オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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第96回アカデミー賞を振り返りつつ
本作、ノンフィクションの原作を元に作られた作品ですが、私は事実について知らないことばかりか、トレーラー以上の前情報を全く入れずに挑んだ結果、(今回は)鑑賞しながら後悔。序盤こそ「それでもついていけるだろう」と高をくくっていましたが、重要な役割のキャストが結構多いのに、その人の立場すら大して説明がなく、そして人間関係も複雑ながらそここそがポイントでもあるため、もう少しこの歴史を知ってから「改めて観たい」と思う一本となりました。 もし、これからご覧になる予定の方は、せめてロバート・ダウニー・Jr.が演じる「ルイス・ストローズ(ス)」について簡単に調べておくと、より作品に入り込みやすいかもしれません。そして恐らく事実をよくご存じの方が観れば、この作品の「編集の妙」をより堪能できるのではないかと思います。 ちなみに、第96回アカデミー賞では13部門のノミネートに対しsweep(総なめ)する予想もあったなか、結果として最優秀賞は作品賞など7部門。まだ全ての候補作品を観られていませんが、本作に対してはノーラン監督がこの作品を請負うだけの覚悟と責任は感じられ、確かに受賞するだけの作品だとは思います。私にとっては正直いい気持ちのしないセリフやシーンもありましたが、逆に言えば時代が変わっても同じことを繰り返す「人の仕業」を考えると、これでもまだ(表現として)逃げているとも感じます。と言うことで、個人的には「作品賞」は他の候補にあげてほしかった気も否めません。まぁ、鉄板だったようなので、もしそうなったとしたら相当なサプライズだったのでしょうけど。。 一方、俳優賞のうち最優秀賞を逃したエミリー・ブラント(キャサリン/キティ・オッペンハイマー)は思いのほか良かったですね。前半では出演シーンも少ないですし、キャラクターの重要性が判りずらいですが、中盤以降の紆余曲折を乗り越え、他人には解らない(ロバートとの)夫婦という関係性を絶妙な表現力で演じて、特に終盤では身動きをとれない状況に対する推進力としても、効果的で重要なキャラクターを素晴らしく演じています。 それにしても、こうして作品を観終わって感じるのは、折角受賞したアカデミー賞のスピーチにおいてもう少し「メッセージ」が欲しかったかな、と。勿論、敢えて政治的な発言は控えめにしているのかもしれませんけど、受賞後の上映となった日本など「これから観る勢」に対しては、彼らのスピーチも重要な宣伝材料ですし、鑑賞して現状を考え直す意味でも「作品賞の箔」を活用しなきゃ勿体ない。 そして、ビターズ・エンドさん、配給ありがとうございました。ただ、「オッペンハイマー」で検索すると公式ページが全然出てこないのは残念です。難しい作品ですが宣伝も頑張って下さい!
科学者としての苦悩や哀愁を強烈に描き出した最高傑作!
予備知識なしで観ましたが、原爆が何かが分かれば大筋の内容は把握できると思います。
とは言え、序盤から聞き慣れない人名や専門的なセリフが出てくるため、ウトウトしてしまいます。
実際にオッペンハイマーをリーダーとした原爆の実験が行われる辺りから緊張感が高まり、映画の世界に入っていけました。
何と言ってもキリアン・マーフィーがカッコよすぎで、オッペンハイマーの表情やしぐさに自然と惹き付けられます。
終盤は彼が告発されて、科学者としての苦悩や哀愁を深く感じることができました。
アカデミー賞も納得の作品で、オッペンハイマーの表情が心に残る映画でした。
人間の本質
不穏な空気感からの始まり。
予告で拝見した音や画像も気にかけたので視聴。
長丁場の3時間、9割は人間ドラマの会話劇。
開発と投下は別、技術と論理も……。
科学者達の傲慢な態度、無神経な政治家。
日本人として悲痛を感じ苦痛で聴きたくない
セリフもある。ただ、あの時何がおこっていた
かという史実が映画で表現されている。
量子力学や宇宙のシーンは圧倒的。
