市子のレビュー・感想・評価
全114件中、1~20件目を表示
綿密に計算され尽くした逸品と人間の二面性について
脚本・演出を担当した舞台を自ら映画化しているためか、ストーリーの演出が非常に精巧にできており、タイトルその他細かな点も含めて伏線の出し方と回収の仕方が素晴らしいが、敢えて冒頭の海のシーンを男女「2人」の遺体で裏切らせるあたりはニクい。
杉咲花の演技力も相まって、過酷な生育環境から感情を失ったヒトの抜け殻から覗く、長谷川くんやキキちゃんのような本当は温かいものに飢えている面、北くんの前やラストで見せた生き延びるために極めて狡猾な手段を臆せず使えるサイコパスな面など人間二面・三面性の描出も素晴らしかった。黒いロングワンピースを着た市子はその人間性の象徴のようで、非常によく似合っている。
監督自身が小中学時代にあのような地区の人々と交流があるからか、単に汚いだけでなく、子供が親のスナックで飯を食うなど社会的常識や規範意識に乏しいあのような環境の描出もリアルだった。
話の本筋とはそれるが、人工呼吸器を外された月子を見た母親や「ありがとうな」というの、大きな声では言い辛いけどやっぱりそうだよなと。安楽死の法整備は必要だよな…
意外に空っぽ
最後は流すし
時系列しんどいし
必要だったかなってシーン多いし
詰め込みすぎて本末転倒系に感じました。
杉咲さんの演技はやっぱりいつもと同じように感じてしまう
よく言われるキムタクより
アウトロー。
花ちゃん。。
生涯通して無戸籍な人生の壮絶さは、最初から最後までずっと辛かった。
無戸籍だとこんなにできないことがあるのか。
遺産相続、パスポート運転免許取得、銀行口座開設、就職、国家資格の取得。。
長谷川さんと出会い、25歳くらいから初めて家庭というものを味わえた市子に笑顔が多い。より一層それまでの人生の重さを知った後だからこそ、市子にとっての家族愛が幻に近いかけがえのないものであることにかなり泣いた。
ちはやふるを観た後だと、百人一首のちはやぶるの龍田川周辺の生駒山に、千年後には妹の白骨化死体かーと思うし、同級生北くんは、あ!机くん!
アンメットの前にこんな深い映画を撮っていたらそれは、若葉竜也と杉咲花の演技の関係性は相当に深く出来上がっているはずだわと納得しかない。
母の離婚後半年以内に産まれ無戸籍となった市子は、3年後に産まれた筋ジストロフィーで立ち上がるのもままならない妹の月子の戸籍を借りて、10歳から小1と偽り小学校に通い、水商売の母のかわりに妹の介護をして生きてきた。
家庭は貧しく、友達の家の常識とはなかなか食い違ってしまい、子供なりにお返ししたくてもお店の物を盗んで返すしかできず、下着も買って貰えない状況。
幼いうちはそれが一般的な家庭と比べて異質である事も、振る舞い方もわからないから、奇特なことを友達の反応で知っていく。さぞかし寂しく辛かっただろう。
母のお店のお客さんの介護福祉課の小泉が妹の関連からか家に出入りするようになり、母に手出ししている。
母も市子も弱者として限界を感じていたところで、熱い夏の日、ふと妹月子の人工呼吸器が暑そうで外してあげようかなと思い立った市子は、本当にやってしまった。帰宅した母から言われた言葉は、まさかの、ありがとう。これ以上ないほど親子は疲弊していた。
その妹を小泉の力も借りて生駒山に埋めたあとは、それを理由に小泉は市子にも手出しし襲うようになった。ある日はずみで小泉に逆らい殺してしまったところを、同級生で市子を好きな北くんに見られる。
小泉の遺体は北くんの助けを借りて踏切に置き、電車に轢かせて処分した。そのあと行方をくらました市子だったが、戸籍がないので新聞配達の仕事をしていた。そこでの友達キキとケーキ屋さんになる夢を初めて持ち、これまで名乗っていた月子から、市子と名乗り方を変えたのだ。やっと自分として生きたくて。
しばらくしてケーキ屋さんで働くところを北くんに見つけられた時も、もう関わらないでと言った。
その後、市子としてお祭りの焼きそば屋台で長谷川さんと出会い、3年一緒にいてプロポーズもされた。
でもその翌日市子は失踪。
市子は、小泉と母と市子と妹で幸せだった瞬間の写真と、月子の保健証を隠し持って行こうとしていたが、長谷川さんが帰宅し、置いて出るしかなかった。
それを手掛かりに、必死に探す長谷川さんは今まで市子から語られなかった市子の数々の生い立ちを知っていく。市子の母なつみから全ての顛末を聞いた後には、泣いていた。こんなにも過去もまるごと受け入れようとしてくれる人と出逢えたのに。市子は無戸籍どころか殺人2回である。
しかも、生駒山から見つかった遺体から、警察は絞りを進めていく。
市子は北くんに匿ってもらっていたがそこにも警察が。
戸籍がない不利益、
行き場のない産まれ、
居場所のない育ち、ここまでは仕方ない。
ひと夏の間に、要介護の妹の息の根を止め、翌月小泉もはずみで殺した。
ここまでも情状酌量の余地があるかもしれない。
戸籍取得も検討したが指紋を出せば過去がバレる。
結婚したくても、タイムリーに妹の遺体はあがるし、無戸籍でできない。
川辺市子名でSNSに投稿し呼び寄せた自殺希望者と、北くんを呼び寄せた市子は、2人を車ごと海に落とし殺人し、合計4人を殺めたようだ。
貧困の連鎖、ヤングケアラー、きょうだい児、性被害とてんこもりの人生で覚えてしまったのは、愛よりも戸籍の乗っ取りだったか。
でもどこからなら引き返せたのだろう。
北くんに警察が来たのは気付いていて、北くんが警察に打ち明け済だったなら、北くんまで殺す必要はなかったはず。
北くんが警察には言わずに隠し通すほど市子に執着しているのを想定済だからこそ、殺したのではないか?
