。「クリムト」は10月28日ロードショー。
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