オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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徹底的な権力者への批判を根底に紡ぎ出す、人間の高潔さと矮小さ
上映時間が3時間とは思えないほど、張り詰めた緊張感のまま突っ走る作品だった。3時間もあるのに尺が足りないんじゃないかと思うほど、ロバート・オッペンハイマーという人物自身を掘り下げ、その背景にスペイン内戦から米ソ冷戦までのアメリカの空気を描き出した。
映画の主題だが、核兵器や新たなテクノロジーの危険性云々や、大量殺戮に対する罪悪感云々、反戦のメッセージなんかより、もっと何度も繰り返し映し出されていたのは「権力に奢った者に対する辛辣な批判」だったと思う。
オッペンハイマーへの機密アクセス権に関する審問会と同じくらい、ストローズの入閣を検討する上院公聴会に尺が割かれているのだが、ストローズという人物が「世界でパワーを誇示する存在」の暗喩として機能しているのだ。
その暗喩の対象とは他でもないアメリカという国家そのものであり、現在世界で無視出来ない存在とされるテック企業である。
この映画は彼らに「お前が世界の中心だなどと思うのは単なる驕りだ」という、辛辣な批判を突きつけている。
また、冒頭に書いたようにスペイン内戦から米ソ冷戦までのアメリカの空気とは、イデオロギーの熱気に半ば病のように取り憑かれた空気感でもある。それはアメリカだけでなく、この頃の世界全体がそうだったのかもしれないが、ある程度の理想に燃える若者であれば反ファシズムの共産主義者になるのが自然だった時代から、第二次世界大戦を経て、終戦後の赤狩りの時代へと「善」とされていた共産主義の立場が変わっていた時代なのだ。
それは誰が「仮想敵」とされるかで大義が変化することを意味する。
第二次世界大戦でもナチス・ドイツより先んじて原爆を開発することが是とされ、いざ敵が降伏したら行き場のなくなった兵器を使用する為に「とりあえず」日本に落とす選択が大義となったと言っても過言ではないだろう。
「とりあえず」敵にされる方はたまったものではないが、愚かな行為に突き進む人間の性に国籍や民族や宗教は関係ない。
安易な善悪二元論に陥った事のない人などいないはずだからだ。
原爆の父オッペンハイマーは、時代と言う背景の中で、時代が求める理想のために行動した。また人間は「世界全てを燃やすほどの火」を使うほど愚かではないと信じ、その使用の是非も含め他者に託すことしか許されなかった。そして時代にも人間にも裏切られたのだ。
とにかく登場人物が多く、時系列も前後するので映画を観慣れていない人にとってはかなり難度の高い作品とも言える。基本的にはオッペンハイマーの視点で構成されている映画の中で、唯一彼が登場しない部分、ロバート・ダウニー・Jr演じるストローズの視点部分だけがモノクロで撮影されているので、それを手掛かりに観ていればだいぶ理解を助けてくれるだろう。
人物の見分けについては頑張るしかないのだが、映画好きなら仰け反るほど豪華なキャストが次から次へとスクリーンに登場するので、これもまたこの映画の楽しみの1つでもある。
殆ど事前に調べなかったので、フローレンス・ピューとケネス・ブラナーが登場したあたりでは「えっ豪華すぎない?!」と驚いていたのだが、ケイシー・アフレックやラミ・マレックが出てくる頃にはもう変な方向で覚悟が決まってしまい、「Blu-rayが出たら絶対買おう」と密かに決心した。
勿論オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィーの代表作としても、是非何度も観返したい。
想像以上に面白く、大満足の1本である。
プロメテウスの狂気
アカデミー賞が多様性を重視するのは理解しますが
やはり超長尺の大作白人映画これぞ作品賞の直球ど真ん中作品が受賞したことに
何やら胸のつかえがとれた気がします
長尺作品ですが他国との原爆開発競争で終始貫く緊張感・疾走感により
ノンストップ怒涛の物語が展開していきます
演者のセリフと演技だけで構成され
アクションも無ければ綺麗なロケーションも無い
何ともソリッドな作品ですが正に対峙のし甲斐がある作品です
原爆については一部にユダヤ人の憎しみをナチスにぶつけるために造られたが
ドイツ降伏により日本に振り向けられたような話を聞きましたが
実際には全然そんなことは無く必然的に日本に投下されたが正しいようです
(対ナチスは連合軍として戦ったがあくまでヨーロッパの話
太平洋戦争こそが血で血を洗う殺し合いを演じたのでそりゃそうだ)
劇中のセリフは一つ一つ心に刺さるものがありどんどん引き込まれていきます
やがて彼は科学者ではなく軍人であり政治家となっていたことが象徴的に表現されますが
軍人でもなく政治家でもないことがハリー・トルーマンによって突き付けられます
