「涙の理由」市子 humさんの映画レビュー(感想・評価)
涙の理由
●追記(12月23日)(アプソさんのレビューを読み、返信したことを補足し)と、前後の入れ替えをしてわかりにくさを整理しました。(12月26日)
●追記(1月8日)反逆についての補足、修正済み
市子はあそこまで過酷な人生を経て
自分の幸せを諦めながらも生きることを選ぶ。
その強さはどこからくるのか。
それは幼少期からの自分の存在を認め救済するための精神的な行為で、大人になった自分にしかできないことを知っているからなのか。
市子の諦めは無言の享受ではなく、自分自身の過去への反逆の糧として確かに息づいていたのだと思う。
(反逆というと、あまりに乱暴な仕返しのようだし、市子の罪から考えてそこに結びついてしまうかもしれないのですが、私の思う市子の反逆とは、精神的なバランスをとるために本能的に自分を保つための思考のはたらきみたいなことをイメージした言葉です。市子の場合はどうにもできなかった幼少期のかなしみやつらさの記憶を大人になっていきながら違う感情で塗り替えることが生きていく意味だったのではないかと。楽しさと辛さの両方の記憶にあるケーキ屋さんの仕事の誘いに応じたのもそのひとつ。辛さで終わったものを塗り替える行為だったのではないだろうか
?)
あのままおだやかな時間が続くならどんなに良かっただろう。
しずかに寄り添う人の嘘のない笑顔と言葉への
素直な喜びがあるのに、変えられない出自と消えない過去が市子の頬に大粒のかなしみをつたわす
抱きしめられるほど砕け散る繊細なガラスは
眩しすぎる時間をまた逃がす
胸の奥を突き刺す切なさが
味噌汁のしあわせそうなにおいも
浴衣や祭りの華やぎも憧れのままにする
海辺で口ずさむあの日の母と同じ鼻うたが
ぽつりぽつりと乾いた道に転がり落ちていく
本当はみつけてほしい落とし物なのだ
明るいほど濃く写る影もいつか離れて行くように
彼女は
彼女を知らないところへ
遠ざかる
ーーーーーー
市子に息吹を与える杉咲さん。
その憑依で表す心情、背景から目が離せない。
犯罪は許されるものではないが
平和な日常に麻痺した心ほどこの重みに押されつけられ不思議な感覚でえぐられるものがあるかも知れない。
おはようございます😃
昨日やっと鑑賞しました♪
なかなかしんどい作品でしたね。
幼い頃のケーキの思い出があり、
友の誘いに乗ったのでしょうね。
本人には何の罪も無いのに、
辛い人生となりました。
こんにちは humさんとゆきさんのコメントを読めばもはやパンフレットを買わなくても良いくらいです。アップリンク吉祥寺で「市子」と「月」を二本続けて観ました。重たい内容だったので鑑賞後はロビーでぐったりでした。辛口の批評があるのは承知していますが作品の評価は観客それぞれの死生観よって分かれるところでしょう。千葉県のキネマ旬報シアターで「市子」のtalk&teach in に行きましたが作品を理解する上で良い補完になりました。舞台版で市子を演じられた大浦千佳さん・戸田彬弘監督は挨拶よりも観客の質問に答える時間が長くとても丁寧で舞台を映像化にする難しさや舞台版「市子」「月子」でひとつの物語を織り成す事など良く解りました。舞台版と映画版の大きな違いは結末が変わっている事 因果応報をThemeのひとつと捉えるならば舞台版をそのまま映画化しても良かったのでは?と個人的な感想を持っています。 戒めだと思って?
humさん
共感&コメントありがとうございます。夜中に鑑賞して眠れなくなりました。深夜は気持ちよく寝られる映画にするべきでしたね〜反省です!
実際の世の中でこんな境遇の人はどうされてるのか、考えるとまた夜も寝らんなくなっちやう!(懐かしい、わからないでしょうが。)
いい若手俳優の台頭に嬉しくなりますが今回は考えさせてくれました。
自己防衛のために罪を重ねざるを得なかった市子、悲しい宿命に生きざるを得なかった彼女に私たちの薄っぺらな倫理観など立ちいる隙もないのかもしれません。善とか悪とかでは判断できない領域というか。
私の方こそhumさんのレビューに納得です。自分では言語化できなかったことを見事に表現されておられます。
共感&コメントありがとうございます。
コロナ禍以降 「繋がり」を考えさせられる作品が多いように思います。
もしくは、私たちが以前より意識するようになったのかも…。
三人の繋がりが前に進むものなら良かったのにな…と少し思います…。
共感&コメントありがとうございます。
市子と同じ行為をしなくとも、似たような境遇で生きている人たちは少なからずいると思います。私たちにそういう人たちの存在に気づかせ、考える機会を与えたことに、本作の意義を感じます。
追記拝読させて頂きました。
《市子の諦めは無言の享受ではなく、自分自身の過去への反逆と糧》!!!
彼女の事を知らない場所へと遠ざかっていった市子。。
幸せを祈ってしまう自分がいます。
はっきりした意思を持って海岸沿いを歩く市子を見て、今まで市子を応援した気持ちをどうしたらいいのか。ほんとに愕然としちゃいました。
応援と言いながら、実は憐れみの気持ちで見ていたんだと思います。
市子は、僕のような憐れみの視線が、許せなかったのではないか。そんな風に今は思っています。
共感、コメントと、レビューにも追記して頂きありがとうございます😭✨わたしなんかのレビューで💦恐縮です!
市子の生きたい原動力は、市子として生きたかったという、強い思いだと思います。パンフも買い読みましたが、見事な演技されていた杉咲花ちゃんこれで良いのかと思いつつ演技していたような事が書いてありましたが、もう映画では市子としてそこに居て、引き込まれて本当に素晴らしかった✨
殺人犯なのに、清々しさ?みたいなどちらかというと、〝快〟を覚える感覚になるのは、生きることへの渇望と強さがストレートに伝わってくるから。
ということなのですね。
杉咲花さんの息遣いとてもよいとおもいました!
私は北くんの純情?純愛?説明されないけど、あいつならを信じたい感じです。
行き着く先は幽霊だよ〜というかんじですが。
コメントありがとうございます。
杉咲花ちゃんの演技も素晴らしかったけれど、少女時代のいくつかのエピソードは、胸が苦しくなりました。子供にとって、なんて厳しい日々だったのだろうと。
humさんお気遣いありがとうございます(^。^)
咳のし過ぎで腹筋割れましたw
もう復活!これからパーフェクトデイズ観て来ます♪
本作は花ちゃんを存分に見られて楽しませてもらいました。殺人者なのに、それがまるで悪い事の様に思えない。「暑いなぁ〜」と呟き妹の呼吸器を外す。。奥底には様々な苦悩が潜んでいるのがわかるのに、さも、暑かったから。で片付いてしまうような錯覚。義父は同情しないけど、複数人を殺害している事実。花ちゃんの演技の賜物でしょうか。不思議な作品でした。
コメントありがとうございます。
無戸籍児など、現実的な社会問題を扱うので余計に、リアリティは削いでほしくなかったです。
実在感のある演技が作品世界へ引き戻してくれてましたね。