市子のレビュー・感想・評価
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苦しくて重いテーマ
52ヘルツのクジラたちを観てから配信で鑑賞。どちらもテーマが重いが、こちらは人を殺めてしまっている分救いが、ない。無戸籍に端を発しヤングケアラー、虐待とこれほどまでに重い荷物を背負わされたら壊れてしまっても当たり前。長谷川の元から姿を消したのは、入籍する際無戸籍であることがバレてしまうという恐怖からではなく、もう後戻りできない自分の過ちに愛する人を巻き込めないという思いからだったのか。書類上この世に存在しない市子。多分その魂が真から救われることはないだろう。
私でありたいという願い
たまたまそこに生まれた環境が持つ理不尽さ。 それでも「市子」でありたいと願う、アイデンティティの希求。 そしてどんな時も、助けてくれる人が周りにかならずいてくれる、人としての引力。 この苦しく重いテーマは、「市子の視点」では、受け止めるのが辛かったかもしれないけれど、あえて主役以外から市子を見つめることで浮き立たせる演出。 選択肢の少なさ、出口の見えなさ。 それでも愛する人に出会い、夢を見つけ、未来に向かうときには、誰にもそれがあって欲しい。
監督、舞台の人か。そうか。
「段取り」で場面が展開してるって感じた映画は初めて。特に(ここだけじゃ無い)青年が四国に渡って男女の大喧嘩に遭遇した所。タイミングやカメラアングルや役者の芝居、全部実際の出来事っぽくあえて見せなかったという、斬新な手法だったのか?市子の母親の服装等のビジュアルが定型でそういうとこも、絵空事だった。最初から最後まで監督が細かーーく指示した賜物かしら。唯一リアルだったのは刑事さんの存在感。警察署内。
「幸せな時もあった」そう語る母親 最後に恋人との過去の幸せな時間を...
「幸せな時もあった」そう語る母親
最後に恋人との過去の幸せな時間を回想する市子
他人だけじゃなく、自分のこれからの幸せさえも犠牲にしていく
過去の幸せな思い出の為だけに、苦しみながらも生きる道を選び続ける市子には同意も出来ないし理解出来ない
それでもその強さには圧倒された
そせて杉咲さんの演技、魅力にもまた圧倒された
いつ見ても凄い役者さんだなと思う
もう元子役とは呼べません
率直に素晴らしい作品だと思いました。 若干忙しない設定ではありますが、奥行きを与える意味で機能してますし、特に無駄なものもないかなという印象です。 この映画を成り立たせる意味で主演の杉咲花さんの貢献は非常に大きいと思います。 随分前からブランクなしにドラマ中心に子役として活躍してきたこともあり、子役出身の杉咲花という印象の方も多いと思います。 私も元から上手い役者さんだなとは思ってましたが、こういうまさしく映画という作品に出演されてるのを初めて拝見して認識を改めました。 彼女は別格でした。もっとこういう作品で見たいです。
時間だけが過ぎてゆく絶望感
「あのタイミングで、ああしておけば…」 側から見れば、それが正論。 そんなことはわかっている。 でも、そのタイミングでは、そうはできなかったんだって…。 途中で努力もしようとしたよ。 でもね、無理だった。 今となってはどんどん手遅れになるばかり。 打開策も見えないままに、時間だけが過ぎていく…。 映画で描き出しているそうした静かな絶望感を、否定できる人はどれくらいいるだろうか。 大なり小なり、なんらかの出来事で「時間だけが過ぎていく」という経験をした(している)人にとっては、かなりえぐられる映画だと思う。 幸せな時間の描き方が本当にうまい。 だからこそ余計に、母も子も口ずさむ、あの歌が切ない。
違う形で、誰か助けてあげれれば
まず冒頭のテレビからのニュースで、引き込まれてしまいました。 「東大阪市の生駒山付近で白骨死体が見つかった」 そして河内警察署の刑事が来てと。。。 実は私はその辺りは、ちょっと土地勘がありまして(笑) 刑事の名刺の警察署の住所も本当だったので、適当な住所じゃないんだーって思ってしまいました。 けれど撮影したのは、八尾市だったんですよね(笑) まぁーそれはおいておいて😊 恋人の長谷川が市子を探していくのだけど、市子と関わった人をオムニバスの様な形式で描いていってます。 年代がころころと変わるので、注意が必要ですね。 ぼっーとしてると、過去か現在がわからなくなってしまうかもです(笑) ネタバレになってしまうので、なぜ市子が失踪してしまったのかは、言えないのですが、 同じ様な理由で苦しんでいるた人は、少なからずいたのではないでしょうか? 現在は、法律も変更になってるので、市子も今産まれてたら救われた事でしょう。 