市子のレビュー・感想・評価
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ひとつだけ疑問
皆さん、杉咲花さんを褒めると思います。確かに良かったと思います。が、若葉くんもとっても良かったと思います。前半(時系列での)の嬉しそうな顔、後半の厳しい顔、これまで今泉作品でしか記憶ないですが、もっと活躍を期待してます。
伏線もバッチリですし、重たい話にズドーンとしました。監督の作品は「名前」を観たことありました。
わたしの意見としては、杉咲さんは自首して、戸籍の件もしっかり説明して、懲役を終えて、若葉くんと結婚するべきです。彼は受け入れてくれます。
ひとつだけ疑問なのは、面白い展開なのに、映画としてとても映画長く感じました。何故ですかね?
テンポが悪い?、内容が盛りだくさんすぎる?ラストが最初にあるから? よくわかりませんが、ともかく長く感じました。
ふたりに幸あれ
市子を近くで見てきた人たちの多角的視点から、市子という人物について解き明かされていくかんじが面白かった。人間の多面性がよくわかるおはなし。
長谷川演じる若葉さんは、「長谷川は市子の過去を無理に知ろうとしない優しい人物ではなく、ずるくて弱い人間」と言っていた。市子がなにかを抱えているのはわかっていたけどそれを知って自分に受け止めきれるのか怖いから逃げてた。やさしさという鎧で自分を守って。人と一緒にいることって相手のいいところも悪いところも全部知って丸ごと受け止めてあげることじゃないか。みたいな、とっても深いことを言っていた...
伏線がたくさん貼ってあってミステリー要素も満載で面白い。そして人間物語としても深く重くのしかかってくる。ふつうの人間なら戸籍を持っているのは当たり前。でも彼女には生まれてから戸籍がなく、自分は何者なのかわからず後ろめたさを感じながらずっともがいていたんだと思う。長谷川と出会ってからやっと自分という輪郭がはっきりしてきたというか、生きる意味を見つけたんだと。長谷川と一緒に過ごす市子は生き生きしていた。
そんな中で婚約届を突き出されてうれしいことなのに悲しくて、市子のすべてを知ったあとにそのシーンを見ると胸が打たれる。出会ったときに「浴衣可愛い」といった市子のために浴衣を拵えてくれた長谷川。もう通すことのないとわかっていてお礼をいう市子。嬉しそうにその姿を優しいまなざしでみつめる長谷川。なにもかもせつなすぎる.....
杉咲花と若葉竜也の素晴らしいお芝居でふたりだけにしか出せない世界観がそこに生身の人間として存在していた。本当に素晴らしい
一番好きなシーンは、市子と長谷川の出会いからふたりで過ごしてきた何気ない日々の回想。あたたかい長谷川と笑ったり、時には喧嘩をし、寝顔を眺めるだけで幸せを感じ、同棲もはじめた、幸せな時間。が、いままでの重いテーマを吹き飛ばしてくれるくらいには輝いて見えた。
あんな長谷川みたいな人と、市子の立場で出会ったら間違いなく惚れるし、(そうじゃなくても惚れる)優しく、温厚で、プライドも高くなさそうで、好きにならないわけがない。この映画をみてからしばらくは長谷川ロスになっていた()
最後、冬子の戸籍に上乗りし、希望が見えてきたことをうたう「虹」をうたいながら、長谷川のもとに帰っていく市子であってほしいと願ってならない。
見逃し厳禁、杉咲花が誘う人間関係の痛みと危うさ
無戸籍児の壮絶な人生
プロポーズをした翌日、失踪した市子を探すために恋人の長谷川が市子の過去を追っていく。
市子に関わった人々から徐々に明かされていく市子の過去。
その最中警察も市子を探していることを知る。
失踪届を提出した際に担当した警察官にも協力を仰ぎ、市子の過去を深掘りしていく。
離婚後300日問題(詳しい知識を得た方がこの映画をより理解しやすいと思う)の為、無戸籍で出生した市子。
常人では想像もできないほど壮絶な人生を歩んでいた。
市子は自分の人生を得るために様々な罪を犯していく。
客観的に見れば悪でしかないことが、市子の立場を考えると「なんでこの行動を選んでしまったのかわかる気がする…」と思えてしまう。
色々と考えさせられる映画だった。
川辺市子の幸せの為に
同棲中の恋人・長谷川からプロポーズされた市子。涙を流して喜ぶ。
が、その翌日、市子は突然姿を消し…。
プロポーズした翌日にあっさりフラれた残念な青年…と一見思うが、そうでない事はすぐ察しが付く。
TVからのニュース。生駒山で発見された白骨体…。
それと市子に何の関係が…?