そう思うと、市子は苦しい環境で育つ中で既に、黒い闇も身につけてしまったと思われる。
戸籍の外だけでなく、法の外にも行ってしまった今、市子はどこに生きているのだろうか。
母親なつみもまた、市子は最初の夫、暴力男との子。月子は2番目の夫、借金男との子である。
つくづく男運がなく水商売で生きている身。
子供たちどちらも、本当は望んでいなかったのかもしれない。
そんなことに多感な時期、市子が気付き始めていたとしたら、月子が呼吸を止めた日、帰宅後に母親なつみが鼻歌で虹を歌うのを聴いて、自分の事もいらないのだろうなと思ってもおかしくはない。
だから、小泉の後の失踪か?
やっと夢を見つけても、それは殺人の後。
本名で身寄りのない自殺希望者を呼んだのは、もう川辺市子であることも葬ることにしたからなのだろう。
乗っ取った戸籍で、次はどんな人生を送るのだろうか?鼻歌の歌詞から、市子が花火を好きな理由がわかる気がする。
みんなが上を向いているから安心する。
そうだわ、下には埋めてしまった家族がいるもんね。
庭のシャベルが一日濡れて 雨があがってクシャミをひとつ
雲が流れて光が差して 見上げてみれば ラララ
虹が虹が空にかかって 君の君の気分も晴れて
きっと明日はいい天気 きっと明日はいい天気
洗濯物が一日濡れて 風に吹かれてクシャミをひとつ
雲が流れて光が差して 見上げてみれば ラララ
虹が虹が空にかかって 君の君の気分も晴れて
きっと明日はいい天気 きっと明日はいい天気
花は水をあげなければちゃんと死ぬから安心する。
そうだよね。
愛情を返してもいないのに、全て知っていてずっと追いかけてくる北くんには不安だよね。
しんどい人生なのに死ぬこともできず、殺す側になり自分は生きている。
新しい戸籍で、いつか東大阪から石川、徳島へと行った母親の事も、事情を知る者として殺めにいくのだろうか?
探してくれている長谷川さんのことも、殺めにいくのだろうか?
北くんを殺した市子にはもう、共感できなかった。
社会の片隅で法からはずれ、人生そのもの闇に陥ってしまった市子は罪を償ったとしても、誰と名乗るのだろう。
抑えた演技が得意な花ちゃんにしか、できない弱者一般人の役。
それでも花ちゃんから溢れ出る目力を消すために、ずっとブサイクに見える髪型をさせられている。
美味しそうに食べるなぁと言う長谷川さんに、あったりまえやわキャベツの子やで!と突っ込んでしまった。
可憐さの中に潜む狂気が恐ろしい
中々面白い映画でした。
杉咲花さんの演技が凄く良かった。
可憐さの中に潜む狂気が恐ろしい。
いわゆる無戸籍の問題をミステリー的に取り上げているのだけれど、最後に、モヤモヤとしたまま映画を終えてしまうのが良いですね。
宮部みゆき原作の火車と似たような構造なのは少し気にはなったけど、こちらも良い映画だと思います。
是非見てください!
