マエストロ その音楽と愛とのレビュー・感想・評価
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背中を支えあう関係の夫婦
ブラッドリー・クーパーの監督第二弾は、前作に続いて音楽家の作品となった。レナード・バーンスタインはユダヤ系アメリカ人で、アメリカ人指揮者として世界的な存在となった最初の一人だ。この映画は、彼と妻のフェリシアとの関係を軸に、音楽家の半生を綴る。緑の芝生の上で背中合わせに座っているバースタインとフェリシアのシーンがある。この座り方がいい。二人の関係を的確に表現している。この夫婦は、別々の方向を向いていて、向き合っていないし同じ方向をむいてもいない。映画でもこの二人はおしどり夫婦というわけではなく、バースタインの同性的傾向(あるいはバイセクシャル的と書くべきか)などもあり、ぎくしゃくした面が描かれる。
しかし、同時に背中を支えあう関係でもあった。ともに同じ方を向いて歩むような関係ではなかったのかもしれないが、支え合ってはいた。この微妙で繊細な夫婦関係をブラッドリー・クーパーとキャリー・マリガンが見事に演じている。そろってオスカー候補になっているのも納得だ。
それにしてもブラッドリー・クーパーは2作連続がオスカー作品賞候補の監督となったわけだが、現在の俳優兼監督の最高峰と言って差し支えないかもしれない。
バーンスタインの人物像に重きを置いたブラッドリー・クーパー監督兼主演第2作
まず主演2人の演技が見応え十分。キャリー・マリガンの悲しみをこらえて寂しそうに微笑む表情は絶品だし、ブラッドリー・クーパーはカズ・ヒロによる鼻の特殊メイクがユダヤ人の外見にからんで騒動になったのをニュースで知っていたが、実際に鑑賞するとすぐに気にならなくなった。
音楽家としての見せ場は、どちらかと言えば指揮者としてのパフォーマンスがメインで、作曲家として楽曲を創作する面にあまり尺が割かれなかったのはやや物足りない。「ウエスト・サイド物語」の音楽を作っていく過程など、もっと丁寧に、盛り上がるシーンとして描くこともできたのではないか。バーンスタインの人物像、とりわけバイセクシュアルであったことと、妻からの視点や、家族との関係などを丁寧に描いたことで、相対的に作曲家としての描写が減ってしまった事情もあるかもしれない。
とはいえ、英国のイーリー大聖堂で指揮したマーラーの交響曲第2番「復活」のシーンなどは音楽も映像もクオリティーが非常に高く、クーパーの前作「アリー スター誕生」と同様、心から音楽を愛しているんだろうなと納得させられる素晴らしい出来だった。7部門にノミネートされた今年のアカデミー賞でいくつ受賞できるかも楽しみだ。
A Poet in Showbiz
Bradley Cooper proves himself a qualified auteur in Maestro, a biopic about the career, marriage, and homosexuality of composer Leonard Bernstein. Produced by both Spielberg and Scorcese, the film looks great and features dialogue authentic to its monochrome era. Every scene a character is holding a cigarette which leads to a dramatic plot point. A lush manifesto on what it is to be an artist.
やっぱり音楽が最高
監督が主演を張る作品にはちょっと抵抗を感じる派なのだが…「アリー/スター誕生」が超好みだったことと、第96回アカデミー賞7部門ノミネート作品だし、やたらと製作陣が豪華ということで鑑賞。
好みの問題か「アリー/スター誕生」ほどの感動ではなかったが、それでも紆余曲折ありの夫婦愛はやはり徐々にグッときた。
恥ずかしながら本作でレナード・バーンスタインのことを知ったわけだが、カリスマ性がハンパない。ブラッドリー・クーパーの熱演もそう感じさせたのかも知れない。
実は個人的には、本作主演の2人とも今まであまり推していなかったのだが、本作によりずいぶん観方が変わった。2人の言い争いシーンはど迫力で歴史に残る名場面と言っても過言ではないのでは。窓からの光景との対比も場面をより盛り立てている。
でも本作の最大の魅力は、やっぱり断然「音楽」かな。
指揮者で作曲家
ブラッドリー・クーパーが苦手で・・
で、キャリー・マリガンの熱演に免じて・・少し甘く・・。
どうも・・「アリー」もそうだったんだけど・・ブラッドリー・クーパーの「どうだ いい映画創ってるぞ」と奢りを感じさせる押し付けがましさがどうも苦手で・・。
題材の目の付け所は良いのだから、肩の力が抜けた作品、創らないかしら・・。
バーンスタインにそっくりメイクの執念はすごいなぁ・・。
もう、ずいぶん昔・・バーンスタインのファイナルコンサート、「ベートーベンの第七」をサントリーホールで聴いたっけ・・。その後、体調を崩して公演がキャンセルされて・・旅立たれた。ヘビースモカーなのは周知でしたが・・こんな側面があったのは知らなんだ。
カラヤンもそうですが・・音楽の神様は、「才能」というギフトには、おまけもつけるのでしょうね・・。
映画館で観るべき映画!