この時の長谷川はまだ知る由もなかった…。
長谷川を訪ねてきた市子を探しているという刑事・後藤。
市子を探したいという一心で、知っている事や情報を聞き出す。後藤に協力と同行。
市子の小学や中学時代の友人。高校時代の恋人、同級生。そして母。
証言から浮かび上がってきたのは、壮絶な半生と衝撃の事実であった…。
小学時代の友人の証言では…
同級生からからかわれていた発育のいいその友人を庇うなど、強気で優しかった。ケーキが好き。
奇妙な事に、市子ではなく“月子”と名乗っていた。
別の証言では…
小学時代と中学時代では雰囲気が変わっていた。急に成長したような…。
高校時代の恋人の証言。
交際する中で、キスやセックスなど男女の間…殊に身体の関係に於いて時折嫌悪感を示す事も。
高校時代の同級生の証言。
何処かミステリアス。それが好意を抱いていた自分を含め人を惹き付け魅せると共に、儚さも…。
長谷川も気付いた事を思い出す。
どんなに高熱を出しても、嫌いだからと病院に行く事を拒んだ。
得た証言や情報、調べて分かった事を繋ぎ合わせて徐々に判明した事は…
戸籍が無い市子。
母親のふしだらさ故、戸籍上存在していない。
“月子”と名乗って小学や中学に通っていたのは、妹の名と戸籍で。
その妹は難病で寝たきり。寝たきりになる前の妹・月子を知る同級生が月子と名乗っている市子に違和感を感じたのも無理ない。
戸籍無し。生活は困窮。妹の看病。スナックで働く母は男に依存で子育て放棄。母の恋人はしょっちゅう入り浸り。
高校時代の同級生はある場面を見てしまう。知ってしまう。
母の恋人から身体を強要されていた事を…。
あまりにも悲惨で過酷な過去…。
それを知られたくなくて姿を消したのか…?
いや、それらを知っている関係者もいるので、それは考えられない。
それに、姿を消した要因となったあのニュースとどういう…?
さらに事情を知る同級生と居所を突き止めた母親の証言は、追い打ちをかけるものであった…。
肉体関係を迫られた時、母の恋人を殺してしまう…。
呼吸器必須の妹の呼吸器を外し、死に至らしめ…。
二人の遺体を生駒山に…。
戸籍無し、壮絶な過去、そして殺人…。
人が生きていく中での負の全てを抱えたような市子。
無論、どんな理由あろうとも罪は許されない。ましてや殺人、しかも肉親。
市子一人だけが全て悪いのか…?
