オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
全723件中、701~720件目を表示
私たちは1年後には核戦争でなくなっている(かもしれない)世界に住んでいます。
======ノーランの致命的な失敗======
トリニティの実験を全くCGを使わずに撮影してしまったことが、この映画の最大かつ致命的な失敗。
この映画のように、広島、長崎を撮さないのであれば、トリニティの実験こそが、「人類は取り返しのつかない箱を開けてしまった」ことの(唯一の)表現であったはず。
ところが、何のこだわりか、彼がCGを使わないという(愚かな)選択をしたために、原子爆弾が、単なる「凄い爆弾」に成り下がってしまっている。
小さい頃から、夏には平和教育を受け、甲子園の試合の最中のサイレンに黙祷し、自発性のあるなしに関わらず、映画やドラマを見、原爆や戦争に関する本やマンガを読み、小学校や中学校で教師の話を聞いたり授業を受けてきた私たち日本人は、「原爆はあんなものではない」という気持ちを味わったことだろう。
私は核爆発を実際に見たことはない。したがって、ひょっとすると、トリニティの爆発は映画に近いものだったのかもしれない。
でも、それではダメなんだ。
ということがノーランにはわかっていない。
広島、長崎を描かなかった選択は、監督の考えだから仕方がないことだと思う。
私自身も、原爆の仕組みなどの科学的なことや、どうして日本に原爆が落とされたのかの社会的な意味を抜いてしまって、ただひたすら原爆の被害状況や情緒的なものを描くばかりのドラマ(あるいは平和教育)には異論がある。
ただ、実際の爆発程度がどうであったにせよ、爆弾の親玉程度の描きかたでは、何も伝わらない。
人類はパンドラの箱を開けてしまったのだ。
過剰なほどの「原爆の恐ろしさ」の描写が絶対に必要だったのだ。
===================
〈追記 2回目の鑑賞の後に〉
ここまで読んでくださった方の中には、「ノーランのことをさんざんに書いているのに、なぜ評価は5?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
私がここでレビューを書く時に気をつかっていることは「ネタバレをしない」これだけです。だから、おちゃらけたり、どうでもよいようなことを短めに書くことが多いのですが、今回、最初に見た後に、つい、少々肩に力の入ったレビューを書いてしまいました。
それこそが、評価を5にしてしまった理由です。みなさんの中にも、この映画を見て、自分の思ったことを伝えたくなった人は少なくないと思います。
ここでのレビューをずっと読ませていただきました。みなさまのおかげで、今回は、かなり細かいところまで理解することができました。
否定的な意見。肯定的な意見。いずれに対しても「そうだよなー」という気持ちで読ませていただきました。
私自身の感想は、そのどちらでもあり、どちらでもないような気がします。それでも(可能ならば)他の人にも見て欲しいと思う映画でした。
ロバートダウニーJr.のアカデミー賞の時の様子を見られた方とそうでない方は、この映画そのものに関する感想もずいぶん違ってきたかもしれません。
私はダメでした。よりによって、このテーマで撮った映画の主要な人物が、アジア人を、まるでそこにいないかのように扱った姿を見て、こんなに恐ろしいもの(原爆)を人が住んでいる広島や長崎の上に落とせたのは、きっとこんな感覚だったんだろうな、と思わせるに充分なものでした。
「アイアンマン」や「シャーロックホームズ」以来、好きな俳優の一人だったからこそよけいに残念でなりませんでした。
私はこの映画に(ある意味認めながらも)何か釈然としないものを感じていました。
ある方のレビューを読んで、それがオッペンハイマーが何を後悔していたか、ということだったことに気づきました。
彼は広島や長崎に原爆を落としたことではなく、核爆弾というパンドラの箱を開けてしまったことに後悔しているのではないか、という疑念です。
私たちは何かの予期しない突発的な事故で、大規模な核戦争に入ってもおかしくない世界に住んでいます。
私たち日本人は、好むと好まざるに関わらず、ノーランの持っている原爆に関する知識の何倍もの知識や感情を持っています。(どうしても情緒的なものに片寄る傾向はありますが)。なにせ、かけてきた時間が違います。日本人である私たちが、この映画を見て感じたことをみんなに伝えていくことは、きっと何らかの役に立つはずです。私はそう思ってこのレビューを書いています。みなさんも、この映画を見て、思ったことや感じたことを書いていただければいいなと思っています。
