劇場公開日 2024年7月12日

「アナログ世界の自由人」大いなる不在 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アナログ世界の自由人

2024年8月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

認知症は、父親と義母の互いの愛情を引き裂いていく。
ふたりの大切な思い出がつまったそれぞれの日記。
義母が、認知症が進んだ父親の家を出るとき、その日記は置かれたまま。
彼女はなにかを断ち切ったのだ。切なすぎる瞬間。
その間を取り持つ息子は、ずっと会ってなかった父親、亡き実母両方への複雑な感情を抱えながら、心揺れ動く。

家族にはいろいろな形がある。運命には抗えない。家族は家族だから。
親子の愛情の在り様も刻々と変化していく。父親の胸中に去来するものは何?

息子は舞台俳優だ。複雑な感情を表現するのはお手のものだ。ただ、それが自分の身にふりかかると戸惑いは隠せない。そのへんの機微を、森山未來は彼ならではの感性で好演している。
藤竜也の父親も圧巻。「ファーザー」のアンソニー・ホプキンスに匹敵するかもれない。
アナログ世界の自由人。頑固一徹の学者。藤達也でしか演じられない。そう確信した。

ジョー