涙してしまった。
病気の妻に寄り添うシーンはとても心が痛い。奥さんはあれだけ愛されて幸せやったと思う。2人の深い愛に感動。
演奏シーンも圧巻で、ぜひ映画館の音響で聞いてもらいたい。たまたま、映画館で期間限定公開していたので観に行ったがこれがNetflix限定配信なのが本当にもったいない。映画館で観るべき映画!アカデミーにもノミネートされてるからまた映画館とかでやってくれへんかな?
クーパーがちゃんとおじいちゃんになってるのがさすが。クーパーは役者としてもすごい人やと思うけど(アメリカンスナイパー、世界にひとつのプレイブック…名作多数。)監督としても人の心を掴むのが上手い人なんやろうなあ。
妻役のキャリーマリガンもとても魅力的やった。
キャリー・マリガン可愛い
夫としてのバーンスタインは許容できず…でした
演奏シーンは配信で見ても確かに素晴らしく、それだけに劇場で観ればよかったと残念に思いました。
ただ、夫婦関係は千差万別といえど、悪びれもせず目の前で愛人と手をつなぐ夫を許容できるかというと、難しいです。
才能のある芸術家ならいいのか?
男性ならいいのか?
人として駄目なのでは…?
という具合でイラッとしてしまい、夫婦どちらにも感情移入できないまま終わりました。
レニーの愛と葛藤の物語。
教会でのコンサートでの交響曲第2番が、迫力があって、ブラッドリー・...
愛と情熱と魂の音楽
アカデミー賞取るか?
ゴールデングローブ賞で作品賞、監督賞、男優賞(ブラッドリー・クーパー)女優賞(キャリー・マリガン)にノミネートされているNetflixの「マエストロ:その音楽と愛と」を劇場公開中のシネマート新宿へ。製作はスコセッシとスピルバーグ。
主要部門ノミネートはアカデミー賞につながる可能性もあるNetflix作品、明日までの公開なので、とりあえず劇場へ。レナード・バーンスタインとその妻の物語。
レナード・バーンスタインを見事に演じたブラッドリー・クーパーも(そしてそのメイクも)素晴らしいが、妻役のキャリー・マリガンが良い。彼女はきっとどこかで賞を取るな。
モノクロとカラーを時代で使い分け、場面転換も見事なのだが、惜しむらくは妻からの視点が強いが、どっち付かずになってしまうところがある脚本がちょっと弱い。音楽シーンは素晴らしく劇場で観て良かった。音楽はレナード・バーンスタイン。
「TAR」は見逃したが、ターの指揮の先生はレナード・バーンスタインだったらしい。
追記:アカデミー賞で、作品賞、ブラッドリー・クーパー主演男優賞、キャリー・マリガン主演女優賞、メイク・ヘアスタイリング賞他7部門でノミネートされた。
演奏場面の圧倒的な説得力
監督・脚本・主演のブラッドリー・クーパーから目が離せなかった。完成までの間、どれだけバーンスタインを自分に乗り移らせてきたのだろう。
比較するのもおこがましいと思うが、これまで自分が観てきた邦画やドラマで指揮者やクラシックが扱われていた時に感じた嘘くささが、この映画には微塵もない。
例えば、終盤近く、学生に指揮を指導する場面など、彼の手の動き一発で、観客の誰もが納得させられたのではないか。
映画の序盤から中盤まで、演奏場面は必ずしも多くない。それがある意味フリになって、クライマックスである、後半のオーケストラの演奏場面の長尺が生きてくる。
ここが本当にすごい!
