潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断のレビュー・感想・評価
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愛の嵐
潜水艦映画特有の緊張感とリアリズムを巧みに描き出している。
潜水艦映画に駄作なし、
映画好きの人であれば、
聞いたことのある文言。
序盤こそシナリオの狙い、
演出のテンポに疑問を抱かせる部分もあるが、
戦時中の潜水艦内の描写はリアルで、
ネオリアリズモの伝統らしいイタリア映画の繊細な描写が光る。
シャルロット・ランブリングとダーク・ボガードを、
彷彿とさせる演出は、
あくまで単なるオマージュに留まり、
残念ながら、独自の魅力を発揮するには至っていない。
しかし、
艦長のカリスマ性が物語全体を引き締め、観客を引き込む。
艦長が部下たちに向けて語るセリフには、
明治天皇の名言が引用されていた。
結果として、
本作はイタリア式リアリズムと、
潜水艦映画の伝統に忠実でありながら、
軍人の前に人間、
軍法よりも人としての気持ち、
人間として何を最優先で考えるべきか、
有事と平時のちがいはあるが、
さまざまな社会で起こりがちな、
視点を閉鎖された狭い空間に、
持ち込むことで新たな価値というか、
元来の人としてのスタンスを改めて、
確認・・やっぱり確認・・、
なぜなら、
冒頭に2023年、
ロシア兵を救出したウクライナ兵のエピソードを、
紹介している。
軍人である前に、
サルヴァトーレおじさん、
イタリア人だから、、、、。
艦長の存在が作品全体を支え、
その言葉と行動が観客の心に強く響く映画となっている。
イタリア・ベルギー戦争映画なのに日本が出てくる日本人として嬉しい映画
潜水艦映画と聞いて、危機を突破して任務を果たすor知恵を絞って敵を欺き戦果を上げる等、その国の国民にとってはスカッとする映画だろうと思っていたら、さにあらず、戦争モノと言っても勝者のいない実話を基にした話で、軍人である以前に海の男の生き様を描いたものでした
戦争だから自分たちが生き残る為に人を殺す、この状況では相手が死ぬと判っていても、戦争下だから助けないではなく、同じ海の男としてどうする? どうする?
敵を助けても、戦争中に生まれた我が子の成長を見守る事もなく死んだ、イタリア潜水艦艦長が、明治天皇のお言葉を口に出されたのに、大ビックリ!で驚きました
それ程、日露戦争で小国日本が大国ロシアを打ち破ったのは、軍人にとっては、大変な驚きと共に、戦術にも関心が高かったのが伺え、イタリア・ベルギー映画なのに、日本人として嬉しくなりました
この映画は、女性にも、戦争映画だから見ないではなく、是非見て欲しいナと思う映画でした
男気。
実話ベース。戦争中なのに人間でありたい敵人に情けをかける海の男、艦長。だれもが戦時下だからと冷酷無比な殺人鬼にはならない、感情的に救われる内容。人間ってこうでなきゃなーとしみじみ考えさせられた。
仁義
戦い終わればNO SIDE。仁義を感じます。軍規を破り敵を助ける艦長。また、乗員数が多くなりすぎて戦えない状況をくみ取るイギリス軍にも胸が熱くなります。艦名だと思ってたけどコマンダンテって艦長のことなんですね。
サルヴァトーレおじさん
WW2下、イタリアの潜水艦コマンダンテ・カッペリーニが、撃沈した船が中立国ベルギーの貨物船とわかり乗組員26人を救助する話。
異様にスカしたオープニングにスカした演説という流い前フリで始まって、やっと出港と思ったら今度は女のモノローグ。
序盤からカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲ってどんだけよw
そしていよいよ海の中だけど、トラブルへの対応でまたスカした感じを重ねられ、半世紀ぐらい前の映画を観ている様な気分に…シリアスな場面はモノローグ入れずに緊迫感持たせてくれよ…。
それにしても、コマンダンテ・カッペリーニって、その後日本が接収した実在よ潜水艦ですよね?どこまで事実か知らないし、確かに当時の行動としては人道的だし珍しいし凄いことなのかも知れないけれど、これぞマッチポンプじゃないですか?
救助後の艦内のやり取りもチープだし、ピンチもそれだけ?なんでそんなに悲観的?