そして彼のある種思い上がりだったかもしれない所業に気づき我に返ります
プロメテウスは人類に火をもたらすべきだったのか
もたらさなくても誰かが火を生み出したのかはわかりません
しかし彼は世界から戦争が無くなることを願い原爆を作ったが
それは新たな開発競争を生んだだけであることもまた認めざるを得なかったのです
ウィンストン・チャーチルのゲイリー・オールドマンが
ハリー・トルーマンを演じていて思わず吹きました
是非一人二役の作品も作ってもらいたものです
ほぼゲスト出演でしたが狡猾でいやらしいオールドマン節が炸裂していました
まず日本人には好まれない作品ですが是非劇場で挑戦対峙してみてください
重厚で得るものの多い素晴らしい作品です
深呼吸してこの評価を下す
日本人なら、この映画を見て原爆を作り、それを投下した米国人の考えを知っておくべきだ。そして、今も戦火が絶えない地球上の平和のためにも、80年という時間を超えて理解し合い、戦争と平和の意味を考えるためにも重要、見るべき作品だ――。
そういう言い方で評価しておいたほうが無難かな、と思った。でも止めておく。
米国の近現代史の知識がないと非常に分かりにくい。
先に「落下の解剖学」のレビューでも、書いたが僕は法廷劇が苦手だ。
本作も、法廷ではないが、赤狩りに巻き込まれたオッペンハイマーを追及する場面が全体の中で半分くらいはあり、まさに法廷劇の体である。
東京大空襲で10万人が、広島・長崎で20万を超える人びとが死んだ――と登場人物に語らせているし、原爆の熱戦で人が焼かれる幻影を主人公が原爆成功の称賛の熱狂の中で見るといった場面がある。
これからすれば、本作が反核、反戦をテーマにしているのは明らかである。その点は評価する。
しかし、ノーラン監督の「テネット」「ダンケルク」を映画館で見ているが、あれらと同様とにかく持って回った描写が多く、ひとりよがりなのである。
本作も、説明が圧倒的に不足している。それでも引き付けるだけの「物語」があればよいが、それは極めて希薄だと思う。
そして、3時間という尺は長い。頻尿にはつらいよ。
アインシュタインを演じているのが、なんとトム・コンティであった。「戦場のメリークリスマス」以外で彼を見るのはおそらく初めて。まだ生きていたのか、と思った。
鑑賞後、パンフレット(1200円)を購入したが、キャスト紹介の中でコンティの出演作に戦メリが入っておらず、これまたびっくり。宣伝マンは何を考えてるの?
日本の映画ファンには戦メリは欠かせないだろう。リアルタイムで見ていたら50歳は過ぎてるから、若い人は知らないか。
見た後、分かりづらく、もやもやした気分だったが、YouTube「映画の秘密マーク2」というサイトが全米公開後、今から7カ月も前に解説しており、それを見てこの映画についての評価が定まった。関心あれば、チェックしてほしい。事前に情報を入れると興ざめするけどね。
下町のシネコン、封切り初日のファーストショー、午前9時前に入った。客席には半分近くが入り、関心の高さは伺えた。
率直な感想です。
いい俳優さん達が色々でていますね。
ジョシュハートネットってしばらく見ないうちに老けてたなー。かっこいいですけどね。
役づくりでしょうか。
主人公がこんな思いをされていたなんて、知らない人が殆どではないでしょうか。
原爆落とされた側からしたら、この映画を見て良いも悪いも知る部分も大いに有ると思います。
この世界でも、いつ核爆弾が使用されるかわかりません。
やり返して、滅亡に進む事が無い様に願います。
劇中でも、主人公が言ってました‥。
『原爆の父』の半生を描く物語
日本での上映が見送られ、満を持しての上映とあって、朝9:45~の上映だけど、ほぼ満席。
率直な感想を言うと、歴史的事実を忠実に再現しながらも、登場人物の心理描写が緻密。
さすが巨匠クリストファー・ノーラン。
特に、幾度となく登場人物をアップで描き、彼らの心理を描写するシーンが印象的だった。それを可能にしたのが、主役のキリアン・マーフィやロバート・ダウニーJr.、マット・デイモン、ラミ・マレックら実力派の俳優陣だった。
セリフも何もなく、表情だけで心理描写を伝えることができたのは、こうした俳優陣だからこそ。
近年の説明的な映画が好きな人には、向かないかもしれない。
歴史的な背景は、作中でも描かれているが、聴聞会・公聴会・過去とオーバーラップして描かれているので、話の時系列をとらえにくい。
なので、当時の社会情勢や歴史的事実は、予備知識としてある程度必要。
例えば、『共産主義と当時の反共運動』、『東京空襲からポツダム会議』、『マンハッタン計画』、『アメリカの公聴会制度』、『原爆の歴史』などである。
知らなくても楽しめるが、知っていることで当時のアメリカを想像しながら見ることができる。
3時間というすさまじいボリュームの映画だったが、時間を忘れ去れる見ごたえのある映画だった。
オッペンハイマーの半生が軸の作品!