トリニティの実験の慎重さと緊張感は此方にも
伝わってきた。
物理学者オッペンハイマーの苦悩と没落。
人間の愚かさをはっきり感じただろう。
絶え間無い人類のおぞましい本質を観た
映画でした。
プロメテウスは神から火を盗んで人間に与えた、そして、、。
二回目鑑賞。 キリアン・マーフィー演じるオッペンハイマー。 ロバート・ダウニーJr.演じるルイス・ストローズ。 戦後、二人になされた尋問(?)によって進んでいく。 最初、置いていかれそうになったが、ロスアラモスに研究者たちを集め出したあたりから、どんどん惹きつけられて、駆け足のように3時間が過ぎていった。 日本で公開されるかどうか心配していたが、原子爆弾を扱った内容であるからこそ、公開すべきだと思う。 ただしかし、実験が成功して喜んでいるところから広島に爆弾が投下されるあたりは、観ていてきついものがある。映画の出来不出来、内容と関係なく涙が出てきた。 広島や長崎、被爆者の方々は見ていられないだろうとは思う。 物理学300年の集大成が大量破壊兵器か。 科学者、軍人、政治家、皆実在の人物だろう。アメリカの俳優の層の厚さには関心させられる。みんなそれらしく見える。 アインシュタインはミスター・ローレンスだったな。久しぶりに見た。 フローレンス・ピューは裸になる必要あっただろうか。 40年近く前、バークレーのある教会では毎年8月になるとヒロシマ・メモリアル・サービスを行っていた。 日本から来ている若者ということで少しコメントさせられたそのサービスが終わると、1人の老人が近寄ってきて私の手を取って深々と頭を下げた。付き添っていた息子さんが、父はアトミック・ボンブの開発に携わっていました。父も私たち家族もずっと苦しんでいます。と語ってくれたことを思い出しました。 きっとあの老人も当時、ロスアラモスにいたんだろう。 賛否はあるだろうが、ひとりでも多くの人に観てほしい作品だと思います。 二回目鑑賞。 春休みにも関わらずイオンシネマ津南では終日一番大きなスクリーンULTIRA VIVE AUDIOで上映してくれている。 日本ではヒットしそうにないだろうし、来週には小さなスクリーンに移りそうだから、初日IMAXで観てからまだ4日しか経っていないけれど二回目の鑑賞。 初回の鑑賞ではついていくのに精一杯だったので、パンフレット読んでロバート・ダウニーJ rが演じたストローズのことや時系列、人間関係などを確認。 ストーリーがわかっていても、いやわかっているからこそか、とても面白く三時間が少しも長く感じなかった。 二回、三回と観るたびに面白さが増してくる作品だと思う。それほど良く作り込まれているんだろう。 フローレンス・ピューの裸必要あったか疑問に思ってたけど、彼女のオッピー目的で二回、三回と観に行く人がいれば、ある意味必要だったのかも。 (フローレンス・ピューのオッピーが目的ではないけど、なければ二回目観に行ってないかもしれない) 来週もまだ音響の良いスクリーンで上映していたら、また観に行くだろう。
諸行無常
オッペンハイマーは戦時中である社会情勢の影響から原爆の大義を見いだす。しかしその意義は「つくる」から「つかう」に本質を変化し、世界の在り方を変える発明へと繋がる。 原爆が日本に投下された当時は、終戦に導くヒーローのように称賛された彼も、その非人道的な兵器の真実が明るみになり、否定的な見方がされるようになった それは彼の内情にも同じく、原爆の発明が正しかったのか、誤ちであったのか、その揺らぎの中で葛藤する。犠牲と進歩は表裏一体。 大義は一方通行で、多くの代償を払わなくてはいけない。それがどれほど無慈悲なことなのか、思い知らされた。
徹底的な権力者への批判を根底に紡ぎ出す、人間の高潔さと矮小さ
