「真実は人の数だけ存在する」悪は存在しない かつのじょうさんの映画レビュー(感想・評価)
真実は人の数だけ存在する
「ドライブ・マイ・カー」を、そんなに好きではないけれど、終始退屈せず集中して鑑賞して観た者です。話題になっているけど解説やレビューではどうにもイメージが湧かず、自分の目で観に行くことにしました。
環境問題が題材かと思えばそうでもなく、誰かの立場に立って反対勢力を糾弾するものでもなく、淡々とした雰囲気がリアルだなと思いました。でも大音量のBGMが急に消えたり、効果音がバーンと始まったりと場面の切り替えが派手で、自然や田舎暮らしの情景の映像がやたらと美しかったりするので、静かでも退屈せず集中できます。
悪は存在しない、というタイトルのとおり、絶対悪や絶対善などというものはなく、みんな自分の都合で自分で優先順位をつけて生きていくしかないなぁと思いました。自分で決めるのが怖いという人が、なんやかんやと後付けで理由(言い訳?)をつけて後ろ盾にするんだろうなと。
ラストはある程度想像していましたが、想像を超えるレベルでした。監督に「あとは自分で考えてね」と言われたような気分です。
何事も白黒はっきりさせたい方はイライラするかもしれませんが、人間の不条理を面白がれる方には一見の価値あり!の作品です。
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