本作はオッペンハイマーの半生を軸にした作品ですね。
原爆がどのように扱われているのか、そこに着目されている方が多いのかなとも思いますし
日本での公開が遅れたのもそこかなと想像するのですが
そこが軸ではなく、つまり、そこを描きたい映画ではなくて
オッペンハイマーの半生を描くのが本作が伝えたかったことなのだろうと感じた次第です。
原爆実験がたぶんいちばんの見せ場になっていますし、
日本へ原爆を投下したことも、各キャラクターのセリフでわかるわけですが、
そこをFeaturingしているわけではないがゆえに、日本への気遣いも一切ないんですよね。
そこは日本人としては賛否分かれるところでしょうが、私は上述のようにそこが描きたいわけではなく
あくまでもオッペンハイマーの半生を描くことがテーマなんだろうと思いました。
キャストで気になったのは、
オッペンハイマーの妻を演じたエミリーブラント。
この人の演技がいちばん激しく気迫に溢れていて、特に表情の演技がすごかったです。
それから、ストローズを演じたロバート・ダウニーJr.。
すごくとぼけた感じの演技が効いていて、最後まで対立している構図が本作の軸ともなっていて
素晴らしいと思いました。
フローレンス・ピューは、本作以外にも大作には欠かせぬ俳優になりましたね。
本作での体当たりの演技も素晴らしかったです。
トム・コンティ演じるアインシュタインも大事な役どころでした。
ラミ・マレック演じるヒルにも見せ場があって、嬉しかったです。
すごいキャストだと改めて感じますね。
本年のアカデミー賞7部門受賞も納得です。
宮崎県民でありながら、わざわざ越県して鹿児島でIMAXで観ましたが、
IMAXがマストか!?と言われるとそうでもないですね。
Dolby Atmosでも充分だと思いました。
※同日、 DUNE砂の惑星PART2もIMAXで観ましたが、これはIMAXの方が断然良いですね。
というわけで、本当に日本で公開してくれて良かったです。
願わくば、日本で公開されない作品など無くして欲しいと切に願います。
ぜひ多くの人に観ていただきたい、オッペンハイマーの伝記映画です。
山本五十六が真珠湾攻撃をしなければ原爆を落とされることはなかった
当時のアメリカ世論は戦争反対。
しかもルーズベルトは戦争をしない事を公約に掲げ当選していた。
つまり攻撃されない限り絶対に戦争できない状況だったのである。
ヒトラーはこの事を良く知っており、
どれだけ米軍に挑発されても反撃しないよう独軍に厳命していた。
実は日本もこの事を知っていた。
したがってアメリカとの戦争は避けると言うのが日本の戦略だった。
ところが、唯ひとり山本五十六だけが真珠湾攻撃を主張。
部下を恫喝し、上官には辞任をちらつかせ脅しをかけた。
米軍トップのスティムソンは真珠湾攻撃をしなければ、
日本は勝っていたと明言している。
日本の戦略は南進して石油を確保した後、インド洋を制圧。
これでインドを独立させる。
インド洋を制圧することによって英、ソ連、中国の補給を遮断。
ドイツ軍と中東で合流して石油を押さえる。
スティムソンの言う通り枢軸国の完勝である。
真珠湾攻撃でアメリカを参戦させ、ミッドウェイ海戦で惨敗。
ダメ押しのガダルカナルで日本の敗戦を決定づけた。
