大いなる不在のレビュー・感想・評価
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すごいな藤竜也
”ファーザー”的な?日本版”ファーザー”なのかと思ったが違った。
”ファーザー”が認知症患者の視点で描かれたのに対し、こちらは認知症を通して周囲の人間も描くドラマでした。
皆さん絶賛していますが藤竜也がスゴイです。
普通に痴呆老人のセリフを淡々と話すので”え?おじいちゃん、今なんと?何言ってんの?”と聞きかえしたくなる。施設で息子とその嫁の面会シーンは、普通に話す痴呆老人の姿(見た目が普通ってところがポイント)に鳥肌が立ちました。
セリフだけなく感情の起伏や表情など表現についても、痴呆老人そのものにしか見えなく感嘆しました。お弁当屋さんに対する疑いと嫉妬の目、体から身なぎる負の感情が怖かった。
"不在"を描くことで逆に"存在"が見えてくる
凄い映画を観たという確かな満足感
不在とはいったい、誰の事だったのか
藤竜也の芝居に圧倒させられます
採点4.2
舞台挨拶付きプレミアム試写会での鑑賞
近浦啓監督の長編二作目、藤竜也主演のヒューマンドラマ。そこにサスペンスをうまく織り交ぜた作品でした。
冒頭から「え?」と言ったスタート。
時系列をバラバラに組み合わせ、ページを捲るよう段々と見せてくるのは実に巧みでした。
絵もしっとりとした美しさで、その細い音楽とすごいマッチしてました。
息子役卓の森山未來は静かだけど、とても魅力に溢れていました。
そして何よりも父陽二役、藤竜也の芝居に圧倒させられます。
記憶と人格をも段々と失い、胡乱とする様が見事としか言いようがなかった。
記憶を欠き施設に入所した父の家を片付けるうち、散財するメモや日記から徐々に父の心を知る。
物語は最後まで全て止まったままです。
しかしながら、行き詰まっていた卓のパフォーマンスに見られるよう、存在しなかった親子としての繋がりがそこには見えました。
実に深みのある作品でした。
そしてこの試写会は舞台挨拶付き。
特に印象に残ったのは原日出子のコメントでした。
藤と夫婦役で共演というオファーに、即出演を決めたようです。
何でもOKを出したその後に脚本を読み始めたらしいですよ。
あとエンドロール。
役者がスクリーンに出て来た順にクレジットされてるのも面白かったです。
息子が年老いた父親の過去を知り 長年の心の距離を縮めていく…なんて...
息子が年老いた父親の過去を知り 長年の心の距離を縮めていく…なんていう生っちょろい話ではない!(ごめん、そう思ってた)
いろいろと事情はあるにせよ、やはり一言で言うなら、この父親は身勝手
おまけにインテリではあるけど 理屈っぽくて面倒くさくて、ほんと無理!w
全てを許されて逝きたいという老人のエゴイズム
醜悪さと悲哀を感じさせ、それが実に人間らしくリアルで、いずれ自分もそうなるのだろうと身震いしてしまう
老いる事の残酷さをこれでもかと見せつけてくる
なんかね、ホラーより ずっと怖いよ
真木よう子さんが「心して見てほしい」と仰ってたけど、観終わって なるほどと納得
これは観るのに覚悟がいる作品だ
2024.6.25 完成披露試写会で鑑賞
ずーっと余韻が残る傑作
脚本も演技も構成、それから音と音楽も世界基準の作品。
見終えた翌日もずーっと余韻を感じる傑作です。
たくさん映画を観てきましたが、どうしてもレビューを書きたいと思ったのは初めてでした。
是枝、濱口に続くワールドクラスの監督になると思う。
試写会にて
試写会にて鑑賞
大いなる不在の先に見出したもの
森山未來さんが主演を務め、藤竜也さんと親子役で初共演を果たした近浦啓監督の第2作は、主人公が認知症で別人のようになった父の知られざる人生を辿っていく様がサスペンスタッチで描かれる。
幼い頃に自分と母を捨てた父が事件を起こして警察に逮捕される。
知らせを受けて久しぶりに父である陽二のもとを訪ねることになった卓は、認知症で別人のように変わり果てた父と再会する。
更に卓にとっては義母になる、父の再婚相手である直美が行方をくらましていた。
一体、彼らに何があったのか?
卓は、父と義母の生活を調べ始める。
父の家に残されていた大量の手紙やメモ、そして父を知る人たちから聞く話を通して、卓は次第に父の人生を辿っていくことになる。
主人公・卓を森山未來さんが演じ、父・陽二役は「コンプリシティ 優しい共犯」でも近浦監督とタッグを組んだ藤竜也さんが務めている。
また卓の理解者となる妻の夕希役は真木よう子さん、行方知れずの義母・直美役は原日出子さんが演じている。
果たして、長らく断絶していた父の人生を辿った主人公は、その先に何を見出すのか?