こんなに感情を揺さぶられる映画には久しぶりに出会いました。
杉咲花の幸薄く、影のある女性の演じ方に引き込まれるのですが、周りを固めた俳優陣の一人一人がそれぞれのシーンで何を考え、どんな気持ちで行動しているのかがハッキリと分かる気持ちが視聴者に伝わる演技をしていて、本当に素晴らしかった。
話としても、年代を行ったり来たりする割に、見せ方が良くて非常にわかりやすく、引き込まれました。後で知りましたが、元々はお芝居の脚本だそうで、映画になったのはこの立て付けの良さがあったからではないかと思います。
北くんが死んでしまったのか、もしくは市子が事前に用意した誰かが死んだのかは謎でした。個人的には、北くんが自ら死を買ってでるとは思えませんので、市子に殺されたのだと思います。視聴者に任せる方法をとったのは少しだけ謎めいた終わり方の方が話題を呼ぶからなのかなあと。
この映画と関係ありませんが、前日に見たゴッドファーザーに全く感銘を受けなかったので、この映画に対する賛辞が止まらない私です。
それでも生きていく
ヤングケアラーとしての過去
母親の離婚が原因で戸籍のない状態で暮らし、
重い障害の妹になりすまして学校へ通う
介護に疲れて妹の生命維持装置を外してしまった過去
母親の恋人を刺し殺したこと
全てを消し去って、生きていたのに
8年前に埋めた妹の死体が発見されて
恋人との暮らしを捨てて逃走し、
自殺志願者の保険証を受け取って、生きていく
悪いことだけど哀しい
そして自分の人生を諦めない強さ
淡々と生きる市子を杉咲花が
消えた市子を探す恋人を若葉竜也が演じる
どちらも実力派だから
ドラマ「アンメット」でも恋人同士役だったけれど
全く別人を演じてみせる
妹の名前は普通「民子」だろ❤
岩井俊二監督や大林宣彦監督をリスペクトしたい気持ちは分かるが、同じ手法を使っても脚本がしっかりしてしないから、出鱈目な時間進行になってしまっている。
謎の女性との出合い。そして、やっと出会えた幸せ。でも、実らず破綻する不幸。って事でしょ。
内容は複雑極まりないが、カルメンとか悪女系の古典からの転用ですね。
ましてや、実際の難病の方に対しての偏見につながらないのか?
と思うが。
タイトルなし(ネタバレ)
最後には市子と義則が再会できるのでは?と淡い期待を抱いていたのだが、会えずに終了、、、
妹も義理の父も過去を知る同級生も自殺志願者も全て殺して義則と一緒になるのかな?と思ったのにー!
この時は結ばれなかったけれど、アンメットでは一緒になれて良かった。
エンドロールの1番幸せだった頃の話し声が胸を締め付けました。
タイトルなし(ネタバレ)
余白を味わう映画なので、人それぞれの解釈があり、結末を自殺願望者の女性とストーカーの北を市子がはめて車で海に転落させた。しかも、計画的にコントロールして。という解釈する人がほとんどでしたが、私は死んだ女性は市子だと思ってしまった派です。
最後の市子の語りが長谷川に対する遺言のように聞こえました。
止める北と一緒に自ら命を絶ったのかもしれないし、人格障害のストーカーの北に無理心中させられたのかもしれない。
いろんな解釈ができるけど、どういう結末だったとしても市子には人並みの幸せな生活が送れるようには思えなくて、そう考えると切なくて切なくて鑑賞者の精神的ダメージはすごい。
「にじ」の鼻歌が希望のようにも聞こえるし、手の届かない人並みの幸せな生活にも思える。
どちらにしても、市子は長谷川と普通の生活を送り幸せに生きられたらどれだけ良かったか。
ひたすら市子の気持ちを探って反芻しても余白が埋まらず、鑑賞後こんなにも辛い気持ちを引きづった映画は初めてです。
市子、今どこにいる?
絶対に知られたくない過去を持つ市子。放置子、ヤングケアラー、母の恋人からの性的虐待、そして誰もが当たり前のように持っている戸籍が彼女にはない。
常識でははかれない歪んだ世界ゆえに起きた2件の殺人事件。
必死に過去を隠して手にした幸せ。
しかしそれすらも手放さなければならなかった。
彼女の母親から過去の話を聞いて義則が泣いたこと、母親が船上の義則に頭を下げ、彼がそれに応えたこと。市子がそれを知っていたなら最後の悲劇は起きなかったかもしれない。
市子のヒーローでありたかった北は市子の最後の望み、戸籍を彼女にプレゼントするために自殺希望者とともに海に沈んだのだろうか。戸籍を手にした市子はどこに向かっているのだろう。
市子を追い続けている刑事がなんとか市子にたどり着き、そして再び義則と市子が対面できることを望んでやまない。
義則と暮らした頃の市子の笑顔がもう一度見たい。
