「芝居の妙」市子 Yutes79さんの映画レビュー(感想・評価)
芝居の妙
大変引き込まれる作品でした。
アクションとか疾走感があるわけでもないのに、登場人物と役者が演じる芝居の熱がすごくて目を離せない、そんな感覚です。
後で調べて知ったことですが、本作の戸田監督は劇団も主宰されており、その旗揚げ作品だったのが本作の原作だったのですね。確かに映画館で感じた感覚は舞台を観ているようでもあり(もちろん芝居っぽいというのではなく)、映画のストーリーが身近で起きているかのような臨場感がありました。
それには演出はもちろんでしょうが、俳優陣の高度な技量があってこそ。皆さん素晴らしいのですが、特筆すべきはやはり杉崎花さん。NHKのテレビ小説に主演された時もその演技力の高さに圧倒され、それまでほとんど見たことがなかったテレビ小説を最後まで観届けてしまいました。
あとやはり脚本の面白さも際立っていると思います。舞台版は映画とはまた違って角度からストーリーが展開されるようで、機会があれば是非観てみたいと興味が尽きません。
しかし、ラストは大きく賛否が分かれるものと思います。果たしてこれで良かったのか。これが良かったのか。個人的にはちょっとモヤモヤする終わり方。これも監督が意図されたものでしょうか?
あと気になったのは録音。カット割りごとに目まぐるしく変わる音声の振り方がやや雑で、聞いていてあまり心地よいものではありませんでした。残念。
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