ギルバート・グレイプのレビュー・感想・評価
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ラストは衝撃だけど思いやりに満ち溢れてもいる
なんといってもディカプリオの演技力ですよ。
この年は逃亡者のトミーリンジョーンズがアカデミーの最優秀助演男優賞を取ったけど、個人的にはディカプリオにあげて欲しかった。
あと、ラストシーン。
ある意味アンモラルで非常識でもあるけど、あの決断には家族の思いやりに満ち溢れている。
家が燃えるのを皆んなで見守っているあのシーンは、今思い出しても胸が熱くなる。
主人公の旅立ちは新しい家族との絆と共に…
この映画の監督が、かつて観賞した
「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」や
「サイダーハウス・ルール」と同じ人物との
認識は無かった。
94年のロードショー以来だったが
内容はほぼ忘れていたので、
小さな因習社会と特異な家族に
束縛された主人公が、
トレーラーでの自由な移動生活を
おくる少女の出現で、
どう解放されるのかと興味深く鑑賞した。
この作品は様々な社会問題を
写し取っているように思える。
家族の問題を一人で抱え込む主人公の姿は、
現代のヤングケアラーの問題にも
通じるものがある。
また、大手スーパーマーケットや
バーガーショップの進出は、
中央資本による地方社会の均一化を
想起させる。
子供の頃、私の住んでいた故郷の通りには
何でもあった。
八百屋も、米屋も、駄菓子屋も、
ラーメン屋も、貸本屋も。
そしてそれぞれの店主の顔が思い出される。
しかしその全てが今はない。
一軒の店屋も無くなってしまった。
そして、現在では小売店全てが
郊外のショッピングモールに集約され、
店主の顔が見えないのはどこでも一緒だ。
私の子供時代の登下校では
様々な店を覗きながら
社会を知ったものだろうが、
現代の多くの子供達は
そんな体験は出来ないのだろう。
代わりにネットで社会を知る時代に
なったのだろうが、
売り手の顔は見えないままだ。
私には、そんな昔の故郷に想いを寄せる
作品ともなった。
この映画のラストシーン、主人公は、
それまでの家族や因習社会の束縛から
自らを解放して旅立つ。
しかし、どこに向かって行っていこうが
中央資本の浸透が進む世界への
旅立ちではある。
食料品店夫婦のような理解ある店は
もう無いかもしれない。
まだまだ真の解放には高いハードルだ。
しかし、
彼は新しい家族との絆を育んで、
そのハードルを越えていくものと信じたい。
悩ましい鬱積した日々
ジョニーデップ扮するギルバートグレイプは、レオナルドディカプリオ扮する18歳の病弱な弟アーニーとトレーラーを見ていた。スーパーで働くギルバートは一家の大黒柱だった。レオナルドディカプリオもまだ少年とはいえジョニーデップとの共演作だ。とはいえジョニーデップは人妻との不倫とか巨漢のママや頭の弱い弟との生活でなかなか悩ましい鬱積した日々を演じていたね。責任押しつけられて気の毒だったな。
悲惨な結末でなくてホッとした
ジョニーディップは癖のあるキャラを演じるイメージが強くて、そうでないこの作品が観たかった。
ディカプリオの演技は、本当にすごくリアリティがある。ほんの数週間の出来事を描いてあるのだが、人生の転機なんてそんなもの。今でいうヤングケアラーに近い。家族でも、日々に追われて大切なことを言えずにいる。でもそれを言わないで壊れていく家族がたくさんいるのだろう。
ハリウッドって本当にいろいろな映画を作れる。それがすごい、と改めて感じた。
名演がなければ、これといって、、、。
とにかく知的障害者に扮するディカプリオの怪演名演と、
ジョニーデップのかっこよさが光る。
泣かせるシーンとかは無いのだが、主人公ギルバートは街を飛び出したいと
思っているが、家族思いの彼は、そこまでは踏み切れない。
そこに人の生きる道というか、自分の存在が誰かの幸せにつながる、
人の世の機微を感じる。
ギルバートに彼女を紹介され、自分の殻から抜け出そうとした母の行動が切ない。
大人になってから見ると
深みを感じる作品。ハンバーガー屋さんがオープンすることがイベントになるようなアメリカの田舎町。家族との関係も含めてそこから外に抜け出すことができない青年をジョニーデップがみずみずしく演じる。10代の頃見て退屈と思ったのは分かってなかっただけだった。ディカプリオが演じる弟の騒ぎや叫びは全て、縛られて何もできない兄ジョニーデップの心を自由させたら言いたいと思っていることなんだと見ていて気づいた。この世で自由でいるとは?を問う作品だと思った。
「良い人になりたい」って言うけれど、
”良い人”ってどんな人なんだろう?って、この映画を観て思う。
家族からの囚われ、家族への囚われ、自分から・への囚われ…。
そんなに簡単に断捨離・整理できるものではない。
鬱屈、気付かないふりをしているイライラ、閉塞感。愛憎。
断ち切って自分の人生をつかもうとした長男。それと同じことを、ギルバート・エイミー・エレンができないのは、たんに勇気や才能がないからだけではないことは、ラストをみればわかる。
けれどの選択。選択させられたようで、自分で選択しているパラドックス。
とはいえ、誰もがアメリカンドリームを夢見ることができるわけでもない…。
自分たちを支えてくれるソーシャルネットワークが、時にはしがらみともなる。
何を一番大切にしたいのか≒優先事項ともまた違う。
何のため?誰のため?に、それが大切?