嫌悪すべき母の恋人は勿論、元凶である母親。看病と困窮で、娘は私たちの為に…なんて言ってたが、アンタにそれを言う資格あるのか。
市子を取り囲む全ての悪循環、劣悪環境、不幸な生い立ち…それらが市子を追い詰めた。苦しめた。
実際に罪を犯してしまった者、追い詰めた者、気付き手を差し伸べられなかった者…。皆、罪深い。
母親は言う。平凡で幸せな時もあった。家族中睦まじく。そこからの転落。
同級生が見たある時の市子。突然の雷雨。その豪雨の中、「全て流れてしまえ!」と嬉々として叫ぶその姿…。
この世や自分の人生を無くしてしまいたい…。
そんな心の声…。人を惹き付け魅せつつ、今にも壊れてしまいそうな儚さや脆さはそれ故か…。
安藤サクラや有村架純など時々映画の女神様に微笑まれたかのように快進撃続く女優いるが、今みた微笑まれたのは杉咲花だろう。
一躍脚光浴びた『湯を沸かすほどの熱い愛』の時から存在感や演技力は同世代屈指で、作品選びも安定。去年から今年にかけて『法廷遊戯』『52ヘルツのクジラたち』『朽ちないサクラ』と良質作続く。
中でも本作は指折り。『湯を沸かすほどの熱い愛』と並ぶ自身の代表作と言ってもいいほど。
不幸な役柄は多いが、決して二番煎じにはならない。さらに研きがかかった演技力は唯一無二。
ミステリアスでアンニュイな雰囲気、儚さ、悲しみ、苦しみ、そんな中で一時見せる“陽”の感情と表情。
佇まいも魅力も存在感も演技も、今杉咲花が魅せる事が出来る全て。頼もしく、圧巻の一言。
昨年度の国内主演女優賞は各映画賞によってバラつきあったが、独占すべきだった。
杉咲花の熱演も周りの助力あって。
俊英・戸田彬弘の演出力と脚本。『ある男』を彷彿させる題材だが、本作は本作ならではのオリジナリティーあり、ヒューマン・ミステリーとしても非常に面白い。
うだるような夏の暑さが作品雰囲気に一役買っている。
市子に好意を寄せ“手助け”した森永悠希が滲ませる哀れさ、宇野祥平の好助演、中村ゆりの毒親っぷり…。
そんな中、恋人役・若葉竜也の一途さに救われる。物語上の存在に於いても。
壮絶な過去。誰が彼女をこんな目に…?
罪を犯した。過酷な運命に翻弄されて。
それは許されない。
だからこんな私が幸せになっちゃいけない。
願っちゃいけないのか…?
幸せになっちゃいけないのか…?
長谷川との出会い。一緒に過ごした日々。そしてプロポーズ。
こんな私でも権利はある。
幸せになりたい。
幸せになったっていい。
流した涙はその表れ。
罪を償い、全ての苦しみから解放されたその日には、幸せになっていいんだよ。
市子は今何処に…?
再びTVからのニュース。そうでない事を。
川辺市子の幸せの為に。
見たあと疲れが。思ったこと、感想。
市子を見ていて不遇で環境の悪さとかをなんか可哀想やつらいって思ってみていたけど、鼻歌を聞いていると全然彼女の気持ちがわからないなと思った。
最初と最後の鼻歌では印象が違った。同じ場面だが最初は悲しい感じだと思った。最後は気分がよくて鼻歌歌ってると思った。
もちろん複雑で陽気とは違うけど、リラックスして歩いてるような感じ。
しては行けないことを躾けられるほど大人にみられてない市子は生きるためにしたことと割り切ってると思った。
成長とともに自然と常識は身についていってる。
高校のとき線路に死体を一緒に運んだ男子は気が滅入っていたが市子は切り替えてた。
妹の介助疲れで妹を殺すときも生存本能で仕方なかったと。
高校のときの恋人や今の恋人には悪い面を全く見せてなくて、大切な人には見られたくない。
高校のときの市子のストーカー男子のことはどうでもよくて扱いが全然違う。自分は好きじゃないけど相手は好いてくれててただ利用する。市子はちゃんと突き放してて、それでも来る彼を結局は利用するかたち。
自殺願望のある女性は市子に少し似ていて、自殺願望のある人ならいいかとなるのか利用する。
市子は殺人鬼とか快楽でやるわけではなくて、生きていくために仕方がなくなれば殺すことができる。
