「東野圭吾原作の密室ミステリー」ある閉ざされた雪の山荘で 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
東野圭吾原作の密室ミステリー
海沿いの一本道を走るバス。
アイマスクをした出演者たちが降りる姿、
武家屋敷のような貸別荘・・・と、導入がカッコよくて、
期待値MAXでした。
劇団「水滸」の新しい演目『ある閉ざされた雪の山荘で』の、
最終選考に残った7人が、演目のシチュエーションとまったく同じ
人里離れた山荘に4日間閉じこもって、
「事件を解決した人物が主役を勝ち取る」
それが「水滸」の主催者・東郷陣兵の思惑で、
7人は集められたのです。
劇団員6人と外部の1人の7人が競い合う青春群像劇的ミステリー。
正直言って驚くほどの新鮮さや、面白さ、興奮は、ありませんでした。
でも出演者の顔ぶれが良くて、
間宮祥太朗、西野七瀬、重岡大毅、中条あやみ、堀田真由、森川葵、
岡山天音、戸塚純喜と皆さん実力派で魅力的です。
主催者・東郷陣兵は一度も現れず、《声での指示》が流れます。
まるで合宿気分で、豊富な食材や飲み物を楽しむ7人ですが、
タカコ(中条あやみ)とアツコ(堀田真由)はライバル心剥き出しで、
敵意が早々と顕になります。
夕食後ヘッドフォンをして電子ピアノで「月の光」を弾く
アツコ(堀田真由)の背後から襲う人影・・・。
アツコが消えてしまいます。
2番目は社長令嬢で劇団に親が出資しているユリエ(西野七瀬)が
消えてしまいます。
そして第三の失踪者はリーダー雨宮(戸塚純喜)でした。
《この映画の決定的に弱い所》
殺人事件・・・と言うけれど、
悲鳴もない、死体もない、格闘もしない、争う声もない、
こんな、無い無い尽くしで、しかも死体がない。
殺人を信じろと言う方が無理です。
この合宿オーディションの真の目的は、少し過去の事件に遡ります。
「水滸」劇団員のマサミ(森川葵)が、アツコに主役を奪われた恨みから、
劇団を退団したのです。
(どうもアツコが主催者に身体を提供して役を奪ったとの噂がある)
アツコの退団を心配して、実家を雨宮、アツコとタカコが訪れた日に、
悲劇は起こります。
アツコの嘘の電話に驚いたマサミは驚きのあまり交通事故に遭い、
過半身不随になってしまうのです。
マサミ役の森川葵の本格的演技が素晴らしかったです。
圧倒的な天才・・・との設定も嘘と思えないハマり役で、
演劇の訓練を受けたような、ハリのある声、響き渡るセリフ、、
鬼気迫る熱演・・・見直しちゃいました。
隠しマイクの存在、隠しカメラの再生とか、
6分割画面や間取り図のイラストに動く出演者のマーク。
東野圭吾のこのミステリーが出版されたのは、
なんと32年前の1992年ですから驚きます。
ラストはいかにも演劇的演出で、カーテンコールが盛り上がり
楽しめました。
(間宮祥太朗はイケ面だと改めて実感する映画でもありました)
自分も今日アマプラで見ましたが、
色々と不可解な点がありすぎて少しつまらなかったです。真相につながって言っているのか死体はどこに隠しているのか、不思議でした。
キャストは豪華すぎてさすがだなと思いました。
返信ありがとうございます。
そんな昔の作品だったのですね。
それを今風にアレンジしたのもすごいですね。
私は村上春樹さんが好きで、その隠された内容を読みときたくて考察癖が付いたようです。
東野さんの作品は、隠されたことは明らかにされるところがしずる感を誘うのでしょう。
ごめんなさいね🙇妄想につき合わせちゃって。
でもあの違和感にゾクゾクが止まりません。
琥珀糖さん、私はこの作品に違和感を覚えて……考察が止まりません。
これがあの東野圭吾さんの作品だなんて…… んん、待て待て……。
私の妄想によると、
この作品の構成は3つあるように思うのです。
まずは作品上、本当にあった出来後、つまり作品上の事実です。
そして、それをもとにフィクションを作った。これがお芝居「閉ざされた雪の山荘で」です。
さらに、彼らによって作られた舞台が成功したという華々しさを一つの作品として表現したのが、東野さんによる小説です。
この作品はあたかも山荘で起きた事件をもとに、劇団員らがお芝居を組み立てた体ですが、どうしても部外者の久我の存在と粗みじん的なサスペンスドラマに違和感を払拭できません。
彼らが「閉ざされた雪の山荘で」という「何らかの出来事」に着想してお芝居にしたことで、いったいどこまでがお芝居だったのか? という疑問が出るのです。
私の妄想では、
作品上の事実は、劇団員の中に蔓延った疑心暗鬼と、つまらない電話によって起きてしまった事故、下半身不随、そして、リーダーが見てしまった彼女の怨恨ノート。これだけが事実なのではないでしょうか?
それを見せられた劇団員の久我は、彼女と劇団のために脚本を書いたのです。それがお芝居「閉ざされた雪の山荘で」。
彼らがすべてを乗り越えてお芝居を成功させたことを、東野さんが小説にしたということです。
すごい妄想でしょ?