きっと明日はいい天気、そうあって欲しい。
市子には癒されたけど、ストーリーは家庭環境が辛すぎて精神を抉られる
市子(杉咲花)のビジュアルと喋り方が好きで魅入ってしまった。おかっぱのような特徴的な髪型も似合って可愛いし、ふだんは無表情で淡々としたトーンで喋るのに時折見せる笑顔でギャップにノックアウト。関西弁も萌えポイント。
長谷川と北が惚れた理由が分かるなー。すげー美獣って訳でもなく、特にわたしのタイプではないのに何故か惹かれてしまった。この役は杉咲花にしか出来ないと思う。
市子には癒されたけど、ストーリーは家庭環境が辛すぎて精神を抉られっぱなし。とくに市子が月子を殺すシーンは印象的だ。
「市子ありがとな」月子を殺した市子に放った母の台詞が重くて突き刺さる。その後何事もなかったようにお茶を出して鼻歌歌うのが異常。月子の目をじっと見つめながら呼吸器を外す市子も怖い。このシーンで尋常ではない親子関係なのだと確信した。
もはや面影のない市子一家の幸せそうな家族写真を見るとギャップで切なくなる。何が家庭を崩壊させたんだろう...。
無戸籍
法律の改正かな。
やっと今年令和6年4月1日から施行。
離婚後10ヶ月以内に出生した子でも
再婚相手の子と見なされるようになった。
しかし、市子が生まれた時は、前夫の子となり
前夫が拒否したら戸籍が無いことになるのか。
あとにできた月子が難病になり障害児と認定され、
就学できない身体を利用して市子がなりすました。
福祉課の小泉を利用して上手くごまかして来た。
小泉は母なつみの男だった。
月子の世話は大変だったのだろう。
ある日、市子が呼吸器を外した。生駒山に埋めた。
なつみは母親なのにありがとう、と言い鼻歌歌ってた。
埋めるのに小泉も加担したのか、
罪の意識で自堕落になり
市子にまで手を出すようになった。
怒りのあまり市子が小泉を刺し殺した。
一部始終見ていた北に手伝ってもらい
線路に寝かし電車に轢かせた。
長谷川と出会い3年暮らしたが、
婚姻届を出すとなり姿を消した。
北の元に身を寄せていたが、
警察と長谷川が来たので逃げた。
サイトで自殺願望者を募り北の家に来させる。
市子のいるところに北と自殺願望の女を来させた。
市子何人殺した?
妹、小泉、北、自殺願望者。
『火車』を思い出した。
家族のいない人の戸籍を手に入れ生きていくのだ。
再鑑賞して、
月子をkillした頃ぐらいから月子と名乗らなくなったのか⁉️最悪遺体が見つかるまで月子でいけたのに市子に戻ったのは、良心の呵責からか❓
また疑問なのは、見つかった遺体を警察は月子と断定したというニュースが流れたが、月子と照合できるデータなんてあるのか⁉️
見落としていたが、月子の病名は、筋ジストロフィーだった。シンママのなつみが仕事に行くので、市子が世話をする。観たシーン、オムツ替えていた。14,5 の少女があまり年の変わらない妹の下の世話、キツいと思う。
この病気で呼吸器を使い身動きできないのは、だいぶ末期に来ていたのだろう。
最初から気づいていたが、森永クン、目がパッチリして少し痩せていた。若々しくなっていた。
ふたりに幸あれ
市子を近くで見てきた人たちの多角的視点から、市子という人物について解き明かされていくかんじが面白かった。人間の多面性がよくわかるおはなし。
長谷川演じる若葉さんは、「長谷川は市子の過去を無理に知ろうとしない優しい人物ではなく、ずるくて弱い人間」と言っていた。市子がなにかを抱えているのはわかっていたけどそれを知って自分に受け止めきれるのか怖いから逃げてた。やさしさという鎧で自分を守って。人と一緒にいることって相手のいいところも悪いところも全部知って丸ごと受け止めてあげることじゃないか。みたいな、とっても深いことを言っていた...
伏線がたくさん貼ってあってミステリー要素も満載で面白い。そして人間物語としても深く重くのしかかってくる。ふつうの人間なら戸籍を持っているのは当たり前。でも彼女には生まれてから戸籍がなく、自分は何者なのかわからず後ろめたさを感じながらずっともがいていたんだと思う。長谷川と出会ってからやっと自分という輪郭がはっきりしてきたというか、生きる意味を見つけたんだと。長谷川と一緒に過ごす市子は生き生きしていた。
そんな中で婚約届を突き出されてうれしいことなのに悲しくて、市子のすべてを知ったあとにそのシーンを見ると胸が打たれる。出会ったときに「浴衣可愛い」といった市子のために浴衣を拵えてくれた長谷川。もう通すことのないとわかっていてお礼をいう市子。嬉しそうにその姿を優しいまなざしでみつめる長谷川。なにもかもせつなすぎる.....