人殺しは絶対ダメがない。食べ物に困ってるから万引きするのを皆んな理解できると思うけど、その感じで殺人があると思った。
市子の母の内縁の夫?や高校のときのストーカー男子が嫌味で「悪魔」って言うけど、性欲に支配されて、下心で行動してたやつが偉そうに言えることは何もないとむかついた。
市子と違ってそこから離れることができる他人の男たちは関係をやめればいいだけ、見捨てるのがつらいかもしれないがこの不幸を耐えられない奴が依存になってる。
市子の周りの女性は嫌いだと思ったら離れてそれきりだし、ケーキ屋のキキちゃんはいい子で気になってるけど執着はしてこない。
女性の不幸には性がつきまとう。うんざり。
助けてくれるのは下心のあるやつばかり。
キキちゃんといたときはいい方に向かいそうだった。
戸籍や身分証明書などの社会のルールのために、人を殺すというルールに反してることをする。皮肉。不完全な世の中を感じた。生きるために人を殺すって究極で仕方ないこともあるかもしれない。
でも、社会のルールから外れてて書類のために殺さないといけなくなるのはつらいと思った。
途中で戸籍取るのを助けてくれる団体が出てきてよかった。そこに行き着くまでに後ろ暗いところができてる人も多くいるんだろう。
どうしたらいいかわからないけど、未成年はもっと早い段階でそんなに難しくなく手続きできたらいいと思った。一緒に暮らしてない親や親戚には未成年とはいえ情報を明かさないのを必須にして。
障害のある妹の介助・介護もヤングケアラーになってて、戸籍がもしあっても市子が疲れて殺すのは変わらないから、支援が必要だった。そういう助けが不十分なことの積み重ねが彼女の立場をなくした。
男性陣の配役、俳優がよかった。
市子はこういう人だって知った気になれなくて、杉咲さんもよかった。
ケーキが好きで屋台の焼きそばが好きでよその家のみそ汁の匂いが羨ましくて普通に暮らしたいだけで、無戸籍が生まれてからずっと付きまとってくるせいで幸せになるのが難しいつらさを思う。でもいくつかは戸籍ではなく貧しさのせい。
いろんな問題が入ってる話し。
ただ生きようとしてるのが伝わってくる。
月子が死んでなりすますことになったけど、やっぱり市子として行きたいと思ったのに、また身分を手に入れるために自殺幇助をして誰かになる。
また市子じゃなくなるの悲しい。
それまでを捨てたんだな。仕方なく。
あの鼻歌、月子を殺した日に台所で母親が鼻歌してたもので最後の場面と状況が被る。
哀しい
過去の影と未来の光 - 『市子』が問いかける人生の真実
「市子」は、観る者の心に深く刻まれる印象的な作品です。
杉咲花演じる川辺市子の姿を通して、人生の複雑さと、過去から逃れようとする人間の葛藤が鮮やかに描かれています。
物語は、市子が恋人・長谷川義則(若葉竜也)からのプロポーズを受けた翌日、突如姿を消すところから始まります。
この展開は観客を一気に物語の中へ引き込み、市子の謎めいた過去への興味を掻き立てます。
長谷川の必死の捜索を通じて、市子の複雑な人生が徐々に明らかになっていきます。
彼女が違う名前を使っていたという事実は、彼女の人生が決して平坦ではなかったことを示唆し、観る者の心に不安と好奇心を同時に植え付けます。
杉咲花の演技は圧巻です。
過酷な境遇に翻弄されながらも、前を向いて生きようとする市子の姿を、繊細かつ力強く演じきっています。
彼女の表情や仕草の一つ一つが、市子の内面の葛藤を雄弁に物語ります。
若葉竜也演じる長谷川も、恋人の突然の失踪に戸惑いながらも、真実を追い求める姿が印象的です。
彼の演技を通して、愛する人の過去を受け入れることの難しさと大切さが伝わってきます。
この映画は、単なるミステリーを超えて、人間の成長と再生の物語として深みを持っています。
市子の過去を紐解いていく過程で、私たちは環境が人間の形成にいかに大きな影響を与えるかを考えさせられます。