それにしても杉咲花は、やっぱり存在感がある演技をしますよね💕 10年前にテレビで「夜行観覧車」というドラマで、少女役を演じてました。 家庭内暴力を起こしていく、凄まじい豹変ぶりが、「この子って凄い。。。」と凍りついてしまった事を覚えてます。 この時は「動」でしたが、今回は「静」の演技で、釘付けになってしまいます。 妹と家で2人っきりのシーン。 言葉にはしないのに、気持ちを見てる側にも伝えるって、本当に凄いです。 ラストは、はっきりとは描いてないのだけど、 テレビから流れるニュース映像と、歌いながら歩く人(たぶん市子)から、「そういう事だよね」と想像できます。 市子の肩を持ちたいという気持ちと、人としては許せないという気持ちとが交差する映画でした。 市子が子供の頃に、誰か助けてくれる人がいれば、もっと違う生き方ができたかもしれないと思うと残念です。 もし私が市子の立場なら、どうしたのだろう? ちょっと考えてしまいました。
不気味
何かを隠してる、何かがオカシイ、市子と関わった人達の話を織り交ぜながら、突如失踪した市子探しが進んでいく。 杉咲花さんの怪演。何を考えているか分からないけど、時折みせる可愛い表情と、辛そうな表情が守ってあげたいと思わせる。 そして、実際に辛いその人生に同情する。
自分なりの解釈を描きます
市子が月子の酸素マスクを外して殺すシーンで市子の見た目が今に近すぎて時系列が噛み合わない問題について
市子が月子を殺す回想シーンは実際に起こったことではなく市子の中で都合よく改変された記憶だと考えます。
市子が今の姿に近いのは、市子が月子として過ごしていた時間の記憶を自分の中で消して市子として生きていくという決心をしたからなでは無いかなと思っています。(人間は自分に都合の悪い記憶を消すと言いますし)
少し怖い
映画自体の感想ではないが、私が目にした映画の感想が市子に同情的なものが多くて少し怖くなった。酌量の余地はあってもシリアルキラーではないか。「虹」を口ずさみながら浜辺近くの道をのんびりと歩く姿は、裏を返せば恐怖そのものだろう。もし作り手がそれらしくないシリアルキラーを描きたかったのであれば大成功だと思う。
都合よく見てはいけない場面に遭遇するとか、気になるところはあったが、観る人にわかりやすいサスペンス仕立てで、蝉の鳴き声の演出もまとまりがあってよかったと思う。
幸せは永遠に続かない
楽しい映画ではないが俳優さん達全員がとにかく素晴らしい作品でした。 過去を偽って生きてきた主人公は、偽りたくて偽ってきたわけではないだけに、本当の自分(名前)として生きていきたい気持ちはあるのだろう。ただ結局後半に別の戸籍を手に入れてそうな気配があり、おや・・やはり「悪魔」なのか? 人生の中でその瞬間の友情や愛情は嘘ではないのだろうけれど、それは長く続かないと思っているのか、最期には自分から去り、その幸せを諦めてしまう事を続けている。それは愛した人への配慮なのか、自分の保身なのかは視聴者の想像次第。 母親もあの場面で鼻歌を歌っていたが、「楽しい」からではなく、現実を見ない為だろうか。冒頭に主人公の最期の鼻歌シーンが差し込まれていることでストーリーを観てない状態だと鼻歌は当然、気分が良い時だと感じるが、ストーリーを知ったうえでだと最期の鼻歌はとても悲しい。
引き込まれた。取り返しがつかないくらいに。
杉崎花 すごい。 若葉竜也はおちょやんの時も共演してるけれど、今回の若葉さんの純愛は素晴らしかった。 流し見するつもりが(失礼でしかない) 何もかもの手を止めて見入ってしまった。 中村ゆり の美しさ、綺麗なバストラインは女性である私ですらうっとりする。 生命保険のCMで涙を誘う演技をしているが、それ以外の 彼女の役に恵まれなさが そこもまた痛々しく美しい。 気の毒な役回りは渡辺大地もそう。 次こそは いい人の役をやったのを見てみたいものだ。 (今 大河 光る君へ では まあまあなので嬉しい) ストーリーは時代を超えてあっちへ行ったりこっちへ行ったり。 時系列がちょっとわからないんだけれど、 病気の子は指定難病クラスだし、多分 補助も出てるだろうしどうやって交換する設定にしたんだろう? 小学校を途中で学年落としてるんだけどその時に妹の戸籍を貰ってると考えると彼女の治療費は? 無戸籍の姉が妹に手をかけたのは何歳の時設定? まあ、、、、いいかもう。 面白かったので。
ただいま。 おかえり
ただいま。と言える相手と帰る場所を手にしたのに、それを自ら手放さなければならない境遇というのは、それが過去の罪によるものだとしてもむごい事だな
最後に市子は身分証をまんまと手に入れて長谷川の元に帰ろうとしたのか?