世界的に著名で影響力のあるノーラン監督が、原爆に関する映画を作ったことこそが、この映画の一番の価値であるように思います。ノーラン監督には、ぜひ、広島と長崎を訪れて、原爆について深く学んで欲しいと思います。
(どうでもいいことで)
・「トリニティ」というのは、「リトルボーイ」や「ファットマン」と同じような、その爆弾の名前だと思っていました。しかし、トリニティというのはあくまでもこの実験の名前で、「ガジェット」(道具の意味?)(映画で呼んでいたそのまま)が爆弾の呼び方のようです。
・実験で光ってから音が届くまでの時間は、実際のものに近いものだと思っていましたが、(頭の中で数えてみただけですが)およそ70秒あまりと実際に9km地点で感じる時間(25秒程度)よりずっと長い時間でした。やはり演出として、この無音の時間をとっていたことがわかりました。
・レビュー中の「甲子園のサイレン」は8月15日の正午に鳴らされるもので、原爆の落ちた6日と9日に鳴らされるものではありません。
・映画の中で機密保持許可になぜあんなにこだわるのだろうと考えていました。しかし、研究者として機密に触れることができないということは、実質、核の研究から追放されたことと一緒だということがわかりました。
・オッペンハイマーは絵画にも造詣が深そうでしたが、母親は画家だったそうです。
・「大気への引火」について、私自身は、自分の持っていた(薄っぺらな)核分裂や連鎖反応に関する知識から、荒唐無稽なものと認識していました。しかし実際には、テラーから出されたアイディアは、核分裂ではなく、大気中の8割を占める窒素の核融合についての懸念であったようです。この映画の通り、再計算の結果、その可能性は「ほぼ0」ということだったようですが、「大気への引火」を聞いたオッペンハイマーらのトリニティ実験に対する恐怖は如何ばかりだったろうかと想像しました。そして、それでも、実験を行った彼らに対して、改めて言うべき言葉を失いました。
・日本でも、湯川秀樹博士は原爆の開発に関わっていたということです。朝永振一郎博士も原爆ではないものの、殺人光線(レーザー光のこと?)の開発に関わっていたそうなので、私たち日本人も、アメリカだけを責める資格はないなあと感じました。
・1942年の時点で、オッペンハイマーは水爆の開発にも積極的に関わろうとしていた様子があるようです。その後の水爆反対の行動を考えてみると、(少し穿った見方にはなりますが)、自分が中心となって関わった原爆を上回る武器の開発に対して反対した、ともとれないことはないかもしれません。個人的には核開発の競争を懸念しての行動と信じたいのですが・・・。
========================
〈追記の追記〉
安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから
平和公園の碑文。
この主語が何だったのかで、論争が起きたことがある。被害を受けた「私たち日本人が」なぜ謝る必要があるのか、という論議である。主語を「日本人」とした解釈である。
それぞれの立場からいろいろな解釈があったそうだ。
結論が出てしまったわけではないのかもしれないが、主語は「私たち人間は」というのが今の一般的な解釈ではないだろうか。
原爆を作ったのは、オッペンハイマーでも、物理学者たちでもなく、私たち人類であるという認識である。
広島市のWebサイトには次のような文章が載せてある。広島市としての解釈も「すべての人びと」が、ということのようだ。
----------------------------------------
この碑文は、すべての人びとが原爆犠牲者の冥福を祈り、戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉であり、過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて、全人類の共存と繁栄を願い、真の世界平和の実現を祈念する「ヒロシマの心」が刻まれているものです。
----------------------------------------
書いてある通り、繰り返さないのは原爆の投下だけでなく戦争そのものを指している。
先日読んだ本に、父親に抱かれた2歳児のオッペンハイマーの写真があった。彼も普通の人間であり、子どもの時代があったという当たり前のことに軽い衝撃を受けた。
私たちが真に原爆を落としたことを悔いるのであれば、そこには「私たち人間が」という認識が必要ではないだろうか。
私はこの映画に不満たらたらである。アカデミー賞授賞式以来、ロバートダウニーJr.に対しては嫌悪感さえいだくようになった。