同時に、この作品は負の連鎖を断ち切ることの可能性と重要性を示唆しています。
市子の生き方を通して、どんな環境に置かれても前を向いて生きることの大切さが伝わってきます。
しかし、その一方で、子供たちを正しい方向に導くべき大人の責任の重さも問いかけています。
誤った方向に進んでしまった大人たちが、子供たちにどのような影響を与えるのか、私たちに深い省察を促します。
「市子」は、観る者に多くの問いを投げかける作品です。
人生の複雑さ、過去との向き合い方、そして未来への希望。
これらのテーマを通じて、私たちに自身の人生と社会の在り方を考えさせてくれます。
想像は超えてこない
まず最初の感想は、2023年の話はないんかい、というツッコミ。2015年から始まるので、最終的には2023年の市子が見られるのだろうとという期待と逆算の姿勢で見てたぶん、かなり肩透かしを食らった。
話としては市子の過去を追っていくという内容であるが、それぞれのエピソードも全て予想の範囲内。
役者陣の演技力のおかげで見られない作品ではないが、内容は平凡。
※細かいこと点をもう一つ。最序盤に出てくる白骨化遺体という言葉が気になったが、今では身元不明でも遺体という言葉を使うそう。でも、2015年時はどうだったんでしょうね?
障害者の月子と健常者の「月子」
<映画のことば>
それがどうも…。
存在せえへんのですよ。
月子を捨てて、本来の市子を、いわば「取り戻す」ためには、悪魔にでもなるということでしょうか。
要するに、本作の言わんとするところは。
生まれた時から「当たり前のように」戸籍があり、その戸籍を使って(少なくとも法律面では)「当たり前のように」自分というものの存在を同定できる立場にいる評論子らからしてみれば、その苦悩は、容易には推し量ることができないものがあるのかも知れません。
約一億人も住んでいで、そして、これほど完備された戸籍制度を持っている日本は、世界的には、稀有な国と聞いたことがあります。
(アメリカには、日本のように出生から死亡までを一貫して把握できる戸籍制度はなく、申告によって、出生証明書と死亡証明書が取れるだけで、両者の間には関連性(同一人性)が必ずしも担保されていないと聞いたことがあります。(それゆえ、他人への成り済ましが、日本よりは容易とか。)
プリントされてしまえばほんの数枚の紙切れなのですけれども。
しかし「人が無戸籍でいること」のその重さに、慄然とするとともに、本当に胸が痛みます。
そのことに改めて思いが至ったということでは、佳作と評価して良いのではないかと思います。
評論子は。
(追記)
市子の無戸籍も、言ってしまえば今の法律の結果と言うことなのですけれども。
そういう市子のような無戸籍児が出てくる原因は、まだ前婚が解消にならないうちから他と異性関係を結んだという結果にも他なりません。
その民法の嫡出推定規定「だけ」が果たして悪者なのか。
そのへんの議論をちゃんと突き詰めないと、いつまで経っても、法改正の動きは出てこない(出てきても、「子の身分関係の安定」とか「戸籍による身分関係の確実な公証」という建前に、結局は潰されてしまう)ように、評論子には思われてなりません。
(なお、この制度の合理性ということでは、最高裁が平成26年に判断し、科学的な父性の正確性よりも、子の身分関係の安定を優先しようとする制度で、不合理ではない、としていますが、3対2の、いわばギリギリ多数での判決(多数意見)で、誰かあと一人の裁判官が反対に回っていたら、結論が違っていたというケースでしたけれども。)
(追記)
本作の全編を通じて「罵(ののし)り合うシーン」「言い争うシーン」がやたらと多かったというのが、本作を観終わっての、実は第一印象でした。
(追記)
長谷川のプロポーズは、心底では嬉しかったのだと信じたいところではあります。
けれども、彼女の(突然の?)失踪は、彼のそのプロポーズが「ダメ押し」になったことも、また事実だろうとは思います。