愚将五十六によって広島長崎の惨劇がもたらされたと言っていい。
原爆を作ったオッペンハイマーには何の責任もない。
包丁で殺人事件が起きても包丁職人に責任がないのと同じ事だ。
原爆を民間人に落とす事は国際法違反であり戦争犯罪である。
この戦争犯罪を犯したのは誰か。
トルーマンではない。
ルーズベルトとチャーチルである。
ハイドパークでの会談で原爆投下が決定された。
《When a ”bomb” is finally available, It might perhaps, after mature consideration, be used against the Japanese, who should be warned that this bombardment will be repeated until they surrender.》
原文は、英米首脳の合意・了解事項として、
原爆投下目標は(市街地で暮らす)〝人間であり、日本人〟と明言し、
〝降伏しなければ、「繰り返し」投下し〟
ほぼ全滅させる趣旨を警告するとしている。
怖かった。
無意識にて、トリニティ実験に自分が参加しているのではないか思うほどの、緊張感。
日本人だからかもしれないが原爆実験が成功したのちの拍手喝さいのシーンは、技術者は理解できていますよねその後を。しかし拍手喝さい。イメージシーンと相まって、自分の感情が揺さぶられているのを感じるし、映画のオッペンハイマーも感じている。
没入感が強すぎて、気持ち悪くなるぐらい。
音響と音楽が凄まじいのでぜひ映画館で観ることをおすすめします。
なぜノーランはオッペンハイマーを描いたのか
(映像と音響による観客の没入体験に重きをおく)鬼才ノーラン監督がなぜオッペンハイマーを題材に作品を作ったのか、納得できた気がする。
過去と今の時間を複雑に交差させる構成、主観と客観を織り交ぜたストーリー構造。三時間という短い時間で決して詰め込み感を感じさせないのはノーラン監督ならではの力量。
広島、長崎の惨状を描かないことに賛否両論入り乱れているが、(長崎市出身で友人知人に被爆者家族もいる)自分としては、そのシーンは(作品の構成を歪める可能性が高くなり)必要ないと解釈した
(鑑賞のうえで、この論点を盛んに議論できることは歓迎したい)。原爆の暴力性は別のシーンで十分に伝えられているし、被爆シーンがあったとしても伝わらない人には決して届かない。
(いつか誰かが発見するという意味での)経路依存性を持たない自然科学の研究者が陥る「悪魔の誘惑」や、神への生贄を誰かに負わせたがる大衆の暴力性、悪魔性は十二分に伝わってくる。
何度か観ないと監督の本当の意図は理解できないかもしれない。
深い
日本人として複雑ですが、科学者も政治に巻き込まれたということですよね。
アインシュタインも核兵器を懸念していたという話は聞いたことがありますが、オッペンハイマーもそういう葛藤があったのではないでしょうか。
映像はさすがノーラン監督で、見応え十分でした。
今回は最初から最後までしっかり観れたし、うとうとしませんでした!笑
前のアカウントを忘れてログインできなくなってしまったので作り直して、コメントです。
これからも常連さんのコメントも楽しみにしてます!
