「近藤監督、期待しています。。」大いなる不在 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
近藤監督、期待しています。。
映画は監督の実父がコロナ禍で認知症になり、東京から小倉まで新幹線で通った日々の体験がモチーフになっているとのことであるが、鑑賞したほとんどの観客が疑問に思ったのは、何故直美は認知症になった陽二を置き去りにして行方不明になったのか?である。直美がスーパーで倒れて際に立ち去った事や酷い言葉で自分の存在を否定されたシーンもあるが、30年連れ添い(更にその20年前からの気持ちを綴った手紙からすると50年)、陽二の認知症が重くなっていく姿を見てきているにも関わらずである。映画では逃げたとしか感じることができない。
ティーチインイベントで質問した方がいたが、監督は直美が入院後一度家に帰った後、ちょっと出てくると言った際、陽二が車のキーを渡し、愛しそうに直美を撫でるシーンの説明や何故直美は携帯を置いたままにしたのか?について話していたが、その直美の心境の解釈は観る人にまかせていた感じであった。
とはいえ、映画は良作と思っている。最大は藤竜也の完全なりきり演技の凄さ、もちろん森山未來も原日出子も真木よう子も皆上手く映画にハマっていたし、佐野元春もよい。
この近藤監督の前作「コンプリシティ/優しい共犯」は現在観ることはできない。映画は商業的に成功することも重要である。
コメントする