市子のレビュー・感想・評価
全363件中、341~360件目を表示
横綱相撲?
予告編観て「原因」についてはなんとなく想像していたものの、物語が進むにつれ徐々に明らかになる問題の全貌に、呆然としつつやはり涙を堪えきれない…
そして主要キャスト全員が素晴らしい芝居をしているが、やはり杉咲花の横綱相撲ともいえる圧巻の演技が素晴らしい。理に落ちてしまいかねない市子の境遇を、体温を感じ血が通った…いや「血が流れた」ものにしている。
終始抑えた演技ながら、中盤と終盤の感情の発露はドクドクと流れる血すら感じるようなリアリティだった。
最後にテレビだかラジオだかから聞こえた顛末がどのようなものだったのかは観客に委ねられていたようだが、観てみたかったな、とも思う…
なんにせよ今年を代表する一作であることは間違いない。
味噌汁は幸せそうなにおい
彼氏にプロポーズをされた翌日、突如自宅から姿を消した28歳の彼女の過去の話。
3年間同棲していたけれど彼女の出自のことを詳しくは知らないという彼氏の元に刑事が訪れ、出身地の東大阪に該当する人物はいないという情報が…「ある女」的な?
そして小学生時代に遡り市子や彼女と絡む人物や母親&父親と思しき男の関係をみせていくけれど、市子?月子?本当は市子?
冒頭からTVのニュースの強調が凄く、なんとなくだけど想像がついてしまうものがある上に、刑事がペラペラと説明してくれたりする内容などから、中盤に差し掛かるぐらいにはどういうことかはかなりみえてしまうので、サスペンス性よりもドラマを楽しむ作品という感じ。
哀しくドロっとした内容はやり切れなさがなかなか良かったけれど、行ったり来たりクドいし、チョット無理がある展開も。
その割に衝撃的な部分とか落とされる部分とかが弱くて、更には市子の心情を掘り下げてみせる部分もなくて、面白いけれどもう一歩というところかな。
ファムファタルを描きたいのか、社会派に寄りたいのか、複雑なプロット...
ファムファタルを描きたいのか、社会派に寄りたいのか、複雑なプロットで観ている方に投げかけるのは映画的な深みとは思えない。「キリエのうた」と類似する部分が多いが、凡庸なストーリーを誤魔化すためにいたずらに時系列シャッフルするのはいかがなものか。主演女優の力量をもっと信じろ、それだけで映画として成立しているだろう、と言いたくなるのも共通する。杉咲花が終始素晴らしい(首筋に滴る汗の艶めかしさよ、あんな同級生がいたら男子高校生なんてダース単位で人生破滅させられる)だけに周りの男どもの愚鈍さが一層腹立たしく(そこで泣いてんじゃねーよ!とか高校時代のイケメン彼氏はどこ行ったのかとか)、あと10人くらい殺して血河屍山を踏み越えて幸福になる結末だったら満点だったと思う。
すべては観る人の想像力、要解説な人には向かない作品
ある意味「不親切」な作品。懇切丁寧に想いを台詞や独白で教えてくれないので、考えないといけない。
どうも自分の子供時代の70〜80年代を感じさせる風景でしたが、舞台となった街では90年代でもあんな感じだったのでしょうか。
ちょっと前に同じ杉咲花さんが出演している作品を観たばかりですが、そちらと被る部分もあれば、当然違う部分も。どちらにしろ、作品中10年近い年代をそれっぽく見せるのですから流石です。
解説によると元は演劇がオリジナルということに納得。決して核心や心の中に直截は触れず、受け取り手に全てを委ねる。断続的に描かれる「事実」がその余白を際立たせる。「市子」が最後にどうなったのか。それを決めるのは観た人で、その結末はおそらく十人十色。単純な「善悪」だけで考えれば悪と断じられるような行為を意図してか流されたのか繰り返していると思われる「市子」。そんな彼女にも善悪は別として、一緒に夢を語ったり、助けようとしてくれる人々が少なからず存在したことが救いでしょうか。
終盤、船に乗る長谷川を見送り深々と頭を下げる「彼女」がとても印象的でした。あとは作中のある人物の言葉でしょうか。ともすれば刹那的とも受け取れるものですが、考えたってどうしょうもない時も生きてれば幾らでもあるもの。過去は過去として、それでも人は今を楽しんでもよいのかもしれない。
自分が自分であることを決めるのは誰なのか
邦画の底力をみせてくれる。
こんな作風こそ邦画の真骨頂。
潔く創る小品は誇らしい。
唯一残念なのは前半の子役同士の芝居。作品を潰しかねないほどに稚拙だ。
それを帳消しに出来た俳優陣と撮影音響スタッフの緻密さを讃えたい。
あの「湯が沸くほどの熱い愛」を傑作に導いたのは間違いなくこの 杉咲花。 今作も見事だ。
無理ないか~?