原爆への嫌悪感の正体
科学をテーマにした作品を
描いてきたクリストファーノーランが
原爆の父の半生を描いた本作。
日本人に生まれ戦争と向き合ってきた中で
当時のアメリカ国民に対する計り知れない憎悪がある。
その憎悪の正体は
科学者の飽くなき好奇心、
不可避の運命を受け入れる臆病、
未来を無視した近視眼的な怠慢、
であり、いま自分はそららを
受け入れていることを思い知らされた。
前半の「科学者の成功物語」と
後半の「自責の物語」に分けた構成はお見事。
原爆の実験成功後、歓喜の関係者を前にスピーチをするシーンが特に印象的だった。
そして出番は少ないものの
アインシュタインの言葉が秀逸だった。
ダレ場無し。怒涛の3時間
原爆投下まての2時間は怒涛のノーラン劇場。
これでもかというくらいノーランくんが畳み掛けてくるので、観客はそれに振り落とされないようただただスクリーンに釘付け。
そして原爆投下後はロバートダウニーJrの見せ場がこれまた怒涛のように畳みかけてくる。
それまではマットデイモンよりも露出が少なかったのが、ここからの展開でロバートダウニーJrがアカデミー取ったのも納得の演技。
次から次へと主役級スターが出てきて、内容的にもかなりややこしいのに、それを判り易く見せてしまうノーランくんの手腕も凄い。
ただ、原爆投下のところは日本人としては複雑なものが、、、とはいえ、それを差し引いても、圧巻の3時間でした。
複雑(いろんな意味で)
思ってたのと違って、法廷劇のような質疑応答の場面が多いのと、当時のアメリカ政府高官や科学者が多く出てきて、名前と顔を覚えるのが大変(笑)
赤狩り、共産主義、ソ連、この辺の事を知ってないと厳しいかと…
メチャクチャ楽しみにしてたのに、大部分は退屈で眠かったです(笑)
本格的に面白くなったのは、日本という単語が出だした1時間30分ごろから。
広島、長崎、京都、という単語も出てきます。
時間がシャッフルされてて、カラーとモノクロで視点が使い分けられてたり、分かりずらい(笑)
面白かった、ってより、まあ良かったです(笑)
1回観ただけじゃ理解しきれず何回も観るべき映画でしょうね(笑)
爆発音だとか音や迫力が重要な映画だと思うので、音がデカくて大画面のIMAXで観てほしいです。
IMAXで観たんだけど、爆発シーンの音や迫力がスゴくて、本物ぽかった。
本当に爆発してるような音と本物の爆風のような迫力を、ぜひ劇場で体感してほしい。
個人的に大部分は退屈で眠かったんだけど、良かったシーンは良かったし、超豪華なキャスティングだったり、この評価になりました。
超豪華なキャスティング陣の中では、キリアン・マーフィー、フローレンス・ピュー、が特に良かった。
最後に言わせていただくと、この映画が描くのは原爆そのものじゃなく、原爆の父オッペンハイマーです。
ノーラン
大好きなノーラン作品だから初日に!!
初っ端キリアンが出てきただけで、感慨深くて嬉しくなった!
ノーラン、ノーラン、るんるん♪って思ってたら、内容るんるんじゃねーし!!
私が無知なのもあるし、会話のテンポが早いし、言葉が難しいしで、内容理解するのが難しかった!
もう一回観ないとわからない!って思ったけど、もう一回観るには長すぎる!!
でも観てる時には不思議と長さ感じないのよね!
そしてしっかりノーラン作品の雰囲気も感じさせてくれる!
むずーーーーーい
クリストファーノーランの映画ということもあり、難しそうだと思ったので、いろんな予習動画を観てから今作を鑑賞。
予習動画を観たから大体わかるだろうと思って観ました!
だけど、本当に最低限のことしかわからなかった気がします。
専門用語が多いのは知ってましたが、ここまでとは・・・笑
ほぼ全てのセリフや字幕に専門用語があると言っても過言ではない。その専門用語の意味を考える暇もなくまた次のセリフに行ってしまう。
また、時系列も複雑で、時系列を理解するのも大変でした。
難しかったのが第一印象ですね。
本編は多くのシーンが音楽やBGMが使われている。また、音響と映像の迫力は圧巻でした。
最後になりますが、専門用語が理解できれば、もっと今作を楽しむことができたでしょう。
被爆者から目を逸らした無邪気な男の伝記
字幕版を鑑賞。「インセプション」「インターステラー」「ダンケルク」「テネット」と傑作を次々と発表して来たクリストファー・ノーラン監督が、遂にアカデミー作品賞や監督賞などを手にした話題作であるが、ここ何年もずっと続いたアカデミー作品賞の出来の悪さに嫌気が差していたので、受賞は私には何のプラスにもならなかった。