ただ、相手を非難しているだけでは何も進展はない。
このサイトでも、肉親が被害にあった人、被曝2世や3世、広島や長崎に住んでいた人たちなどのレビューが載っていた。私は何かコメントを書こうとしたのだが、ずいぶん悩んだ末、言葉を思いつくことができなかったものがある。
私は日本人とそれ以外の人たちの受け取り方の違い(差)を自分のレビューに書いていた。しかし、私自身も、広島や長崎に住んだり、直接的な被害を受けた人に比べると、認識があまりにも浅かったことを感じた。
すべての人びとが、ここでのレビューで悲しみを怒りと涙で表現した人びとの気持ちにならない限り、核の廃絶は無理なのではないだろうか。
今は途方もなく不可能なことに思えるが、私たち人間にはその力がきっとあるに違いないと信じたい。
==============
と、書いていたのに、みなさんのレビューを読み返しているうちに、また、
「自分の家族を「ごめんね。ごめんね」と言いながら殴り殺しする相手を、誰が許すことができるのか」
という思いに囚われてしまいました。
気持ちがふらふらフラフラふらついています。
色んな感情あると思う
よく・・よく、
印象が…
単に言うと、主人公は大罪人と英雄の狭間の中、権力と歓声両方に打ちひしがれる話。
原爆をテーマにした作品だけに、その根底のテーマが重い。どう話を進めるのかを随分苦心した作品だと思う。
過去、邦画(winny)で、[フォークでケガをしたらそのフォークを作った人がわるいのか?]
という下りがあったが、これは、結果を知っていながら、それを作りたいという又国の為にと言うにはあまりにも最悪なモノを想像している実話をベースにしている。
日本もその案はあったと言うが、戦争は凶人を模索すると言うが……
……作品としはいい方だと思う。ビッグネームの俳優を散りばめ、人と人の葛藤が良く出ている。本当に戦争を是としたものではなく、ただ、権力と勝利を望む事に対して流されていく者たち。それが良く出ていた。
3時間アップのセリフが多いこの作品。後半、少しダレ気味だったけど、時間を感じさせなかった。鑑賞する人それぞれに感じ方は勿論違うと思うが、一見する価値があるなと思った。……映画でのあの爆発シーンで辞めろと心から思ったのは初めてでした。
最後に評価で定点数を入れないのは作品自体が悪いのではなく、ただ炭となった…を踏んだシーンがあったから。このシーンだけで採点できませんでした。
心の震えが止まらないよ
どうしても 心の震えが止まらない
終盤、核爆弾実験成功後、広島、長崎の単語が出るたびに目尻からジワジワ血涙が滲む
朝メシ抜きだが食欲は蒸発
ただ シラフではいられない
心鎮まるのを映画館で待ってる
もう40分もベンチに座ってる
なかなか気持ちの整理が出来ない
私はノーラン監督の作品はコンプリートで観てる大ファン
アメリカ🇺🇸のタブー
触れてはいけないタブーを描いた
おそらくは命懸けで
賛否両論は当たり前
それが健全な反応
それでこそ映画
人間の本質を問う作品を送り続けた
彼の今までのキャリアは
この作品を撮るために
あったと思えるほどの入魂の作品だ
静かに拍手
少し怒り💢🤏も湧いてくる
そして更に考えたい
この説明出来ない
溢れ出る感情の正体
とにかく難しいの一言
原爆をつくったのも人間
聖林アメリカ人のマタタビの正体
納得
歴史面から見れば新しい発見は特にはなく、史実に沿って構成しているのでネタバレも減ったくれもないのだが、公開前のプレミア上映だったので、極力大きなネタバレは避けておきます。
とにかく「すごい」「傑作」を連呼したくなった。
過去、時々あった「なんでこれが?」「時節の流行に流されたのか?」「多様性に配慮した政治判断じゃね?」みたいな作品とは違い、アカデミー賞の最優秀作品賞受賞も納得でした。
繰り返し挿入される水滴や波紋、炎や太陽フレア爆発など、様々な抽象的カットは、オッペンハイマーの思考・ひらめき・感情を表したものだと思います。
その美しく、高度な映像表現の数々。
また様々な場面における音楽、自然音、効果音、すべてが素晴らしい。
ちなみに、警戒された原爆成功については、確かに科学者たちの歓喜シーンがあったものの。
すぐに、被爆実態のフィルムを見て「恐ろしいことをした」と悔い改めるオッペンハイマーの姿に、日本で上映しても問題がないと思いました。
ただ、彼の虞(おそ)れは日本に対しての罪悪感が主ではなく、「水爆開発が世界を滅ぼしてしまう」ことであり、「科学を躊躇なく武器として使う人間というもの」「人の業(ごう)と欲の醜さ」に対してであるように思えもしました。
オッペンハイマー 世界的にみても被爆国日本の公開が大幅に遅れた作品...