杉咲花と若葉竜也の素晴らしいお芝居でふたりだけにしか出せない世界観がそこに生身の人間として存在していた。本当に素晴らしい
一番好きなシーンは、市子と長谷川の出会いからふたりで過ごしてきた何気ない日々の回想。あたたかい長谷川と笑ったり、時には喧嘩をし、寝顔を眺めるだけで幸せを感じ、同棲もはじめた、幸せな時間。が、いままでの重いテーマを吹き飛ばしてくれるくらいには輝いて見えた。
あんな長谷川みたいな人と、市子の立場で出会ったら間違いなく惚れるし、(そうじゃなくても惚れる)優しく、温厚で、プライドも高くなさそうで、好きにならないわけがない。この映画をみてからしばらくは長谷川ロスになっていた()
最後、冬子の戸籍に上乗りし、希望が見えてきたことをうたう「虹」をうたいながら、長谷川のもとに帰っていく市子であってほしいと願ってならない。
無戸籍児の壮絶な人生
プロポーズをした翌日、失踪した市子を探すために恋人の長谷川が市子の過去を追っていく。
市子に関わった人々から徐々に明かされていく市子の過去。
その最中警察も市子を探していることを知る。
失踪届を提出した際に担当した警察官にも協力を仰ぎ、市子の過去を深掘りしていく。
離婚後300日問題(詳しい知識を得た方がこの映画をより理解しやすいと思う)の為、無戸籍で出生した市子。
常人では想像もできないほど壮絶な人生を歩んでいた。
市子は自分の人生を得るために様々な罪を犯していく。
客観的に見れば悪でしかないことが、市子の立場を考えると「なんでこの行動を選んでしまったのかわかる気がする…」と思えてしまう。
色々と考えさせられる映画だった。
川辺市子の幸せの為に
同棲中の恋人・長谷川からプロポーズされた市子。涙を流して喜ぶ。
が、その翌日、市子は突然姿を消し…。
プロポーズした翌日にあっさりフラれた残念な青年…と一見思うが、そうでない事はすぐ察しが付く。
TVからのニュース。生駒山で発見された白骨体…。
それと市子に何の関係が…?
この時の長谷川はまだ知る由もなかった…。
長谷川を訪ねてきた市子を探しているという刑事・後藤。
市子を探したいという一心で、知っている事や情報を聞き出す。後藤に協力と同行。
市子の小学や中学時代の友人。高校時代の恋人、同級生。そして母。
証言から浮かび上がってきたのは、壮絶な半生と衝撃の事実であった…。
小学時代の友人の証言では…
同級生からからかわれていた発育のいいその友人を庇うなど、強気で優しかった。ケーキが好き。
奇妙な事に、市子ではなく“月子”と名乗っていた。
別の証言では…
小学時代と中学時代では雰囲気が変わっていた。急に成長したような…。
高校時代の恋人の証言。
交際する中で、キスやセックスなど男女の間…殊に身体の関係に於いて時折嫌悪感を示す事も。
高校時代の同級生の証言。
何処かミステリアス。それが好意を抱いていた自分を含め人を惹き付け魅せると共に、儚さも…。
長谷川も気付いた事を思い出す。
どんなに高熱を出しても、嫌いだからと病院に行く事を拒んだ。
得た証言や情報、調べて分かった事を繋ぎ合わせて徐々に判明した事は…
戸籍が無い市子。
母親のふしだらさ故、戸籍上存在していない。
“月子”と名乗って小学や中学に通っていたのは、妹の名と戸籍で。
その妹は難病で寝たきり。寝たきりになる前の妹・月子を知る同級生が月子と名乗っている市子に違和感を感じたのも無理ない。
戸籍無し。生活は困窮。妹の看病。スナックで働く母は男に依存で子育て放棄。母の恋人はしょっちゅう入り浸り。
高校時代の同級生はある場面を見てしまう。知ってしまう。
母の恋人から身体を強要されていた事を…。
あまりにも悲惨で過酷な過去…。
それを知られたくなくて姿を消したのか…?
いや、それらを知っている関係者もいるので、それは考えられない。
それに、姿を消した要因となったあのニュースとどういう…?
さらに事情を知る同級生と居所を突き止めた母親の証言は、追い打ちをかけるものであった…。
肉体関係を迫られた時、母の恋人を殺してしまう…。
呼吸器必須の妹の呼吸器を外し、死に至らしめ…。
二人の遺体を生駒山に…。
戸籍無し、壮絶な過去、そして殺人…。
人が生きていく中での負の全てを抱えたような市子。
無論、どんな理由あろうとも罪は許されない。ましてや殺人、しかも肉親。
市子一人だけが全て悪いのか…?