オッペンハイマーを人間的な生臭さも含めて描こうとする姿勢は、最近の伝記ものには珍しくない趣向である。濃厚なベッドシーンがあるのでR指定になっている。3時間もの尺の長さは彼を成功者として描こうとしておらず、マンハッタン計画やトリニティ実験も通過点に過ぎず、多くは第二次大戦後のアメリカで吹き荒れた赤狩りに伴う原子力委員会の聴聞のシーンに費やされている。
最初はハーバード大を飛び級の3年で首席で卒業し、その後英国のケンブリッジ大やドイツのゲッティンゲン大に留学した理論物理学者で、6ヶ国語を自由に操り、資本論なども完読するなど、頭脳の働きは只者ではないことが示されるが、彼とその妻の本質は実に未熟である。恋愛や結婚も成り行き任せで主体性がなく、ブラックホールや核分裂の話は誰よりも詳しいのに、泣きじゃくる我が子や育児ノイローゼで酒浸りになる妻に対して何ら画期的な解決法が見出せない。
マルクスなどという俗物が頭だけで考えた共産主義に好奇心だけで易々と仲間入りし、党員にはならなかったにしても周囲に共産党員の出入りを拒まず、原爆開発にまでタッチさせていたというのだから、現代の感覚で言えば信じられないほどの無邪気さである。日本で言えば、東大卒にもかかわらず頭だけで行動して周囲の迷惑など歯牙にもかけない鳩山由紀夫や福島瑞穂のような出来の悪い人間の典型で、その考えの足りなさは許し難いほどである。
当初の核爆弾にはその材料によってウラン型とプルトニウム型があった。ウラン型はバレーボールサイズのウラン 235 を集めるだけで勝手に核分裂の連鎖反応が始まるので実験の必要はない。広島に落とされたのがウラン型だが、ウラン型原爆は材料集めと濃縮が大変過ぎて、米軍が作り出せたのは広島に落とした1発だけだった。核燃料は2分割してシリンダーの両端に置いて、片方を通常炸薬の爆発の勢いで相手に向けて放り投げて合体させるだけなので、爆弾の形はシリンダー型となる。
長崎に落とされたのはプルトニウム型で、ソフトボールサイズの材料で作れるが、ウランと違って集めるだけではダメで、周囲から力を加えて圧縮する必要がある。核燃料は 32 分割してそれぞれに通常炸薬を背負わせて、火薬のそれぞれを同時に爆発させて中心で一体化して圧縮する必要があり、爆発的に圧縮するので爆縮といい、難易度が高いので実験が必要である。爆弾の形は球形に近いものになる。
水爆はプルトニウム型原爆をリチウムと重水素の化合物でくるみ、原爆のエネルギーを利用して重水素の核融合を起こすもので、爆発のエネルギーはプルトニウム原爆の 1000 倍ほどになる。重水素の核融合だけなら放射線被曝の心配はないのだが、起爆剤にプルトニウム原爆を使うので放射線は避けられない。日本に落とされた原爆をきっかけに世界中で始まった核爆弾の開発競争は水爆が中心である。
といった核爆弾の基礎知識は一切説明がないので、一般人が核開発の内容を追いかけるには予習が必要である。トリニティ実験で扱われたのはプルトニウム型で、日本の降伏が遅ければ長崎に続いて新潟や小倉にも落とされるはずだった。オッペンハイマーが水爆開発に反対だったというのもダブルスタンダードで、プルトニウム原爆なら良いが水爆はダメという合理的な理由はあり得ない。このせいでオッペンハイマーは水爆開発からは外されてしまう。
トリニティ実験が成功するまではオッペンハイマーは最重要人物だったが、成功してしまった後は用済みとなったも同然である。実戦でいつ使用されるのかの連絡も貰えず、完全に蚊帳の外に置かれた。原子力委員会の聴聞会は悪意を持って仕組まれたもので、オッペンハイマーの弁護人以外は全て悪意の持ち主の息のかかった者たちだったというのは目から鱗だった。
高卒の大統領トルーマンは、先代のルーズベルトが副大統領に指名した状態で病死したため、副大統領から昇格したというだけの男で、マンハッタン計画について何も知らされていなかった。例えて言えば、何かの間違いで中卒の山本丁太郎が大統領になったようなものである。ナチスに先を越されないようにという強迫観念で開発を進めて来た計画がヒトラーの自殺とドイツの降伏でモチベーションを失ったはずで、中止にするという選択肢もあったはずだが、政治的な業績がほぼ皆無だったトルーマンは、ほぼ独断で日本への使用を決めた。満身創痍の日本は矢弾が尽きて降伏寸前だったが、世界へ向けた示威行動の犠牲にされたのである。
広島と長崎の原爆投下から 24 時間以内に死亡したものは約 22 万人、被曝の後遺症で亡くなる人は現在でも続いていて、正確な人数は未だに判明していない状態である。被爆者の実像が徐々に世界に周知されるにつれてどの国も使用を躊躇うようになり、実用に供されたのは日本に落とされた2発だけで、その後の各国が保有している核爆弾は「抑止力」という機能として存在しているだけである。3発目を落とされないようにするには日本こそ核保有すべきという考えは、何故か日本では袋叩きにされる。