ドラマは何だか妙に安っぽいし、潜水艦映画としても戦争映画としても大した見せ場もなく物足りなさ過ぎた。
料理は腕だけでするものではない
一人の潜水艦艦長が、軍人から海の男に還った数日を描いた物語。
本編は近年の戦争映画としては稀なほど詩的な雰囲気で開幕する。前半は出港したカッペリーニ号の日常や英国海軍との衝突を通して、主要な登場人物だけでなく乗組員一人一人にもドラマがあることを感じさせるエピソードが展開される。
後半に、本作の題材として強調されているカッペリーニ号艦長サルヴァトーレの「決断」の瞬間が来るのだが、それがあっさりと描かれていて驚いた。
船乗りとしては目の前の漂流者を救助する、もしくは救援を手配するのが当然だが、軍人としては艦に部外者、ましてや自衛の域を超えて交戦した相手を接触させることはタブーである。もし禁を犯せば彼や部下の軍人生命や名誉が危うくなる可能性があり、艦の状況を考えれば部下の喫緊の安全をも脅かすことになる。サルヴァトーレ個人に限っても、彼は過去の戦線で重症を負っていて前線の軍人としての進退は既に危うく、目の前の橋を渡るのはあまりにも危険である。
そんな彼の内心の葛藤はあまり描かれず、描写の重点は、決断を下した後のサルヴァトーレのリーダーシップや彼の決断に心動かされた海の男達の共鳴に置かれている。
オープニングのロマンチックな導入然り、おそらくこの作品が重要視しているのは作品紹介の第一印象である「艦長の英断と活躍」よりも、「人として当たり前のことを迷わず行える環境の尊さ」や「誰とでも食卓を共にできる幸せ」なのだろう。
また、乗組員が艦砲射撃を見て「これは機械で行う戦争だ」という件があり、現在の遠隔戦闘を想起させるようなことにも触れられるが、個人的には、歩兵時代の死体の山を築く方法ではなく、武器を無力化すれば血を流さずに戦闘を終わらせられるという意味が込められているような気がした。ここでも、戦争の陰惨さよりも戦火の向こうに同じ人間がいることを強調する作り手のスタイルを感じた。
サルヴァトーレの名は現役の潜水艦の艦名になっているそうで、少なくとも現在彼の名は名誉あるものとして伝わっているようで、安心した。
なお、犬は無事です
人間らしさとは?
序盤が非常に美しい。
こんなに叙情的な潜水艦映画が、かつてあっただろうか?
独白として語られる言葉もいちいち詩的。
退廃的なデカダン趣味もたまりません。
出航に際しては艦長として皆を奮い立たせるも、相変わらず本人は非常に悲観的なのです。
1940年の物語なので、3年後に降伏するとはいえ、まだ5月に宣戦布告したばっかで、日独伊三国同盟だって結びたて。
それなのに、はなっから死を覚悟したこの暗さ。
出航してすぐに調理担当に食料が少なくなってきた時の指示をします。
ネガティヴだなぁ。と思って見ていましたが…
実はこれが重要な伏線であり、この映画の全てなのです!!
めちゃくちゃ感動しました。
エンドロールの後半にもトドメを刺してきます。
豊かな文化が人を人間とたらしめる。
食文化しかり。
動物が生きる為に必要不可欠な“食べる”という行為に、工夫を加えて楽しむのが人間。
食材を組み合わせ、味付けして盛り付ける。そこに動物とは違う人間らしさがある。
ただエサを食べるだけでは人間らしいとは言えない。
さすがはイタリア。だから序盤が絵画のように美しかったのね!
音楽も歌も料理も、ヨーロッパ文化の発祥はイタリアだという自負を感じました。
イタリアの地形は日本と似ていますよね。周囲を海に囲まれているので、海の幸と山の幸に恵まれて種類が豊富。
新鮮な素材を活かした料理も多く
北と南では気候がかなり違うので、方言も気質も違う。
同じ国の中でもこんなに違うのだから、他の国とでは全く違って当たり前。
異なる文化を知ることで、お互いが更に豊かになる。
それぞれの土地で生まれた文化に敬意をはらう、異文化交流こそが平和への第一歩だと感じました。
ちなみに、この潜水艦は数奇な運命を辿って日本で処分されるのだそうです。
この映画を通して初めて知りました。
海底の男たち
2024年6月30日
映画 #潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 (2023年)鑑賞
イタリアの潜水艦の実話
敵国船を沈めた潜水艦の艦長が、漂流する乗組員たちを救助し、安全な港まで送り届けるため水中航行を諦め、無防備な浮上航行でイギリス軍の支配海域を突破する
明治天皇の訓話は知らなかったな
イタリア映画祭2024 in有楽町朝日ホール
潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断
実話ベースの作品。その知識が一定数あった上で見れば異なる視点、理解ができたのかは分からないが知識がない上で鑑賞した事もあってか理解が追いつかないシーンが多かったりドラマ部分がごちゃごちゃした様に感じてしまい個人的には全く合わなかった。
潜水艦の作品といっても潜水艦のシーンが多かったり戦争シーンが多いわけではなくあくまでドラマがメイン。イタリアの歴史背景の知識もある程度は要するシーンも多く大衆的な作品ではない。
今年のイタリア映画祭はこちらしか参加予定がないため少し寂しい結果となった。
余談になるがイタリア映画祭の会場は変えてもらえないのかな。有楽町朝日ホールは何度利用しても疲れが溜まる。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
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3 コット、はじまりの夏 4.7
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7 コンセント 同意(横浜フランス映画祭2024) 4.7
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10 バティモン5 望まれざる者(横浜フランス映画祭2024) 4.5