オッペンハイマー
世界的にみても被爆国日本の公開が大幅に遅れた作品。被曝に対して何か強い思想、考えが込められてた様には思えず、直接的な投下シーンもないためそこまで必要以上に繊細に身構える必要ないと感じた。
この作品を見て被爆国日本人として一点強く感じたのは日本に本当に落とす必要性がはなかったのではないかという事。ドイツの情勢やソ連に対する牽制だったり必要性が感じられず、当時のアメリカ政府やアメリカ軍、アメリカ国民の様子をアメリカ人たちがこの様に作品にしてくれたのは救いではあった。
娯楽性は限りなく少ないノーラン作品とはなるが、被爆国の日本人としては鑑賞を強く勧めたくなる作品であり同時に色々と語りたくなる作品であった。
個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 Firebird ファイアバード 4.8
3 コット、はじまりの夏 4.7
4 オッペンハイマー 4.7
5 アマグロリア(原題)Àma Gloria(横浜フランス映画祭2024) 4.8
6 コンセント 同意(横浜フランス映画祭2024) 4.7
7 ARGYLLE/アーガイル 4.7
8 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
9 バティモン5 望まれざる者(横浜フランス映画祭2024) 4.5
10 デューン 砂の惑星 PART2 4.5
11 愛する時(横浜フランス映画祭2024) 4.5
12 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
13 アクアマン/失われた王国 4.5
14 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
15 異人たち 3.7
16 ミツバチと私 3.6
17 ブリックレイヤー 3.5
18 ネネスーパースター(原題) Neneh Superstar (横浜フランス映画祭2024) 3.4
19 12日の殺人 3.3
20 コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話- 3.2
21 コヴェナント/約束の救出 3.0
22 僕らの世界が交わるまで3.0
23 ストリートダンサー 3.0
24 カラーパープル 2.9
25 弟は僕のヒーロー 2.8
26 RED SHOES レッド・シューズ 2.8
27 画家ボナール ピエールとマルト(横浜フランス映画祭2024) 2.7
28 Vermines(横浜フランス映画祭2024) 2.6
29 関心領域 2.6
30 ジャンプ、ダーリン 2.5
31 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
32 けもの(仮題)La Bête(横浜フランス映画祭2024) 2.3
33 マダム・ウェブ 2.3
34 落下の解剖学 2.3
35 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
36 哀れなるものたち 2.3
37 DOGMAN ドッグマン 2.2
38 パスト ライブス/再会 2.2
39 ボーはおそれている 2.2
40 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
41 瞳をとじて 2.2
42 ゴースト・トロピック 2.2
43 葬送のカーネーション 2.2
44 Here ヒア 2.1
45 美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024) 2.0
46 ハンテッド 狩られる夜 2.0
47 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
48 ポーカー・フェイス/裏切りのカード 1.9
49 アバウト・ライフ 幸せの選択肢 1.8
50 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
51 VESPER/ヴェスパー 1.5
52 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5
番外
QUEEN ROCK MONTREAL 5.0
私ときどきレッサーパンダ 5.0
FLY! フライ! 5.0
π〈パイ〉 デジタルリマスター 2.0
ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター版 1.5