この演奏場面の圧倒的な説得力により、我々観客は、それまで、夫と共に歩み続けることから降りようとしていた妻が、改めてバーンスタインに引き寄せられていくその変化を納得させられてしまう。
妻役のキャリー・マリガンも素晴らしい。プロミシングヤングウーマンの彼女だと後で知り、印象の振り幅に驚いた。
若い頃から、晩年までが違和感なく感じられる、カズ・ヒロの特殊メイクの自然さも指摘したい。
加えて、回想シーンを、時代に合わせて白黒からカラーへとスタンダードサイズで表現する手法もよかった。ワンカットワンカットが、まるで一枚の絵の様に美しく見えたのも、まるで人の思い出というもの自体を表しているかのようだった。
ところで、
余談だが、登場人物たちが余りに喫煙するので、つられて自分も久しぶりに一本だけ吸ってしまった。禁煙中の人には、ツラい映画です…。お気をつけ下さい。笑
愛に包まれている
人間味あふれるガチャガチャ人生
Netflixはチラシないし、いつのまにかチラッとだけ上映するから観れないかと諦めてたら、有楽町で観れた、小さい方ではあったけど満席。
タイトルと写真から妻への一途な愛の物語かと思っていたら、意外にも複雑で奔放。
まあ偉大な芸術家というものは、私生活がエキセントリックだったりするから分からなくもない。
すごいタバコ吸うし。
音楽パートは流石に素晴らしい。セーラーでのダンスシーンは、クラシックのミュージカル映画を彷彿とさせ、教会で指揮をするシーンは鳥肌もんだった。
欲を言えばモノクロパートのエピソードをもっと観たかったかな。モノクロ写真のイメージで観に行ったから、カラーパートがいろいろありすぎて、前半がわりと駆け足だった印象。
冒頭とトミー登場のパーティーシーンのカメラワークが好き。
役者の演技を堪能
2024年劇場鑑賞2本目。本当は元日に観る予定でしたが地震で上映中...
2024年劇場鑑賞2本目。本当は元日に観る予定でしたが地震で上映中止。正直3日に観に行くのもしんどかったのですが、今週しかやってないということで、これで観るのやめたら地震に負けた気がして意地でも行きました。
ネトフリの作品なので当然パンフレットなくマイナス0.5。
年末から実話かドキュメンタリーしかほとんと観てない・・・。
実話と知らずに観に行ったのですが、なんとなく名前は聞いたことのあるレナード・バーンスタインの伝記映画。原題はマエストロだけなので、その音楽と愛は邦題で勝手につけたのですが、確かに愛の映画でした。音楽の部分はちょっと分かりませんでしたが。愛といってもその男女のスキャンダル的な一元的な感じではなく、家族愛も含まれた広い意味で、色々あった奥さんとの晩年の話は泣いてしまいました。
若い頃はモノクロで、過去編はずっとモノクロかと思いましたがそうでもなかったので、CGで若返らせるのがその方がやりやすかっただけかもしれません。
音楽好きなら推せる一作。
今年7本目(合計1,099本目/今月(2024年1月度)7本目)。
元ネタありの映画のためドキュメンタリー映画のような様相になりますが、そのために展開が読みやすいという一面もあり、小説(自伝記など)で読むか映画を見るかは分かれるかなと思います。
音楽好きならおすすめといったところでしょうか。
主人公の妻(フェリシア)に思う心遣いなどは「少し前の時代」のことではありますが普遍的にあることですし、こういった描写があったのは良かったです。
採点上、ややわかりにくいかな?と思った点はあるものの、音楽映画という性質上そういう語句が出るのはある程度承知済み(エレクトーンにせよピアノにせよ合唱にせよ、何らか音楽に触れているのが前提という字幕は一定数出ます)ということなので減点なしにしています。
人間を観る
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