簡単に、自分の意志だけで決められるようでいて、決められない…。
前半のそんな思いが、後半、”広い”なんて形容では足りない空へ駆け上がっていき、心が満たされる。そんなイメージの映画です。
☆ ☆ ☆
≪もう少し詳しく映画について≫
特筆すべきは、他の方も絶賛されていますが、ディカプリオ様の神がかり演技!
いやもう、ただのイケメン俳優かと誤解しておりましたが、申し訳ありません。
きれいごとなしに描かれていると思います。
もう、放り出したくなるような無邪気さ、それでもの愛おしさ。
とはいえ、この家族が抱える問題はそれだけじゃないんだよな。
状況を考えると、息詰まる。
ディップ氏がいい。
色ものでなくても、色ものじゃないからこそ、すごく味があります。スパロウ船長よりこっちが好きだな。あれはあれで際立ったキャラクターですが。
他の登場人物も、一人でも欠けていたら違う味わいになったんじゃないだろうかと思う位、その役柄なりの存在感がある。
兄弟・ベッキーの影に隠れがちだが、姉妹もいい味出している。ギルバートに巻けじ劣らじのエイミーの諦観、黙々と家事をこなす。エレンはまだ幼いだけに、いろいろな気持ちを抑えない。兄・姉の本音の一部の代弁者?
母の悲しみ・虚しさ・激情と決意。ラストの母の行動。母なりのけじめがあんなことに…。ラストの表情を見ると、母なりの予想・覚悟はあったのかななんて思ってしまう…。
ラストの展開はアメリカならでは?日本なら罪になっちゃうけど、終わりと始まりの象徴。すっきりします。
小さな幸せ、でも大きな一歩。彼らならきっといいことあるよと見送りたくなるラスト。
Tengan suerute!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
意外に観る人を選ぶ映画かもしれません。
でも私にとっては、大切に箱に仕舞って時折開けてみる秘密の宝物にしたいような、誰かと共有したいような、そんな映画です。
キャストの豪華さだけ。それも後付けの
たまたま、のちの天才俳優と、時代のトリックスターが共演していたというだけの映画。やっていることは、太ったお母さんをどうにかして外に出すことと、障害のある弟を守ってあげる、心優しいお兄さんの日々の悩みを私小説風に綴ったファミリードラマで、そこに感動もなければ、見終わった後に考えさせられるような教訓もない。
ジョニー・デップが主役なのに、ディカプリオのほうが強烈な印象を残すという皮肉な作品。何とも重苦しい雰囲気で、彼ら家族に、いいことは一つも起きません。これを映画にする意味あったのかな。
2017.7.10
考えてしまう
およそ20年ぶりに再鑑賞。
年を取ってから見直すとまったく違った感想になるなぁ。
たしかこんなふうに見てはいなかった。
家族とは?
簡単に言うと、毒親による機能不全家族の犠牲になってきた、自分の人生を生きてこられなかった子どもたち、だった。
ギルバートは知的障害のある弟のアーニーの面倒を見つつ、夫を亡くしてから食べるだけになった『浜に打ち上げられた鯨』と化した母の食費を稼ぎ、その母と姉と妹と暮らしている。
これまで家族のためにだけ生きてきたと言っても過言ではない、自己主張をまったくしない青年。
ギルバートの察してあげちゃうところも悲しく見えてしまう。
そこへトレーラーハウスでギルバートの住む街に立ち寄ったベッキーがギルバートと知り合い、自然に惹かれ合う。
ベッキーとの自然なやりとりからギルバートは生まれて初めて自分のことを考えはじめるようになる。
移動するベッキーと一緒にいたくても家族を置いてはいけないギルバート。
これだけの機能不全家族でも家族の愛が強い。
というか、むしろ機能不全家族だからこその束縛の洗脳なのかもしれない。
自分を押さえつけてきて自我が芽生えはじめた反抗期の少年のように時々感情を爆発させてしまうギルバート。
この映画ではジョニデがほんとに普通の青年で、そうだ、ジョニデはかっこ良かったんだと思い出した。
知的障害の役を熱演というか好演というか、ディカプリオの演技はやはりスゴい。
ディカプリオ演じるアーニーの無邪気さとベッキーの美しさが、この物語の光のようなものだった。ホッとする何か。
他キャストも、ああこれにも出てたんだって人がいたりもして、もう一度見てよかったと思いました。
またふとしたときに見よう。
私たちの物語
これは私たちの物語だと思いました。
なぜなら、我々はみんな、程度の差こそあれ、誰かをケアし、誰かにケアされる存在だからです。
ただ、それぞれの形が違うだけの話です。
こういう作品――「勝つ」「捕まえる」「やっつける」「逃げる」など、主人公にはっきりした目的のないストーリーを描いた作品――を、退屈させずに観せていくのは、なかなか難しいと思うのですが、とても魅力的な作品に仕上がっていました。
そう来たか、というような予想外の結末にはちょっと驚いたけれど、暗さや悲痛さは感じなかった。
「家族の絆」(陳腐な言葉で申し訳ないですが)をあたたかく描いた秀作。若きディカプリオの名演に胸打たれた。
この硬直した不寛容な時代に、多くの人に観てもらいたい作品です。
追記
どうでもいいことだけど、このサイトの写真(家族で車に乗っている写真)は左右反転の裏焼きになってるな。ジョニー・デップが右ハンドルを握っている。
どうしてこうなっちゃったのかな?