アメリカのアメリカの為の映画
はっきり言って3時間は長すぎ、前半は主人公の色恋沙汰が長々と続く、後半に入ってやっと本筋が始まる、ここまでが苦痛で苦痛で仕方なかった。セリフの一言一言が事実なんだろうからそれは観る側にとってはすごく重みを感じるのは理解出来ます。
結局アメリカという国はイスラエルと同じ考えだという事、先制攻撃されて人質を返さなければ全く罪のない多くの一般人殺害、飢餓で殺しても何とも思わないという考え、正にこの映画も実際に原爆落とされて広島 長崎で被爆して死んだ人の気持ちなんてこれっぽっち も思っていなくて互い責任のなすり合いばかり、「これでやっと息子が戦争から帰って来れる」のセリフが正にその物、こんな映画がアカデミー賞で多くの部門を受賞すると言う事は、死んだ広島 長崎の人達のおかげだと言っても過言ではないかと思う。
まあ内容が難しく盛り上がりの少ないノンフィクション映画ではあるが、映画その物の構成や俳優の演技自体は評価します。 但し、広島 長崎以外に住んでる多くの日本人が観てもはっきり言って気持ちの良い映画ではないですね、だからアメリカのアメリカの為の映画でしたという事。
京都には落とさないという理由は有名な話だけど、まさかハネムーンで行って気に入った所だからが理由だとはねえ、、、、、、。
追記
オッペンはヘビースモーカーなのだろうか、各シーンのたびにタバコを吸ってる。最近の映画では禁煙ブームなのかあまりタバコを吸うシーンは見かけなくなった。この映画ではオッペン以外の俳優は殆どの人が吸っていない、これには少し不自然に見えましたね。
WE did it って・・・
最初から最後まで、
オッペンハイマーの苦悩、
核兵器を作るべきではなかった、
しっかりしたアゲインスト作品にはなっている。
キリアン・マーフィーが、
『ピーキー・ブラインダース』のイメージが強すぎるが、
トミーの弱さを見せない役作りとは、
違う一面を見せる、
その一面一面を、
カラーそのものの色彩、
RGBでいうとGの上げ下げ、
BSMYでいうとSの調整、
ネガティブな史実、
状況に沿ったマインドをカット毎に、
多面的に構築する。
劇伴音楽はいつものブオブオ・・ブオブオ、
洗濯機を回すような音は、
和音風に深層に潜っているよう。
解体からの構築、
キュビスムオッペンハイマー。
量子論、平和、映画そのものの解体、ノーランキュビスム。
のような本質は永遠の映画のテーマでもあり、
ノーラン自身も『メメント』から、
映画の表現の解体、
再構築を常に試行、
観客に新しい凄い体験をさせるひとりドドンパ(体験そのものも、スクラップ&ビルド)に挑んでいるが、
基本的には社会性には踏み込まない(『ダンケルク』もネガティブな社会性の成分は少ない)。
どうしても解体、再構築が、
現実社会と切り離せなくなると、
表現の自由度に制限が出てくるのも理由のひとつだろう。
対話のシーンのカメラの入れ方、芝居も見所のひとつ。
基本的にはノーランは、
他の作品でも手前人物入れ込みで、相手の正面を撮る。
しかし、
キリアンとマット・デイモンだけは、
ワンショットを切り返していく、、、その意味。
他にもマシュー・モディーンが出演している意味、
ケーシー・アフレック、
地下鉄の吊革パンチングボール男ジェームズ・レマーまでひとりひとり言及したい、
IMAXのスタッフは、
クレジットされているだけでも約50人、
絵を重視するならIMAX、
音を優先するならDolbyCINEMA、
がいいだろう。
もちろん座席の位置、
各スクリーンの設定でも多少の違いはある。
さすがはノーラン、
おもしろいアイデアにあふれている、
枝葉末節話しの脱線が長くなり過ぎるので、
上記は別の機会にして本題へ。
ロス・アラモスでの、
実験の後の、
WE did it、
WEも気になるし、
didは何をどこまで、
itって、、、。
トルーマンの、
I didも、、、。
朝ドラの三淵嘉子さんも、
どこまでドラマ化するのか、
興味深い。
【蛇足】
映画で、
どこまで凄惨な現実を描くか、
抽象度の上げ下げの具体的な方法論は『サウルの息子』で書いてます。
オッピーのスピーチ、目の前の観衆が消えるシーン。
ノーランが実娘をキャスティングしたのは、
本作を撮る事の覚悟の現れのひとつだろう。
日本人として辛い内容、でも公開決まって良かった。
原爆が完成されるまでの経緯を描いた伝記物。
時系列が入り混じり、バックボーンを知らないと難しい人間関係がわりと複雑。
アインシュタインの関係も知らなかった!自分の無知さ…もっと事前勉強しておくべきだった!