評論子は。
ましてや生駒山中での白骨化遺体発見のニュースで、グイグイと背中を押されていた、正にその状況下で。
結局は、長谷川のプロポーズが嬉しければ嬉しいほど、市子には、その嬉しさが「重た過ぎた」ということでしょう。
そう思うと、胸の痛さということでは、本当にやりきれない思いも禁じ得ません。
(追記)
サイトの解説を読む限り、どうやら『名前』は、観たことがありそうなのですけれども(心許ないことで、ゴメンナサイ)。
その一方で、また他の作品を見比べてみたいと思える監督さんに出会えたことは、一映画ファンとしては、嬉しくも思います。
個人的には秀作と思われながら、傑作とは思えなかった理由とは
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
※重要作品なのにレビュー漏れしていて今更ですが‥
この映画『市子』は題材、内容、俳優陣からしても傑作になり得た作品だと思われていました。
しかしながら個人的には以下理由によって傑作には届いてない感想を持ちました。
それは、
A.市子とは何者なのか?という、長谷川義則(若葉竜也さん)の現在から過去にさかのぼる視点
B.市子がどんな人生を生きて来たのか?という、川辺市子(杉咲花さん)の過去から現在に向かう視点
がそれぞれ断片的構成で描かれていた所にあると思われました。
A.の市子とは何者か?の視点で描かれれば、ミステリー度合いが増します。
B.の市子の生い立ちを幼少期から見せて行けば、私小説度合いが増します。
それぞれの描き方は、それぞれで映画的な満足度が得られたと思われます。
しかし今作の映画『市子』は、A.のミステリー度、B.の私小説度、の両方を取ろうとして、個人的にはどちらも中途半端に切断される描かれ方になっていると思われました。
個人的には、最後の長谷川義則と市子の母・川辺なつみ(中村ゆりさん)との漁港での会話のシーンでそこまでの感銘はやって来ませんでした。
それは、長谷川義則が主体となって初めから最後まで市子の生涯をさかのぼって解明したわけでなく、一方で、私小説的な市子の生い立ちも長谷川義則の真相究明の場面によってぶつ切りになっていた、のが理由だと思われました。
ドラマ「アンメット」でも分かるように、杉咲花さん若葉竜也さんの演技の素晴らしさはこれまでのそれぞれの出演作品での演技を観ても、今さら言う必要はないと思われます。
また題材的にも今作の映画『市子』は傑作になり得る作品だったと思われます。
個人的には、もちろん多くの人が評価しているのは理解するのですが、今作はミステリーとしても私小説としても、欲張った構成によってそれぞれ中途半端となり、傑作になり得なかった作品だと僭越ながら思われました。
杉咲花さんは市子でしたね。
3年付き合った彼女にプロポーズをした翌日に主人公の市子が失踪する。すると刑事が市子の捜査をしていると、また市子と言う人物は存在し無い人物だと伝えられ恋人の長谷川は途方に暮れる。行方を追う長谷川は市子の壮絶な人生を知る事になる…
市子を演じた杉咲花さんは最高でした。
関西弁で『好き』とあの瞳で言われるとドキドキしますよねー。
衝撃と言うか市子のキャラクターを杉咲さんが演じる事で市子に同情するか、嫌悪感を抱くか?
別れるでしょうねー。
観ていて感情が揺さぶられ、面白かったです。
無戸籍であり、月子と名乗ったり市子と名乗ったりと市子に関わった人物が登場しストーリーが過去と現在が交差し徐々に市子の人物像が浮き彫りになっていきます。
市子は小学生の頃の頃から大人の目線と言うか、開き直った生意気な子供に見えます。
もし自分が同級生なら近づかないかなー!
でもきっと男性には惹かれる魅力があり、市子はその魅力を自分でも気付いていた?女を武器にする悪魔的な存在に見える。
全編通して見て、親の無責任が故に生まれた市子。
隠された存在にされる事で徐々に歪んで行ったのか?