上映時間が3時間とは思えないほど、張り詰めた緊張感のまま突っ走る作品だった。3時間もあるのに尺が足りないんじゃないかと思うほど、ロバート・オッペンハイマーという人物自身を掘り下げ、その背景にスペイン内戦から米ソ冷戦までのアメリカの空気を描き出した。 映画の主題だが、核兵器や新たなテクノロジーの危険性云々や、大量殺戮に対する罪悪感云々、反戦のメッセージなんかより、もっと何度も繰り返し映し出されていたのは「権力に奢った者に対する辛辣な批判」だったと思う。 オッペンハイマーへの機密アクセス権に関する審問会と同じくらい、ストローズの入閣を検討する上院公聴会に尺が割かれているのだが、ストローズという人物が「世界でパワーを誇示する存在」の暗喩として機能しているのだ。 その暗喩の対象とは他でもないアメリカという国家そのものであり、現在世界で無視出来ない存在とされるテック企業である。 この映画は彼らに「お前が世界の中心だなどと思うのは単なる驕りだ」という、辛辣な批判を突きつけている。 また、冒頭に書いたようにスペイン内戦から米ソ冷戦までのアメリカの空気とは、イデオロギーの熱気に半ば病のように取り憑かれた空気感でもある。それはアメリカだけでなく、この頃の世界全体がそうだったのかもしれないが、ある程度の理想に燃える若者であれば反ファシズムの共産主義者になるのが自然だった時代から、第二次世界大戦を経て、終戦後の赤狩りの時代へと「善」とされていた共産主義の立場が変わっていた時代なのだ。 それは誰が「仮想敵」とされるかで大義が変化することを意味する。 第二次世界大戦でもナチス・ドイツより先んじて原爆を開発することが是とされ、いざ敵が降伏したら行き場のなくなった兵器を使用する為に「とりあえず」日本に落とす選択が大義となったと言っても過言ではないだろう。 「とりあえず」敵にされる方はたまったものではないが、愚かな行為に突き進む人間の性に国籍や民族や宗教は関係ない。 安易な善悪二元論に陥った事のない人などいないはずだからだ。 原爆の父オッペンハイマーは、時代と言う背景の中で、時代が求める理想のために行動した。また人間は「世界全てを燃やすほどの火」を使うほど愚かではないと信じ、その使用の是非も含め他者に託すことしか許されなかった。そして時代にも人間にも裏切られたのだ。 とにかく登場人物が多く、時系列も前後するので映画を観慣れていない人にとってはかなり難度の高い作品とも言える。基本的にはオッペンハイマーの視点で構成されている映画の中で、唯一彼が登場しない部分、ロバート・ダウニー・Jr演じるストローズの視点部分だけがモノクロで撮影されているので、それを手掛かりに観ていればだいぶ理解を助けてくれるだろう。 人物の見分けについては頑張るしかないのだが、映画好きなら仰け反るほど豪華なキャストが次から次へとスクリーンに登場するので、これもまたこの映画の楽しみの1つでもある。 殆ど事前に調べなかったので、フローレンス・ピューとケネス・ブラナーが登場したあたりでは「えっ豪華すぎない?!」と驚いていたのだが、ケイシー・アフレックやラミ・マレックが出てくる頃にはもう変な方向で覚悟が決まってしまい、「Blu-rayが出たら絶対買おう」と密かに決心した。 勿論オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィーの代表作としても、是非何度も観返したい。 想像以上に面白く、大満足の1本である。
プロメテウスの狂気
アカデミー賞が多様性を重視するのは理解しますが やはり超長尺の大作白人映画これぞ作品賞の直球ど真ん中作品が受賞したことに 何やら胸のつかえがとれた気がします 長尺作品ですが他国との原爆開発競争で終始貫く緊張感・疾走感により ノンストップ怒涛の物語が展開していきます 演者のセリフと演技だけで構成され アクションも無ければ綺麗なロケーションも無い 何ともソリッドな作品ですが正に対峙のし甲斐がある作品です 原爆については一部にユダヤ人の憎しみをナチスにぶつけるために造られたが ドイツ降伏により日本に振り向けられたような話を聞きましたが 実際には全然そんなことは無く必然的に日本に投下されたが正しいようです (対ナチスは連合軍として戦ったがあくまでヨーロッパの話 太平洋戦争こそが血で血を洗う殺し合いを演じたのでそりゃそうだ) 劇中のセリフは一つ一つ心に刺さるものがありどんどん引き込まれていきます やがて彼は科学者ではなく軍人であり政治家となっていたことが象徴的に表現されますが 