それともさらに逃亡を続けるのか…
長谷川と出会ったときは新聞配達の住み込みバイトをしていて、そこのオーナーが倒れてからは無職だったよな。
でも、新聞配達の仕事先で出会ったキキちゃんとケーキ屋の仕事に転身した?
ケーキ屋時代に北と再開してる?
この辺がこんがらがってきて、難しかった…
年表があるらしいので、それを見ればハッキリするとは思うけど。
ラストの詰めが甘い
市子を追っている刑事は市子の顔を知っている そして北にも会って事情聴取をしている 北の身元はすぐ判明するはずだから、身代わりの女性が市子でない事はわかるはず そしてその後、パティシエの友人の所で働いていれば捕まりますよね ここは、速攻で全ての関係を絶って消えるべき所です 小泉にしても自殺と処理されるのは疑問が残る 刃物傷があるはずなのに、電車の飛び込み自殺にはならないと思うんだけどね なので ラストは市子の逮捕で終わるべきではないでしょうか でないと、真の殺人者になった人間を野に放つだけの結末になります これが娯楽作品、例えば”ジョーカー”みたいな作品なら爽快感を持つことが出来る でも、これは違うでしょう? 日本映画はこういうのが多い ”怒り”とか、“閉鎖病棟”とか 観客に反社会的な行動を正当な行為と思い込ませようとしているように思える時がある 今回も彼女にシンパシーを持ってしまうような作りです ちゃんとした大人なら、作品から問題提起できるんですが、単純な若者には毒にしかならない 今回なら、ヤングケアラーの問題、無戸籍の問題、狭間の人達への援助の必要性とかが見えてくる 主役を杉咲花にすえる事は良くもあり悪くもある 彼女の不幸な少女の演技は観客にくい込み、 同情を誘ってしまう しかし、実はヒロインの女性はしたたかな魔性の女なんです ストーカーの北との交流も自然発生的に感じられてしまうが、あれも作為的なんでしょう 小学生の時から男の子をたらしこんでいましたからね とはいえ杉咲花にとっては、主演女優として最高の作品となりました 日本アカデミー賞なんて、レコード大賞と一緒で会社などの思惑としがらみで決まるつまらん賞です 主演女優賞の安藤サクラは確かに上手い役者だけれど、”怪物”は彼女が主演じゃない 助演女優賞だって”ゴジラ-1.0”で助演と言うほど演技していない そのあたりは安藤サクラがいちばんよくわかっていて、挨拶のぎこちないこと 今回はダントツで杉咲花が主演女優賞だと思いました
世にも過酷な市子の半生
市子は暗い出自です。 重度障害者の妹。 母親の離婚直後に生まれたらしい市子。 その為に戸籍がない。 市子は儚いです、ミステリアスです。 無邪気さは皆無ですが生い立ちを知ると当然です。 リアル存在してるのか心配になる程、希薄。 戸籍がない。 死んでも殺されても気付かれない。 そんな淡い存在を杉咲花は完璧にに演じました。 長谷川(若葉竜也)の愛に答えたらダメですか? あの秘密も、この秘密も 話せませんか? やはり母親(中村ゆり)の存在は許せなかった。 子供の幸せ・・・ 少なくとも自分の死後の市子、 市子はどう生きれば良いの? 道すじ位は、つけてあげるのが親の務めです。 正直言って見てるのがしんどかった。 過去のシーン、回想のシーン、蝉の鳴き声、 蝉の鳴き声は十回は聞きました。 常に夏だよね、この四季ある日本で・・・ 正直言ってリアルでない。 ラストの方で海に落ちた車に20代男女の遺体、 それって誰のこと? 市子は生きているのでしょうか? とても心配になりました。