初夏の風のような秀作。
若きジョニー・デップとディカプリオ。
対照的でともに見事な演技。
ディカプリオに至っては上手すぎ。
古い価値観に縛られた田舎町で
現実に対処できない母親、知的障害の弟、
難しい家族と責任をかかえ
ただ確実に可能性を失っていく日々。
それでも良い人でいたいと
ぎりぎりで踏みとどまっている青年の憂いが切ない。
彼の世界を開けようとノックする
ベッキー役のジュリエット・ルイスが素晴らしく爽やか。
おおらかでキュートでふわりと母性まで感じさせる。
ただ希望へと向かっていくようなラスト。
胸のすくような青空をプレゼントされた気持ちになる。
秀作。
少し希望の持てるラストが好き
ジョニーデップとレオナルドディカプリオが贅沢にも共演している作品。
デップ演じるギルバートは巨躯の母親と知的障害のある弟アーニー(デカプリオ)を抱え、小さな町の小さなお店で働きながら暮らしている。どこかのご婦人と愛人関係にあったりするが、何も楽しいことのない生活。その息苦しさに心が詰まる。それがあるきっかけで、最後に少しだけ希望が開ける。このラストが私は好きです。演技面ではデカプリオは素晴らしかったと思います。
もはや古典
もはや古典。
この一本が何十年も撮れぬ。
ジョニデ、地味で損な役だが数多の白塗り演り過ぎより断然イイ、そして以来30年不作。
絵に描いたような閉塞感を正面からブチ破るでもない落としどころの絶妙。
レオ、驚愕の名演、これ演れたら何でも演れる。
何度でも泣く。
どこまでも、どこへでもゆけギルバート
はあ、最高だったなあ。
まず、やっぱりディカプリオの演技力をまざまざと見せつけられました。あっぱれとしか言いようがない。あの若さであれだけの観察力ってすごい。顔だけじゃないんだなってことを初めて知りました。(失礼)笑い方から声がたまに裏声になっちゃう感じまですごくリアルだった。彼に支えられた映画だなあ。こういう演技をする人って思い出すのはショーン・ペンとかだよね。
そして、ジュリエットルイス。今の彼女を思うと、こんな役似合わないわい、とおもったけど、もう最後らへんはなんだか神々しかったよ、あのド田舎で、あの存在。この世のものではないね。
あのゆるくて穏やかだけど、いつまでも続いていく絶望って感覚を麻痺させるし、先が全く見えない(ある意味では見えている)んだよなあ。そんな役柄に影のあるジョニーデップがぴったりなんですわ…。もうどうしていいかわからん状態だったギルバートを最後ああいう形で救ってくれて本当によかった。
人生どこへでも行けるっていう証明のために映画ってのはあるんだよなあ。偉大だなあ。
しがらみとまどろみの複雑な感情
少し見方を変えれば、
いくらでも自分に当てはまる状況を、鮮やかに描いている。
憐憫の情を拭いされず、
先の見えない不透明な毎日をやり過ごしていく。
家族の絆が切ない束縛となる。。。
現代の映画にはなかなか見当たらない、
「答えを鑑賞者に委ねる」ような、
一概には言えないほど考え深い作品だった。
ジョニデとディカプリオのフレッシュさ
レオ様の初来日は本作のプロモだそうです。何と言ってもジョニデとディカプリオのフレッシュさが見所です。先ずディカプリオが知的障害を持つ少年アニーを、実に自然に演じていて驚かされます。こんな家庭環境だったら誰でも逃げ出したくなると思いますが、ジョニデ演じるギルバートが優しい兄で、一家の全てを支えていて本当に素晴らしい。一方両親がね...身勝手過ぎて💢。ラストの開放感は切なくとも安堵しました😌。
【ラッセ・ハルストレム監督のキャスティングの慧眼に平伏した作品。】
- 若き日のジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが、兄弟を演じる姿が素晴らしい。-
・今作が上映された頃から現在までトップクラスの位置を保っている俳優さんは一握りであろう。
・当時、二人の(特に知的障害を持つ役を演じたレオナルド・ディカプリオ)の俳優の資質を見出し、キャスティングした監督とスタッフの慧眼には驚く。
・当然、作品としての完成度は揺るぎないものである。
<ラッセ・ハルストレム監督らしい、優しい視点で、家族愛を描いた傑作である。>
<2018年1月29日 午前十時の映画祭にて鑑賞>
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