そもそも自分は、これまで広島や長崎に至るでの経緯、その後の地獄、日本の視点でしか調べたりしなかった。だから、オッペンハイマーという人物、原爆が完成するまでの大規模実験など、経緯は全く知らなかった。
この作品キッカケで、原爆とはなにか?水爆実験とは?などを調べるきっかけとなったから、観てよかったと思う。
※でも、知れば知るほど、辛い。
作中でほぼ描かれなかった“落とされた側”の視点で、どうしても考えてしまう。
この作品の裏側で、どんなことがあったのか…。想像するだけで絶望した。
※京都を選ばなかったシーンは純粋に怒りが湧いた。
正直、ストーリーとしての面白さは感じれなかった。
ただ、キャストの演技はとても良かった。
とくに、少しの出番にもかかやらずら体当たりなフローレンス•ピューと、一言が強いラミ•マレックは存在感があった。
あ、ロバート•ダウニーJr.も良かった!
アカデミー賞13部門ノミネートですか〜😩…
昔、クローン羊のドリーが生まれた時、世界中で倫理観についての論争が繰り広げられましたが、科学者たちは科学の力で世界を変えることができるか、世の中に役立つ発明ができるかという発想で、恐らく今でもクローン動物、クローン人間の実験は秘密裡に進められているものと思います。この作品を見ながら、ずっと科学者の葛藤を想像してました。
そもそも字幕なしで、英語力が中途半端で理解できる作品ではないんですが…w
去年の夏の公開当時はバービーと観客を二分していて、バーベンハイマーなる造語ができるほど、映画館には人が溢れていました。私の周りでもオッペンハイマーは観たいけど、バービーはいいや…的な感じで結局私はバービーを1人で観に行きましたが、被爆国出身としてオッペンハイマーなんて、意地でも観るもんか!と作品化に憤っていました。
IMDbアプリの評価でも8.4/10、アカデミー賞候補が発表され、受賞が有力視されているせいか、今頃になってオッペンハイマーやバービーが再公開されているタイミングで、覚悟を決めて観ることにしました。
日本でも3月公開予定で、恐らく多くの方が観に行くと思われますが、これは事前にオッペンハイマーの生涯を予習しておく必要があります。映像的にはやはり原爆実験のシーンが一番インパクトありますが、ちゃんと予習しておけば後半の赤狩りシーンや世界を滅ぼしうる発明をしてしまった苦悩で苦しむ大発明家の姿など、見ごたえのあるシーンはたくさんあります。
またカラーとモノクロのシーンが交互に入り、「哀れなるものたち」のようなわかりやすさがないので、余計に予習が必要な作品でした。
有名な役者さんがたくさん出てきますが、ロバート・ダウニー・Jrとラミマレックの目力が印象に残るくらいで、あとは役が憑依したと思うほど、誰が演じたかが全くわかりませんでした。アインシュタインとかそっくりでしたしw
カナダに来てすぐに日系のお祭りがあり、そこでボランティアをしたのですが、開催された公園が「オッペンハイマー・パーク」。…何とも不思議なつながりを感じます。
オッペンハイマーは1960年に来日したそうですが、日本人はどんな思いで、どう迎えたんでしょう。
今だに戦争は続いていますが、長崎以来、まだ原爆は落とされていません。本当は原爆を落とせば戦争なんてすぐに終わるんじゃないでしょうか。でも人類は薄々、争いの愚かさ、不毛さを知っていて、原爆という「卑怯な」武器を使わずに国力を示したいのか、どうしてあれ以来原爆が使われないのかに思いを馳せました。
ダイナマイトを発明したノーベル博士はやはり殺戮兵器を発明した良心の呵責から、ノーベル賞を設立したと言われています。オッペンハイマーの晩年の苦悩はいかばかりか…。カナダ人の友人たちも、オスカーはオッペンハイマーだろうと予想しています。