寝たきりの月子は自分と母親に取って邪魔な存在?
もしくは月子を母親の為に消す行動に至ったのか?
もしくは母親への復讐心があっての行動か?
いや月子の事を思っての行動か?
その心理は分かりません。しかし市子よそれはダメなやつだとがっかりさせられる。
母親の『ありがとう』と言う言葉も、ゾッとするし壊れているとしか言いようが無い。
北君もとんでもない事に巻き込まれている。少し気持ち悪い存在で、ストーカー気質で心底市子に惚れていた。しかし市子にとっては一番の理解者で助けてくれる存在だがラストまで利用されてあーそうなるのーと言う結末にやっぱり邪魔な存在だったのかと思ってしまう。
ここまで来ると、確かに親の責任、無戸籍といろんな原因はあるが、市子の存在が完全なサイコパスにも写ってしまう。終盤になると背景にある問題が薄れてきてしまう。
逃げられない過去と現実に生きる市子は悪魔にも映るし、ただ純粋に普通に行きたかっただけと健気に映る杉咲花さんの演技は素晴らしかった。
本当に可哀想なのは巻き込まれた長谷川君で、もしかしたら市子に…と思ってしまう。
タイトルの意味
『市子』というタイトルは、彼女の周囲の人から、特に恋人の長谷川からの視点で、彼女に呼びかけ、彼女を呼び求めている「市子」なのだと途中までは思っていたけれど、
鑑賞後、これは彼女が、自分は「市子」なのだというアイデンティティ、「市子」であることを求めているという意味なのかなと考え直しました。
「市子」であるために彼女が必死にやってきたこと。そこにはどうしても罪がまとわりついてしまって。そのせいで、やっと手に入れた幸せすら自ら手放さないといけなくなって、さらに重ねられてしまう罪。
そんな虚しくやるせない感傷で、鑑賞後しばらくぼんやりしてしまいました。
不幸な役はやらせたく無いけど、とても板につく女優さんや〜⭐️
映画館に行くチャンスが無く終わってしまい、Amazonプライムにて鑑賞しました‼️。
すごい衝撃と言うか杉咲花さん圧巻やね😆👏。
「52ヘルツのクジラたち」のレビューで「市子」のイメージがって書いてる方がいて、確かにこれ先見てたら公開日も近いし流れのイメージつくかも🤭どちらも不幸な人生なんだが😭。
最後の返しにまずね時が止まったね、Amaプラだから頭の部分を見返したら最初とは違った印象で見れたし、市子の気持ちになってみたら目頭が熱く…。
悲しいよね色んな出会った相手目線からの市子を見たけどやっぱり幸せな時間だったんだね、だから嬉し泣きで無かってんな…。
売れっ子女優さんなのに体も張ってますな😔「エマ・ストーンさん」までいかんけど濃厚なキスシーンあったりスカートの中に手を入れさせたり頑張ってなさるわ😭。
男性陣もストーカー君は良かったよ〜、独占欲というか歪んだ愛情なのか画面越しにも市子を思う気持ちは伝わってきました。
キャラ設定だからしかたないけど、もう少し勇気出して関わっていればうまくできたかもしれないと哀れに思えてしまう😅。
とりあえず内容も役者さんも映像も昭和チックが出てて雰囲気良かったです👍、時間を空けてまた観てみよう。
心をえぐられました
下知識無し、杉咲花が影のある役をやるっぽいというだけで視聴。
心がえぐられました。
Eテレで無戸籍の人の話やってましたが、無戸籍というだけで人生超ハードモードになるのは想像に難くない。この映画は、さらにヤングケアラー、殺人事件が絡み、観ているだけで苦しくなりました。
こんな役、どうやって演じるのだろうと思いますが、杉咲花が見事に演じます。恐ろしい。かわいいはずの杉咲花が、時にかわいく、時に恐ろしい表情を見せつける。圧巻です。
色々と考えさせられますが、心が抉られたので☆マイナス1個です。
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