「大いなる心の不在。」大いなる不在 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
大いなる心の不在。
偏屈で揚げ足取りでプライドが高い父親の記憶や精神が壊れてゆく過程が時間軸を変えながら描かれる。思い出したり忘れたりを繰り返す様がとても残酷だ。藤竜也が圧巻でした。
疎遠だった息子が行方不明の義理の母を探しながら父が書いた大量の手紙やメモを通してその痛みに触れてゆくことになる。ベルトのシーンがとても良かった。親子として失っていた隙間が少しだけ埋まったような、そんな優しい時間だった。
そしてこの映画の一番衝撃的なところは、物語のラストにコロナ禍の始まりをもってきたところ。せっかく縮まった距離がまた離れてしまうかもしれない。そんな余韻がなんだか切なかった。
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