「普通に…生きたいだけ」市子 しろくろぱんださんの映画レビュー(感想・評価)
普通に…生きたいだけ
市子のような存在
TVで聞いたことがありました
今の時代に戸籍を
持てない事に驚きです
法からすり落ちた人たちの哀しみ
この人たちは
戸籍のないことで名前も本来は無い
市子とは親から呼ばれていた
ニックネームのようなもの
市子の苦しみは計り知れない
ここに。今。存在しているのに
…今との繋がりあっても
社会との繋がりがなく
常に不安を抱えながら
生きている
戸籍のない人たちは
戸籍のある人たちと
同じ世界で生きているのに
全く違う世界なのだろう
日常の世界に色があるとしたら
市子の世界は色のない世界
そして妹を殺めた
…二重の苦しみで 自分は
幸せになれないと思いながら
…生きてきた
生まれながらにして
不幸を背負ってしまった運命
どうすることも出来ないのが悲しい
…だから
自分を必要としてくれる
彼からプロポーズを受けた時は
手で拭うほどの涙が
流がれたのだろう
…生きてきて
一番しあわせを感じた時
生きる場所を探し求めてきた市子
…市子の苦しみは
戸籍を持つ人にはわからない
戸籍を持っているだけで
…しあわせだから
杉咲花の
悲しげで脱力感、無気力な表情が
…心に残る
"花火を見たい"と言った
皆おなじ夜空を見上げて見る花火
願いは…叶うのかな
この作品は、「市子」という人物について、かかわったことのある人々の証言をつなぎわせて、彼女という人物像を表現しているのが特徴です。
この作品は良し悪しを決めつけるものではなく、作品を見た人それぞれが自由に感想を持っていいのだと感じました。
生まれた環境がどうあれ、社会がどうあれ、「私は市子だ」という彼女の生き抜こうとする強さを感じました。
彼女が着ていた魔女の宅急便のキキのような黒い服は、腹を決めたときに着る服だと思いました。
荷造りした時もこの服でした。
それは裁判官のように「私は何者にも染まらない」という意味があるように感じました。
そしてこのような自由な考え方こそ、現代人に必要な要素で、監督はそれを私たちに届けようとしたのかなと思います。