嫌悪すべき母の恋人は勿論、元凶である母親。看病と困窮で、娘は私たちの為に…なんて言ってたが、アンタにそれを言う資格あるのか。
市子を取り囲む全ての悪循環、劣悪環境、不幸な生い立ち…それらが市子を追い詰めた。苦しめた。
実際に罪を犯してしまった者、追い詰めた者、気付き手を差し伸べられなかった者…。皆、罪深い。
母親は言う。平凡で幸せな時もあった。家族中睦まじく。そこからの転落。
同級生が見たある時の市子。突然の雷雨。その豪雨の中、「全て流れてしまえ!」と嬉々として叫ぶその姿…。
この世や自分の人生を無くしてしまいたい…。
そんな心の声…。人を惹き付け魅せつつ、今にも壊れてしまいそうな儚さや脆さはそれ故か…。
安藤サクラや有村架純など時々映画の女神様に微笑まれたかのように快進撃続く女優いるが、今みた微笑まれたのは杉咲花だろう。
一躍脚光浴びた『湯を沸かすほどの熱い愛』の時から存在感や演技力は同世代屈指で、作品選びも安定。去年から今年にかけて『法廷遊戯』『52ヘルツのクジラたち』『朽ちないサクラ』と良質作続く。
中でも本作は指折り。『湯を沸かすほどの熱い愛』と並ぶ自身の代表作と言ってもいいほど。
不幸な役柄は多いが、決して二番煎じにはならない。さらに研きがかかった演技力は唯一無二。
ミステリアスでアンニュイな雰囲気、儚さ、悲しみ、苦しみ、そんな中で一時見せる“陽”の感情と表情。
佇まいも魅力も存在感も演技も、今杉咲花が魅せる事が出来る全て。頼もしく、圧巻の一言。
昨年度の国内主演女優賞は各映画賞によってバラつきあったが、独占すべきだった。
杉咲花の熱演も周りの助力あって。
俊英・戸田彬弘の演出力と脚本。『ある男』を彷彿させる題材だが、本作は本作ならではのオリジナリティーあり、ヒューマン・ミステリーとしても非常に面白い。
うだるような夏の暑さが作品雰囲気に一役買っている。
市子に好意を寄せ“手助け”した森永悠希が滲ませる哀れさ、宇野祥平の好助演、中村ゆりの毒親っぷり…。
そんな中、恋人役・若葉竜也の一途さに救われる。物語上の存在に於いても。
壮絶な過去。誰が彼女をこんな目に…?
罪を犯した。過酷な運命に翻弄されて。
それは許されない。
だからこんな私が幸せになっちゃいけない。
願っちゃいけないのか…?
幸せになっちゃいけないのか…?
長谷川との出会い。一緒に過ごした日々。そしてプロポーズ。
こんな私でも権利はある。
幸せになりたい。
幸せになったっていい。
流した涙はその表れ。
罪を償い、全ての苦しみから解放されたその日には、幸せになっていいんだよ。
市子は今何処に…?
再びTVからのニュース。そうでない事を。
川辺市子の幸せの為に。
見たあと疲れが。思ったこと、感想。
市子を見ていて不遇で環境の悪さとかをなんか可哀想やつらいって思ってみていたけど、鼻歌を聞いていると全然彼女の気持ちがわからないなと思った。
最初と最後の鼻歌では印象が違った。同じ場面だが最初は悲しい感じだと思った。最後は気分がよくて鼻歌歌ってると思った。
もちろん複雑で陽気とは違うけど、リラックスして歩いてるような感じ。
しては行けないことを躾けられるほど大人にみられてない市子は生きるためにしたことと割り切ってると思った。
成長とともに自然と常識は身についていってる。
高校のとき線路に死体を一緒に運んだ男子は気が滅入っていたが市子は切り替えてた。
妹の介助疲れで妹を殺すときも生存本能で仕方なかったと。
高校のときの恋人や今の恋人には悪い面を全く見せてなくて、大切な人には見られたくない。
高校のときの市子のストーカー男子のことはどうでもよくて扱いが全然違う。自分は好きじゃないけど相手は好いてくれててただ利用する。市子はちゃんと突き放してて、それでも来る彼を結局は利用するかたち。
自殺願望のある女性は市子に少し似ていて、自殺願望のある人ならいいかとなるのか利用する。
市子は殺人鬼とか快楽でやるわけではなくて、生きていくために仕方がなくなれば殺すことができる。
人殺しは絶対ダメがない。食べ物に困ってるから万引きするのを皆んな理解できると思うけど、その感じで殺人があると思った。
市子の母の内縁の夫?や高校のときのストーカー男子が嫌味で「悪魔」って言うけど、性欲に支配されて、下心で行動してたやつが偉そうに言えることは何もないとむかついた。
市子と違ってそこから離れることができる他人の男たちは関係をやめればいいだけ、見捨てるのがつらいかもしれないがこの不幸を耐えられない奴が依存になってる。
市子の周りの女性は嫌いだと思ったら離れてそれきりだし、ケーキ屋のキキちゃんはいい子で気になってるけど執着はしてこない。
女性の不幸には性がつきまとう。うんざり。
助けてくれるのは下心のあるやつばかり。
キキちゃんといたときはいい方に向かいそうだった。
戸籍や身分証明書などの社会のルールのために、人を殺すというルールに反してることをする。皮肉。不完全な世の中を感じた。生きるために人を殺すって究極で仕方ないこともあるかもしれない。
