「自分的には『Evil does Exist』なエンディング」悪は存在しない エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
自分的には『Evil does Exist』なエンディング
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濱口竜介監督作。
今年の日本映画のベストワン候補となる傑作。
出だしから森の映像と重厚な弦の響きに圧倒される。映画の世界に誘われる。すぐに作品の中に入り込んだ。
自分的には音楽の存在が大きかった。
エモーショナルだった。
時々に感情を大きく揺さぶられた。
自然豊かな高原の町。
自然の中の生活。
知らないからこそ畏敬の念をもつ。
そこで暮らす人たちも遠い存在だ。
訳もなく羨ましいなんて思ったりして。
コロナの補助金を得るためにグランピング施設を作ろうとする芸能プロダクションの二人。村の人々の生活を壊しかねない心無い計画と対応に反吐が出たのも束の間。
二人が心情を語るシーンが秀逸だった。明らかに自分もそっち側の人間であることを思い知らされる。すべての悪の存在を否定してしまうような女性社員の言葉が凄かった。神がかっていた。
悪は存在しないと言うが如き。
そしてそれまでの全てを否定する厳しいエンディングに愕然とする。手負の鹿、主人公の唐突な暴行。
悪が噴出するが如く。
デヴィッド・リンチを思わずにはいられないシュールな展開に度肝を抜かれ、エンドロールで必死に鼓動を静めようとしたがダメだった。
そう、自分的には『Evil does Exist』なエンディングだったが果たして。これからいやというほど反芻することになる。
で、音楽。メインテーマは石橋英子さんなんかなぁ。ヴィスコンティ作品におけるマーラーのように絶対的だった。圧倒的だった。
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