最高峰の映画技術、退屈な物語。
映画のオープニングは、水たまりに落ちてくる雨、それがつくる無数の波紋。そして水たまりのそばに立つオッペンハイマーが、それをぼんやり眺めている。この水の波紋のショットが、つぎつぎに新しいショットを呼び込み、核物理学者のその後の人生と世界へと物語が広がっていきます。つまり「水の波紋」が、核分裂で激しく飛び回り始めた粒子、それがもたらす世界の破滅、その中で大きく変転するオッペンハイマーの人生…を象徴しているんですね。すばらしい編集技術、すばらしいオープニングです。
映画はこの種のきわめて精密なクロスカッティングが繰り返し反復されて、極小の粒子の世界と、核兵器の開発がもたらす歴史の大転換の間を激しく行き来します。その粒子の世界の表現、歴史の転換を表現する緩急の感覚、どれも今の映画の世界の最高峰をゆく技術であることは間違いありません。日本で映画・映像の製作にかかわるすべての人に見てほしい作品です。
ただ、そうした息を呑むような撮影技術が「オッペンハイマー」という人の複雑怪奇な人生を描き切ったかというと、意外にそうでもないんですよね。とりわけ原爆投下をめぐる葛藤の描き方はありきたりです。日本の観客を怒らせるほど冒瀆的な表現があるわけでもない。(つまり日本上映を先延ばしするほどのことはなく、日本の映画会社の腰の引けかたは、情けないかぎり)
なので米国では「退屈だった」という感想が、結構ありました。3時間の映画の中盤で寝てしまった・帰ろうかと思ったと。映画は鮮烈な映像技術だけで見るものではないから、これは当然。
とはいえ脚本は周到につくられているし、手堅くそろえた俳優陣も見事。撮影技術以外にも見所は多いのではないかと思います。
まるでプロメテウス 破壊者か?救い主か??
流石ノーラン監督の作品ですね。キャストたちはもちろんアカデミーほど素晴らしい演技力が出て来ました。素晴らしいカットと映像を深く感じさせていただきました。特に 音声と人物の表情から心理的な一面を表した映像は本当に素晴らしかったです。唯カットだけ見ると オッペンハイマーの顔しかないですが 数万人が走っているようなBGMを聴きながら 主人公の心持ちを共感できます。それは元々映像の魅力的な所だったと思います。
更に 脚本もいろんな哲学のようなメタファーがあり 核兵器などの観点について今の自分の考え方は本当に正しいのかを考えさせました。
パソコンやテレビで見るより映画館で見た方がもっと素晴らしく感じられると思います。映像の構成や映画を作ることに興味がある方にお勧めします。物語だけ注目する方にとって映画の長さが耐えないかもしれません。
IMAXをフル活用した映画
賛否は見たあとで
「原爆の父」物理学者ロバート・オッペンハイマー氏を題材にした本作品。
ヒットメイカーノーラン監督の最新作
公開当初から英国ではどこの映画館も予約困難…
1ヶ月後にようやくIMAXの席を確保することができた
「原爆」を生み出したオッペンハイマー氏の熱意、努力、そして苦悩を
濃密なストーリーや臨場感のある音楽、そして独特で美しい映像で見事に表現、
あっという間に観客をその世界観に引きずりこむ期待どおりの素晴らしい作品
しかしながら、「原爆」を使用したことで救われた米国人の命、
使用されたことで失われた日本人の命という立場の違いにおいて
日本人である自分には少々複雑な心境になる表現もなされていたことは事実
現在日本での公開は未定となっているようだがアートとして捉えた時に
「見る」「見ない」という選択肢は設けても良いのではないか、と感じる
個人的にはより多くの人によって語られる賛否こそが
本作品の本意ではないだろうかと...気になる方はぜひ!
全723件中、701~720件目を表示