オッペンハイマーは 1960 年に来日しているが、東京と大阪を回っただけで、広島にも長崎にも出向いていない。腹の立つほど無邪気な行動は、死ぬまで改まらなかったようである。
この映画もまた広島や長崎の悲惨さには真正面から向き合うのを避けており、所詮はチャーチルの国である英国出身の監督らしい。チャーチルは日本に警告なしで原爆を使えとアメリカに催促したクソ野郎なのであるし、英国が行った核実験は全て本国以外の植民地で行われている。
もっといくらでも面白くできただろうに、やはりアカデミー作品賞を取るような映画は見たって仕方がないという思いを強くした。
(映像5+脚本2+役者4+音楽2+演出3)×4= 64 点。
オッペンハイマーの伝記。
オッペンハイマー、いざ原爆作ってみたら、その威力のスゴさにおののいて不使用を提言する。だが、政府と軍は、オマエは口出しするな。 使う、使わないはオレ達で決めるって感じ。
原爆の使用決定権がないどころか意見さえ尊重されない。もどかしかったに違いない。
映画の主題は、原爆製作のトップという数奇な経験をしたオッペンハイマーの生涯を描くことだと思った。原爆の是非や、広島と長崎に落としたことも描かれるが、あくまでも主題はオッペンハイマーの事だと思った。
原爆投下に関しては、今まで以上にますますトルーマンが嫌いになったぐらいである。追記:1ケ前のルーズベルトも嫌いだ。
赤狩りのところは知識がないのでよく分からなかった。確かハリウッドにも赤狩り旋風が吹き荒れたはずで、チャップリンも被害者だ。
追記:科学者と科学の軍事利用、或いはも少し広く学者と政策との関わりについてはあまり触れてなかったようだが見逃しかもしれない。
ごめん。よく分からない。入り込めない。
待望の公開ということで初日の朝からワクワク。IMAX上映で見終わったとこなのだが。期待が大きすぎたせいか今一つピンとこなかったというのが正直な感想です。
まずオッペンハイマーという人への理解や共鳴があまり得られなかった。原作が「AmericanPrometheus」で、ギリシャ神話(だったかな?)のプロメテウスになぞらえて、太陽の火を盗んだ罪により永遠の罰を受ける、つまり原爆をつくったことへの葛藤が描かれるのかなと勝手に理解をしていたんだけど。もちろんそういう部分も多少はある。でも後半の聴聞会はロバート・ダウニー・Jr演ずるところのストローズの陰謀によるソ連のスパイ容疑についてでしょ。この部分が相当長いのだけどここは私怨だからね。核兵器に係る本質的な問いかけではない。またこのストローズっていうのが小物でね。彼との戦いの尺が長い分だけオッペンハイマーの悩みも小さくみえてしまう。
大国の軍拡競争に歯止めをかけるため水爆開発に反対したというのがオッペンハイマーの主張なんだろうけどそのあたりグシャグシャいろんな登場人物も絡んでよく分からんという印象です。
クリストファー・ノーランっていう監督は人物を描くのが下手だと良く言われますが、私は下手というより人間ドラマ自体があまり好きじゃないんだろうなと思ってます。彼の描きたいのはそれが過去であろうと、未来であろうと、事象そのものであって、いわば唯物主義の映画監督なのでしょう。だからこの作品でもキリアン・マーフィーの顔芸(失礼!)が目立つだけで他の登場人物は後景に退いてしまって区別さえつかない。気の毒なのはエミリー・ブラントとフローレンス・ピューこの二人の女優さんで人物像が曖昧でなんのために出演しているのかわかんないですね。オッペンハイマー夫人のほうはエキセントリックで上手く描ければ面白い話にもなった気がするけどこれだとただ粗暴な人物っていうだけになってます。
相変わらず、映像には凝りに凝っていて、わざわざモノクロ撮影用のIMAX65カメラを開発したそうです。多分、公聴会のシーンで時代感を出したかったのでしょうね。でもそれだけの効果は上がっていないようです。アインシュタインが何度も登場したり、最後にJ・F・ケネディの名前が出てくるあたりがいかにも狙ったなという感じです。
新聞の映画解説で絶対におすすめということだったのでわざわざIMAXで観たのだけど私は特にお勧めしません。どうしてもロス・アラモスの核実験をIMAXで観たいという方以外は。
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