市子のアイデンティティー
この作品は、主人公のアイデンティティと素直な自己表現を、映画を通して人々に問いかけている。「あなたは彼女の生き方に何を感じた?」 市子のあの黒い服は、心の闇を表現しているのではなく、裁判官と同じく「私は何者にも染まらない」という決心の現れなのではないだろうか。決心したとき着る服なのだ。 汗が滴り落ちる暑い夏が、年代問わずに同じように背景にある。朦朧とする思考… 市子の鼻歌は、月子の人工呼吸器を止めたとき、無意識に母のした鼻歌だった。 限界からの開放… 「ありがとね」思いもしなかった母の言葉 無戸籍だから小学校にもいけない市子と戸籍はあるけど筋ジストロフィーで寝たきりの父親が違う妹月子。 そして3歳遅れで「月子」の戸籍を利用して入学したのは、母の知恵だったのだろう。 この物語は細部や結末まで描かれていない。そして、この物語がどこへ向かうのかも描かれていない。視聴者が自分で感じて考えるのだ。 私は月子ではなく市子だ。これが彼女の心の叫びとなり変化のきっかけとなる。 多くは、どうしようもなくなって、そうしていわゆる「犯罪」は起きるのだろう。 そのある種の狂気を暑い汗の滴る暑い夏に乗せている。 母は2度目の離婚で、生計のためにスナックで働く。離婚が、幸せな日々を奪ったのだろう。長谷川が見せた家族写真を奪い、胸に押しつけて涙する母のシーンは、振り返ってみればあの時が一番幸せだったことを伝えている。 どれだけ振り返っても返ってこない過去。母が感じている犯してしまった数々の失敗と隠し通したい犯罪。彼女の思いは至極一般的で、だから徳島の小さな島に移住したのだろう。罪悪感と後悔が彼女を包みこんでいる。 でも市子という人間は彼女とは違った。市子は勇敢で積極的で恐ろしく狡猾だ。北に対し「何を思ってもいい」というシーンがあるが、これこそが市子の心の声だ。だから私の思ったとおりに生きてゆく、のだろう。 市子は貧困で無戸籍であるにも関わらず、彼女を放ってはおけなくさせるオーラが、彼女の人生の時々で友人となって現れるが、北のように窮地を救うものが今度は市子を困らせる役となる。 そして婚約者の長谷川もまた、北と同じように彼女を追いかけることでこの物語が紡ぎ出されていく。 市子の母が長谷川の乗るフェリーに深々と頭を下げるのは、「娘をよろしくお願いします」という意味だろう。それが彼女の清楚な服装に現れている。 長谷川は、刑事からの電話に出なかったように、今後も出ないだろう。 市子という人間の過去を知り、その人生に同情と共感で泣いたところで、本当の彼女を知ることはできない。彼女は常にその先へと動いているからだ。 長谷川は、どこかで北の事故死を知るだろう。その時彼は初めて市子という人物を知ることになると思う。 彼女にとって一番いいのが、母が言ったように追いかけないことになる。 そうして長谷川は彼女をリリースすることができて初めてこの問題に決着できると思われるが、盲目になってしまえば… この作品は、人が犯す犯罪というものの視点ではなく、どうにもならない運命でもなく、社会や法律や恋人よりも「私」という存在が一番上にあるのだということを見る人に伝えたかったのかなと思った。 犯罪とかではないが、市子のように常に自分が一番上に立った物の考え方は、私は正しいと思う。
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