でも、社会のルールから外れてて書類のために殺さないといけなくなるのはつらいと思った。
途中で戸籍取るのを助けてくれる団体が出てきてよかった。そこに行き着くまでに後ろ暗いところができてる人も多くいるんだろう。
どうしたらいいかわからないけど、未成年はもっと早い段階でそんなに難しくなく手続きできたらいいと思った。一緒に暮らしてない親や親戚には未成年とはいえ情報を明かさないのを必須にして。
障害のある妹の介助・介護もヤングケアラーになってて、戸籍がもしあっても市子が疲れて殺すのは変わらないから、支援が必要だった。そういう助けが不十分なことの積み重ねが彼女の立場をなくした。
男性陣の配役、俳優がよかった。
市子はこういう人だって知った気になれなくて、杉咲さんもよかった。
ケーキが好きで屋台の焼きそばが好きでよその家のみそ汁の匂いが羨ましくて普通に暮らしたいだけで、無戸籍が生まれてからずっと付きまとってくるせいで幸せになるのが難しいつらさを思う。でもいくつかは戸籍ではなく貧しさのせい。
いろんな問題が入ってる話し。
ただ生きようとしてるのが伝わってくる。
月子が死んでなりすますことになったけど、やっぱり市子として行きたいと思ったのに、また身分を手に入れるために自殺幇助をして誰かになる。
また市子じゃなくなるの悲しい。
それまでを捨てたんだな。仕方なく。
あの鼻歌、月子を殺した日に台所で母親が鼻歌してたもので最後の場面と状況が被る。
想像は超えてこない
まず最初の感想は、2023年の話はないんかい、というツッコミ。2015年から始まるので、最終的には2023年の市子が見られるのだろうとという期待と逆算の姿勢で見てたぶん、かなり肩透かしを食らった。
話としては市子の過去を追っていくという内容であるが、それぞれのエピソードも全て予想の範囲内。
役者陣の演技力のおかげで見られない作品ではないが、内容は平凡。
※細かいこと点をもう一つ。最序盤に出てくる白骨化遺体という言葉が気になったが、今では身元不明でも遺体という言葉を使うそう。でも、2015年時はどうだったんでしょうね?
障害者の月子と健常者の「月子」
<映画のことば>
それがどうも…。
存在せえへんのですよ。
月子を捨てて、本来の市子を、いわば「取り戻す」ためには、悪魔にでもなるということでしょうか。
要するに、本作の言わんとするところは。
生まれた時から「当たり前のように」戸籍があり、その戸籍を使って(少なくとも法律面では)「当たり前のように」自分というものの存在を同定できる立場にいる評論子らからしてみれば、その苦悩は、容易には推し量ることができないものがあるのかも知れません。
約一億人も住んでいで、そして、これほど完備された戸籍制度を持っている日本は、世界的には、稀有な国と聞いたことがあります。
(アメリカには、日本のように出生から死亡までを一貫して把握できる戸籍制度はなく、申告によって、出生証明書と死亡証明書が取れるだけで、両者の間には関連性(同一人性)が必ずしも担保されていないと聞いたことがあります。(それゆえ、他人への成り済ましが、日本よりは容易とか。)
プリントされてしまえばほんの数枚の紙切れなのですけれども。
しかし「人が無戸籍でいること」のその重さに、慄然とするとともに、本当に胸が痛みます。
そのことに改めて思いが至ったということでは、佳作と評価して良いのではないかと思います。
評論子は。
(追記)
市子の無戸籍も、言ってしまえば今の法律の結果と言うことなのですけれども。
そういう市子のような無戸籍児が出てくる原因は、まだ前婚が解消にならないうちから他と異性関係を結んだという結果にも他なりません。
その民法の嫡出推定規定「だけ」が果たして悪者なのか。
そのへんの議論をちゃんと突き詰めないと、いつまで経っても、法改正の動きは出てこない(出てきても、「子の身分関係の安定」とか「戸籍による身分関係の確実な公証」という建前に、結局は潰されてしまう)ように、評論子には思われてなりません。
(なお、この制度の合理性ということでは、最高裁が平成26年に判断し、科学的な父性の正確性よりも、子の身分関係の安定を優先しようとする制度で、不合理ではない、としていますが、3対2の、いわばギリギリ多数での判決(多数意見)で、誰かあと一人の裁判官が反対に回っていたら、結論が違っていたというケースでしたけれども。)
(追記)
本作の全編を通じて「罵(ののし)り合うシーン」「言い争うシーン」がやたらと多かったというのが、本作を観終わっての、実は第一印象でした。
(追記)
長谷川のプロポーズは、心底では嬉しかったのだと信じたいところではあります。
けれども、彼女の(突然の?)失踪は、彼のそのプロポーズが「ダメ押し」になったことも、また事実だろうとは思います。
評論子は。
ましてや生駒山中での白骨化遺体発見のニュースで、グイグイと背中を押されていた、正にその状況下で。
