劇場公開日 2025年2月14日

「私生児」愛を耕すひと CR7さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0私生児

2025年2月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原題のデンマーク語のBastardenは、英語のbastardのことで、私生児やロクデナシという意味。邦題の「愛を耕すひと」も英題の「the promised land」もなんか違う感じ。原題の「私生児・ロクデナシ」が一番しっくりくる。

主人公のケーレンは貴族の使用人の子供で、25年間、軍で働き大尉の地位に就く。彼は軍を退いた後、貴族の称号を得るために荒地の開墾を始める。つまり、ケーレンは、自分が私生児であることに劣等感を感じていて、それを、爵位を得ることで埋め合わせようとしている。

敵役のシンケルは生まれながらの貴族でありながら、非情なロクデナシで、自分を権威付けるために「デ」シンケルと自分を呼ぶように命じる。そして、ケーレンが王権の下に自分の土地を開墾することを恐れている。

つまり、二人とも敵対していながら、どちらも欠落感や劣等感を抱えているという意味では同じなのだ。

開墾と敵対の過程で、ケーレンはタタール人の子供を引き取り、逃亡した小作人の妻を愛し、貴族のシンケルのロクデナシ振りを知る。苦労して開墾に成功した後に爵位を与えられるが、それを拒否する。ケーレンは、身分や財産以上に重要なことに気付いたのだ。

壮大なデンマークの荒地の撮影が素晴らしい。セットや衣装なども当時の様子を忍ばせる。マッツ・ミケルセンをはじめ役者陣の演技と役作りにも説得力がある。
是非、映画館で味わってほしい重厚な作品。

CR7
CR7さんのコメント
2025年2月22日

原題の2つの意味は、少し分かりづらいですね。

CR7
toshijpさんのコメント
2025年2月21日

お邪魔します。原題の二つの意味について知らなかったので勉強になりました。ありがとうございます。主人公のケーレンにも「デ」シンケルにも当てはまる言葉だったんですね。

toshijp