劇場公開日 2025年2月14日

「今ひとつ主人公の心境がよく分からないのよ。」愛を耕すひと あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0今ひとつ主人公の心境がよく分からないのよ。

2025年2月21日
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鑑賞方法:映画館

重厚な歴史ドラマ。デンマーク語(だよね)であるところが好感持てる。最近は大市場のアメリカを意識してかヨーロッパが舞台であっても全編英語っていう映画が多く違和感を抱くことが多い。ナポレオンが英語喋っている作品もあったよね。
舞台はデンマーク領ユトランド半島。「バベットの晩餐会」と同じ土地です。あれは海っぺりだったけど本作は内陸の荒れ地(ヒース)。時代は「バベット」のちょうど100年前です。
まずこの時代感というか主人公の生活環境の過酷さがいまひとつ表現できていないと思う。かたや仇役のシンケルの暮らしぶりのキンキンさ。デンマーク王国は全盛期はかなり豊かだったと聞くけど片田舎の荘園領主があんなウィーンのど真ん中みたいな生活していたかなあ。
映像は確かに美しいけどどうも土にまみれて大地を耕しているという感じはしない。小綺麗なんです。
最大の問題はルドヴィ・ケーレン大尉の人物表現。この映画の原題は「Bastarden」私生児です。原作にあたっていないのではっきりは言えないがこれは彼が周りからそのように呼ばれ蔑まれていたということでしょう。人格形成に影響がないわけがない。そのような経験は、上昇志向がありながら卑屈であり、時として優しく時として冷酷で暴力的な人間として、すなわち二面性のある複雑な人間を生み出すと思う。冷酷なところはならず者たちに罰を加えるシーンに表れているがその他、基本的にはこの作品はルドヴィ・ケーレンという人物の心の中には分け入っていない。全てマッツ・ミケルセンの重厚な演技で覆い隠されていて単に鈍重な我慢強い人にしか見えず今ひとつ心の陰影が見えてこないのです。演出のせいではもちろんあるのだが、ミケルセンの演技プランにも問題がなかったといえるのか?素晴らしい演技だ、名優だともてはやす声があまりにも多くて、天邪鬼の自分としては疑問を呈してしまうのです。マッツ・ミケルセンの最高演技は007のル・シッフルだと思っているひとなもんで。すいません。

あんちゃん
bionさんのコメント
2025年2月27日

愛とは言えないですね。
苦難を共にしたことで生まれた絆だと思います。

bion