後からじっくり市子を考える
いつも行くシネコンに大きなPOPがあった。『市子』。あまり見る気にならないタイトル。「プロポーズの翌日に失踪。」想像出来るいくつかの理由。壮絶な過去か?ハンカチ必須作品か?やっぱり見る気にならない。しかし、杉咲花。こちらは見ない理由が無い。気持ちが変わらないうちに、初日に行く。
以下ネタバレ有り
プロポーズの翌日、テレビで白骨遺体の報道。関係が無い筈がない。恋人は捜索を開始するが、映画は過去にさかのぼる。そして時代を行ったり来たりして市子の半生が語られる。
DV元夫から逃れる為に無戸籍を選択してしまう。無戸籍が故に就学、保険が無い。2023年ならこの様な問題はいくらかは解消されている。(300日問題は2024年から) しかし、映画の当時はかなり厳しい時代だった。
市子は妹の呼吸器を外す。母と共に死体遺棄。その後も暴力男を同級生と死体遺棄。ケーキ屋になることを夢見る日も。そしてラストは謎の若い男女の転落事故の報道。
市子に幸せな時間はあったのだろうか?一番幸せだったのは、プロポーズがあった 0.1秒ぐらいか?プロポーズは無くとも怯え続ける人生になったのか?
この映画はハンカチは必要ない。心を揺さぶられる事もない。しかし、現在の実社会の問題を含め、「市子」の人生を考えたくなる作品だと思う。そしてジワジワと後になって心を揺さぶられてくる事になると思う。
時代背景が分かりにくいと思ったのなら、パンフを買っても良い。「市子」年表が分かりやすい。でも公開、小規模すぎ。
不遇な主人公に寄り添おうとすると裏切られ、暗澹たる気持ちになる
過去に市子と関わってきた人々の一人ひとりに焦点を当てながら、「この世に存在しない」市子の人生を浮かび上がらせていく前半は、山中で発見された白骨死体とどう結び付くのかという興味とともに、グイグイと物語に引き込まれる。
ただし、中盤以降に、市子に戸籍がなく、発見された死体が彼女の難病の妹だということが判明し、市子の恋人が失踪した市子を捜す話が主体になってからも、現在と過去との行ったり来たりが続くため、話の分かりにくさと冗長さ、テンポの悪さが気になってしまった。
過去の話は、極力時系列に沿って描きながら、市子の正体等の真相の解明は、なるべくラストに持っていき、そこから、市子の恋人が彼女の母親に会うまでのクライマックスを一気に描くといったような構成にできなかったものかと、少し残念に思ってしまった。
市子が失踪した理由にしても、恋人にプロポーズされたからなのか、白骨死体が発見されたからなのかがよく分からない。
単純に考えれば、戸籍がないので婚姻届を提出することができないからだろうし、身元がバレて警察に捕まりたくないからかもしれない。
だが、もしプロポーズが原因ならば、「既に2人の人間を殺めている自分には、幸せになる権利はない」と、自責の念に駆られたからだと考えることも可能だろう。
もしそうならば、ようやく愛し合える人と出逢い、その人と一緒に暮らす幸せを手に入れたのだから、正直に罪を告白し、その罪を償った上で、また愛する人と暮らせばよいのではないだろうか?
ところが、終盤、市子が、新たに2人の人間を自殺に見せかけて殺害するに及んで、彼女に対するそうした同情や共感は、根底から崩れ去ることになる。
自らの殺人の証人を消すために更なる殺人を重ねる市子の姿は、単に警察に捕まらないよう逃れているだけの狡猾な連続殺人犯にしか見えないのである。
そのため、せっかく、不遇な生い立ちの主人公に寄り添い、彼女が幸せになるよう応援する気になっていたのに、なんだか裏切られたように感じてしまった。
結局、市子と恋人が再会することはなく、何の希望も見いだせないエンディングには、釈然としない後味の悪さが残った。
杉咲花さん最高です
つかめない幸せ…。
市子と月子の話。
3年同棲した彼氏、長谷川義則からプロポーズをされた市子、プロポーズをオッケーするも翌日に失踪してしまった市子と失踪した市子を探す長谷川義則のストーリー。
作品観ての感想は悲しい、切ないでしょうか。子供は親を選べないけど、作品とはいえ悲しい家庭環境でした。
長谷川義則と幸せを掴めそうな市子だったけど、過去の事もあり長谷川の前から姿を消してしまった市子だったけど悲しいね!って言葉しか浮かびません。
ちょっと男にダラシナイお母さん役の中村ゆりさん何か色気ハンパなくて良かったな~
市子という女
杉咲花さんが素晴らしい💕
杉咲花の好演ぶりが光ってた
プロポーズされた翌日に失踪した市子。
その理由が彼女を知る人々との対話から少しずつ明らかにされるミステリー仕立ての作品。
どのような背景や過去があっても必死に生き抜こうとする市子の逞しさを感じたし、
朝ドラ同様、関西弁で演じる杉咲花の好演ぶりに好感が持てた。
市子
全363件中、341~360件目を表示