「最後の種明かしは良かったけど…」ある閉ざされた雪の山荘で チーズさんの映画レビュー(感想・評価)
最後の種明かしは良かったけど…
東野圭吾原作の作品は、今まで幾度となく映画化されてきたが、ハズレ作品もかなり多く、本作もどうなるかと危惧していたが、まぁアタリの部類に入る方なのではと思う。
一つの場所に集められた男女7人。しかしそこで殺人事件が発生し、一人ずつ消されていく…という設定自体はありがちだが、本作で良かったのは終盤に明かされる種明かしだ。雅美(森川葵)が本多(間宮祥太朗)にメンバーを殺害するよう指示したことは予想できた人も多そうだが、実は本多はメンバーを一人も殺害しておらず、雅美を納得させるために「殺害した演技」をしていたというのが面白かった。劇中で起きた「見せかけの殺人」は、役者仲間だからこそできた「壮大な舞台」であり、役者という設定がちゃんと効いているのが良かった。
ただ、主人公の久我のキャラがどうにもイマイチだった。一応本作では探偵的な立ち位置で、あらゆる謎を主人公が一人で解明して、どこからともなく雅美が仕掛けた盗聴器を見つけ出すなどの凄技を披露する。これだけだと凄いとなるのだが、本当にそれだけなのだ。人間としての面白味とかがなく、本当にただの探偵(もしくは刑事)のような立ち位置で終わってしまうのが残念だった。あと、合宿メンバーで唯一「水許」に所属していないという設定なのだが、なぜ最終オーディションまで残ったのか。「なにか光るものがあったんだろう」と本多が言っていたが、全くもって演技を見せてくれないので、観客からすると久我のどこが役者として凄いのか、全く分からなかった。マジで探偵という設定でも全く問題ないな(笑)。
「水許」のメンバーの演技は全員良かった。特に森川葵は1分足らずほどの舞台のシーンで演技力を魅せつけ、流石の一言だった。そして岡山天音がまたしてもいい味を出していた。彼が今後どんな役をするのか目が離せない。
そういえば本作の主題歌、作風に合ってなかったなぁ(苦笑)。まぁWEST.のメンバーが主演なので、主題歌も任せなくてはいけないのは分かるけどさ…