結局は、長谷川のプロポーズが嬉しければ嬉しいほど、市子には、その嬉しさが「重た過ぎた」ということでしょう。
そう思うと、胸の痛さということでは、本当にやりきれない思いも禁じ得ません。
(追記)
サイトの解説を読む限り、どうやら『名前』は、観たことがありそうなのですけれども(心許ないことで、ゴメンナサイ)。
その一方で、また他の作品を見比べてみたいと思える監督さんに出会えたことは、一映画ファンとしては、嬉しくも思います。
個人的には秀作と思われながら、傑作とは思えなかった理由とは
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
※重要作品なのにレビュー漏れしていて今更ですが‥
この映画『市子』は題材、内容、俳優陣からしても傑作になり得た作品だと思われていました。
しかしながら個人的には以下理由によって傑作には届いてない感想を持ちました。
それは、
A.市子とは何者なのか?という、長谷川義則(若葉竜也さん)の現在から過去にさかのぼる視点
B.市子がどんな人生を生きて来たのか?という、川辺市子(杉咲花さん)の過去から現在に向かう視点
がそれぞれ断片的構成で描かれていた所にあると思われました。
A.の市子とは何者か?の視点で描かれれば、ミステリー度合いが増します。
B.の市子の生い立ちを幼少期から見せて行けば、私小説度合いが増します。
それぞれの描き方は、それぞれで映画的な満足度が得られたと思われます。
しかし今作の映画『市子』は、A.のミステリー度、B.の私小説度、の両方を取ろうとして、個人的にはどちらも中途半端に切断される描かれ方になっていると思われました。
個人的には、最後の長谷川義則と市子の母・川辺なつみ(中村ゆりさん)との漁港での会話のシーンでそこまでの感銘はやって来ませんでした。
それは、長谷川義則が主体となって初めから最後まで市子の生涯をさかのぼって解明したわけでなく、一方で、私小説的な市子の生い立ちも長谷川義則の真相究明の場面によってぶつ切りになっていた、のが理由だと思われました。
ドラマ「アンメット」でも分かるように、杉咲花さん若葉竜也さんの演技の素晴らしさはこれまでのそれぞれの出演作品での演技を観ても、今さら言う必要はないと思われます。
また題材的にも今作の映画『市子』は傑作になり得る作品だったと思われます。
個人的には、もちろん多くの人が評価しているのは理解するのですが、今作はミステリーとしても私小説としても、欲張った構成によってそれぞれ中途半端となり、傑作になり得なかった作品だと僭越ながら思われました。
杉咲花さんは市子でしたね。
3年付き合った彼女にプロポーズをした翌日に主人公の市子が失踪する。すると刑事が市子の捜査をしていると、また市子と言う人物は存在し無い人物だと伝えられ恋人の長谷川は途方に暮れる。行方を追う長谷川は市子の壮絶な人生を知る事になる…
市子を演じた杉咲花さんは最高でした。
関西弁で『好き』とあの瞳で言われるとドキドキしますよねー。
衝撃と言うか市子のキャラクターを杉咲さんが演じる事で市子に同情するか、嫌悪感を抱くか?
別れるでしょうねー。
観ていて感情が揺さぶられ、面白かったです。
無戸籍であり、月子と名乗ったり市子と名乗ったりと市子に関わった人物が登場しストーリーが過去と現在が交差し徐々に市子の人物像が浮き彫りになっていきます。
市子は小学生の頃の頃から大人の目線と言うか、開き直った生意気な子供に見えます。
もし自分が同級生なら近づかないかなー!
でもきっと男性には惹かれる魅力があり、市子はその魅力を自分でも気付いていた?女を武器にする悪魔的な存在に見える。
全編通して見て、親の無責任が故に生まれた市子。
隠された存在にされる事で徐々に歪んで行ったのか?
寝たきりの月子は自分と母親に取って邪魔な存在?
もしくは月子を母親の為に消す行動に至ったのか?
もしくは母親への復讐心があっての行動か?
いや月子の事を思っての行動か?
その心理は分かりません。しかし市子よそれはダメなやつだとがっかりさせられる。
母親の『ありがとう』と言う言葉も、ゾッとするし壊れているとしか言いようが無い。
北君もとんでもない事に巻き込まれている。少し気持ち悪い存在で、ストーカー気質で心底市子に惚れていた。しかし市子にとっては一番の理解者で助けてくれる存在だがラストまで利用されてあーそうなるのーと言う結末にやっぱり邪魔な存在だったのかと思ってしまう。
ここまで来ると、確かに親の責任、無戸籍といろんな原因はあるが、市子の存在が完全なサイコパスにも写ってしまう。終盤になると背景にある問題が薄れてきてしまう。
逃げられない過去と現実に生きる市子は悪魔にも映るし、ただ純粋に普通に行きたかっただけと健気に映る杉咲花さんの演技は素晴らしかった。
本当に可哀想なのは巻き込まれた長谷川君で、もしかしたら市子に…と思ってしまう。
全114件中、1~20件目を表示