忘却は罪なのだろうか。
今年一番好きな邦画かもしれん。
大いなる不在なのは、これまでの彼が不在になってしまった喪失によるものなのかと思ったら、そうでもあり、そうでもない。
卓が拾い集めた父のカケラたちはあんなに彼女への思いに満ち溢れていたのに、記録だけ残して彼の中からは消えてしまったことに涙が止まらなくなった。
藤竜也さんの名演技が凄すぎて、痴呆で何より辛いのは自分が自分でなくなることだと思い知る。何を忘れてしまったのかもわからなくなっていく状況が苦しくて悲しくてたまらない。
人生の中で最も大事なものを忘れていくってどんだけ辛いんだろう。
また、父の事はよく知らないからわからなかった卓が、父を辿った跡を探っていくうちに葛藤はあれども父を理解して行く様を、森山未來さんがとても上手く演じておられて、本当に親子みたいだった。
どうしても奥さんの気持ちに寄せて考えてしまって悲しくなったけど、皆さんどんな気持ちで観たのだろう。
監督はかなり遠近法にこだわって撮影されたとのこと、なるほど、とにかく私の中で何度も孤独孤独という言葉がこだましたのだけど、撮影方法の影響もあったのね。
見所の一つかなと思います。
痴呆がテーマかと思いきや、色んな面からの愛を描いたとても素晴らしい作品だった。
認知症について改めて考えました。
ミステリーかな?って思いながら鑑賞してましたが、ミステリー風は入ってますが人間ドラマです。
でも一般的な人間ドラマは好まないですが今作品は謎が付き纏い面白い‼️ って、ならミステリーか(笑)
色々書きたいがネタバレになるからやめます。
このストーリーを観たら主演は藤さんと言いたい。
大いに魅せられました。
原さん凄く良かった。
余談 藤さんの劇中セリフで、
物事の順序を追う事は【重要】と言うと思いきや、
物事の順序を追う事は【それが助かる】的な事を言われ、凄く刺さりました。
そうだよなーって。
試写会では、監督を始め主演の森山さん、藤さん、原さん、真木さんが登壇し、生を拝見させて頂き有り難かった。原さんなトークが非常に上手く面白かった。
監督の最後の一言、2023年35ミリフィルムは使った映画はこの作品だけです!が印象的でした。
監督、噛みしめながら鑑賞しましたよ‼️
大いなる不在(2023)
Fan's Voice様にご招待いただき、ジャパンプレミア試写会にて鑑賞いたしました。
幼い頃に母と自分を捨てた父が、事件を起こして警察に捕まった…。
曇天を貫く電波塔の下、人気のない、静かな住宅街に滑るように入ってくる一台の車両、その影から突如現れた機動隊が一軒の住宅に一斉に突入する、サスペンスフルなシーンから始まるのは、「父の記憶の迷宮の旅」です。
物語は「認知症発症前の父と息子」「認知症発症後の父と息子」の二つの時間軸が交差する形で進んでいきますが、「発症前の父と息子」との間には、25年もの「不在」が横たわっています。
「発症前の父と息子」のパートは、まるで黒板を爪で引っ掻く音を聞かされているような不快な時間帯です。
「内気で、皮肉屋」な父・陽二は物理学の元大学教授、恋のために、まだ小さかった息子とその母親を捨てた過去を持ちます。
一方、息子・卓は、大河ドラマに脇役で出演中の役者という、父とは正反対の職業に就いていますが、これがまた父に輪をかけた理屈屋、皮肉屋です。
25年ぶりに再会した二人は、互いの配偶者をクッション材または通訳のように間に挟んで25年の空白を埋めようとしますが、双方高い知性を持っているにも関わらず会話はまるで噛み合わず、否定し合います。
不協和音しか生まない会話劇ですが、しかし、二人は別々の旋律を勝手に奏でているわけではありません。
むしろ同じ言葉を話し、間合いの取り方、息遣いまでそっくりです。
やがて陽二と卓は、いや父子を演じる藤竜也さんと森山未來さんは、同一人物?いや、若き日の父と老いた息子のように見えて来ます。
なのに、噛み合わない、不快極まりない、近づけない。
まるで、磁石の同極同士のように。
一方、「発症後の父と息子」のパートは、意外にも凪のように穏やかです。
別人のようになってしまった父の口から出てくるのは妄想や陰謀論ばかり、不穏で掴みどころがないのですが、父は息子を幼少時の愛称で呼んでは毎回のように頼みごとをして甘え、息子が父を見る目は包み込むように優しいのです。
そして息子は初めて、父を理解しようとします。
父の記憶と記録の断片を丹念に拾い集め、旅に出ます。
親子はどうしても似てしまう。
「嫌な部分」ばかり特に。
日頃考えていたこんなことを、ずっと考えながら観ていました。
身近な存在だから、嫌な部分に目を瞑れない、許せない。
だけど否定しようとすると、いつの間にか自分を否定しているような気分になる。
血のつながりというものは実に厄介なものです。
卓の「父の記憶の迷宮の旅」は即ち直美探しの旅でもありました。
近浦啓監督はなぜ直美さんを解放させたのか、という点にも注目して観ると、恋人の最終形態は必ずしも夫婦ではなく、夫婦の終幕も、必ずしも「介護」や「看取り」ではないのだという、新たな視点を持つ機会になるかもしれません。
この作品は、近浦啓監督がコロナ禍に実際に経験されたお父様の認知症発症とその介護から着想を得られたそうです。
私自身も両親を見送った経験と重ねて拝見しました。
直美さんの選択には賛否両論あると思いますが、私は正解だった、正解であるべき、と思います。
先んじて発表された海外で共感を得られたのも、日本では根強い「介護は配偶者がするもの」という固定観念をまず直美さんに飛び越えさせたことが要因だったのではないでしょうか。
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試写会
閉塞感
二度三度観るべき映画
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