11 システム・クラッシャー 4.5
12 デューン 砂の惑星 PART2 4.5
13 愛する時(横浜フランス映画祭2024) 4.5
14 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
15 アクアマン/失われた王国 4.5
16 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
17 マリア 怒りの娘 4.0
18 異人たち 3.7
19 ミツバチと私 3.6
20 ブリックレイヤー 3.5
21 ネネスーパースター(原題) Neneh Superstar (横浜フランス映画祭2024) 3.4
22 オーメン:ザ・ファースト 3.4
23 RHEINGOLD ラインゴールド 3.3
24 12日の殺人 3.3
25 インフィニティ・プール 3.3
26 ゴーストバスターズ フローズン・サマー 3.2
27 プリシラ 3.2
28 コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話- 3.2
29 コヴェナント/約束の救出 3.0
30 僕らの世界が交わるまで3.0
31 ゴジラ×コング 新たなる帝国 3.0
32 ブルックリンでオペラを 3.0
33 ストリートダンサー 3.0
34 カラーパープル 2.9
35 弟は僕のヒーロー 2.8
36 RED SHOES レッド・シューズ 2.8
37 画家ボナール ピエールとマルト(横浜フランス映画祭2024) 2.7
38 Vermines(横浜フランス映画祭2024) 2.6
39 関心領域 2.6
40 ジャンプ、ダーリン 2.5
41 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
42 けもの(仮題)La Bête(横浜フランス映画祭2024) 2.3
43 マダム・ウェブ 2.3
44 落下の解剖学 2.3
45 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
46 哀れなるものたち 2.3
47 エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 2.3
48 ザ・エクスチェンジ 2.2
49 DOGMAN ドッグマン 2.2
50 パスト ライブス/再会 2.2
51 リトル・エッラ 2.2
52 パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ 2.2
53 ボーはおそれている 2.2
54 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
55 瞳をとじて 2.2
56 ゴースト・トロピック 2.2
57 葬送のカーネーション 2.2
58 Here ヒア 2.1
59 美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024) 2.0
60 ハンテッド 狩られる夜 2.0
61 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
62 ゴッドランド GODLAND 2.0
63 キラー・ナマケモノ 1.9
64 ザ・タワー 1.9
65 ポーカー・フェイス/裏切りのカード 1.9
66 マンティコア 怪物 1.9
67 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 1.9
68 アバウト・ライフ 幸せの選択肢 1.8
69 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
70 デストラップ 狼狩り 1.6
71 No.10 1.5
72 VESPER/ヴェスパー 1.5
73 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
番外
ソウルフル・ワールド 5.0
QUEEN ROCK MONTREAL 5.0
あの夏のルカ 5.0
私ときどきレッサーパンダ 5.0
FLY! フライ! 5.0
犯罪都市 NO WAY OUT 4.5
DUNE デューン 砂の惑星 リバイバル 4.0
メメント リバイバル 2.0
π〈パイ〉 デジタルリマスター 2.0
貴公子 1.5
ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター版 1.5
実直な潜水艦艦長を実直に映像化
第2次世界大戦中にイタリア海軍の潜水艦コマンダンテ・カッペリーニが撃沈した敵国船の乗組員を救助した実話を映画化。日本でも2022年に二宮和也主演でドラマ化されているらしいが未見。
たとえ敵だろうと、人道的に、何よりも同じ“海の男”として見捨てるわけにはいかない――とにかくコマンダンテの艦長サルバトーレ・トーダロの実直かつ漢気溢れる決断は讃えたい。
ただ、お話自体も実直すぎて、どうしても単調になってしまっている。潜水艦もの映画といえば撃沈されるか否かのスリリングな攻防や、艦内で起こるトラブルといった見どころが要だが、残念ながらいずれも寸足らずな印象。節々で挿入される妻との思い出フラッシュバックも蛇足気味で、121分というランニングタイムが長く感じてしまった。コマンダンテ乗組員と敵の船員をつなぐ要素自体は分からないでもなかったが…
「潜水艦ものにハズレなし」という見解は今でも揺るがないし、本作も決して悪い映画ではない。ただ実話ゆえにスペクタクルでド派手な見せ場は入れづらかったのだろうけど、限定空間を舞台とするドラマづくりの難しさを知った次第。
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