「閉鎖的な田舎町の物語」ギルバート・グレイプ myshaさんの映画レビュー(感想・評価)
閉鎖的な田舎町の物語
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ああいった町では、知的障害者・摂食障害者に加え自殺者までが家族に揃っている貧乏人は真面目に働いていてもどんなに美しい容貌を持っていても周囲から望まれる求婚者にはなり得ない。キリスト教精神をもって皆優しく接してはいるが、主人公は対等な権利を持つ一人前の人間としては扱われていない。
彼との結婚を前提に近づく適齢期の娘はいないだろうし、いても家族や友人が全力を挙げて止めるだろう。既婚マダムの浮気相手あたりが丁度良い。
稼せげているのは食費だけ。彼は追い詰められている。土葬文化の地に住みながら感情を最優先して火を放つ事もするだろう。姉妹たちも一段低く置かれている自分たちを痛感しつつ日々暮らしているのだから、全てを焼き払う事に同意もするだろう。
彼は他所者からしか愛の対象とされない。
なので、全てを理解し抱擁する夢のように美しい救いの女神ベッキーの内面も、見る者が納得できる所まで描いて欲しかった。彼女はどういう人?彼女はなぜあのような彼らを必要としたのか?
彼らはあの後現実を、日常を、共に生き続けられたのだろうか。
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