軍人でもなく政治家でもないことがハリー・トルーマンによって突き付けられます そして彼のある種思い上がりだったかもしれない所業に気づき我に返ります プロメテウスは人類に火をもたらすべきだったのか もたらさなくても誰かが火を生み出したのかはわかりません しかし彼は世界から戦争が無くなることを願い原爆を作ったが それは新たな開発競争を生んだだけであることもまた認めざるを得なかったのです ウィンストン・チャーチルのゲイリー・オールドマンが ハリー・トルーマンを演じていて思わず吹きました 是非一人二役の作品も作ってもらいたものです ほぼゲスト出演でしたが狡猾でいやらしいオールドマン節が炸裂していました まず日本人には好まれない作品ですが是非劇場で挑戦対峙してみてください 重厚で得るものの多い素晴らしい作品です
深呼吸してこの評価を下す
日本人なら、この映画を見て原爆を作り、それを投下した米国人の考えを知っておくべきだ。そして、今も戦火が絶えない地球上の平和のためにも、80年という時間を超えて理解し合い、戦争と平和の意味を考えるためにも重要、見るべき作品だ――。 そういう言い方で評価しておいたほうが無難かな、と思った。でも止めておく。 米国の近現代史の知識がないと非常に分かりにくい。 先に「落下の解剖学」のレビューでも、書いたが僕は法廷劇が苦手だ。 本作も、法廷ではないが、赤狩りに巻き込まれたオッペンハイマーを追及する場面が全体の中で半分くらいはあり、まさに法廷劇の体である。 東京大空襲で10万人が、広島・長崎で20万を超える人びとが死んだ――と登場人物に語らせているし、原爆の熱戦で人が焼かれる幻影を主人公が原爆成功の称賛の熱狂の中で見るといった場面がある。 これからすれば、本作が反核、反戦をテーマにしているのは明らかである。その点は評価する。 しかし、ノーラン監督の「テネット」「ダンケルク」を映画館で見ているが、あれらと同様とにかく持って回った描写が多く、ひとりよがりなのである。 本作も、説明が圧倒的に不足している。それでも引き付けるだけの「物語」があればよいが、それは極めて希薄だと思う。 そして、3時間という尺は長い。頻尿にはつらいよ。 アインシュタインを演じているのが、なんとトム・コンティであった。「戦場のメリークリスマス」以外で彼を見るのはおそらく初めて。まだ生きていたのか、と思った。 鑑賞後、パンフレット(1200円)を購入したが、キャスト紹介の中でコンティの出演作に戦メリが入っておらず、これまたびっくり。宣伝マンは何を考えてるの? 日本の映画ファンには戦メリは欠かせないだろう。リアルタイムで見ていたら50歳は過ぎてるから、若い人は知らないか。 見た後、分かりづらく、もやもやした気分だったが、YouTube「映画の秘密マーク2」というサイトが全米公開後、今から7カ月も前に解説しており、それを見てこの映画についての評価が定まった。関心あれば、チェックしてほしい。事前に情報を入れると興ざめするけどね。 下町のシネコン、封切り初日のファーストショー、午前9時前に入った。客席には半分近くが入り、関心の高さは伺えた。
率直な感想です。
いい俳優さん達が色々でていますね。 ジョシュハートネットってしばらく見ないうちに老けてたなー。かっこいいですけどね。 役づくりでしょうか。 主人公がこんな思いをされていたなんて、知らない人が殆どではないでしょうか。 原爆落とされた側からしたら、この映画を見て良いも悪いも知る部分も大いに有ると思います。 この世界でも、いつ核爆弾が使用されるかわかりません。 やり返して、滅亡に進む事が無い様に願います。 劇中でも、主人公が言ってました‥。
『原爆の父』の半生を描く物語
日本での上映が見送られ、満を持しての上映とあって、朝9:45~の上映だけど、ほぼ満席。 率直な感想を言うと、歴史的事実を忠実に再現しながらも、登場人物の心理描写が緻密。 さすが巨匠クリストファー・ノーラン。 特に、幾度となく登場人物をアップで描き、彼らの心理を描写するシーンが印象的だった。それを可能にしたのが、主役のキリアン・マーフィやロバート・ダウニーJr.、マット・デイモン、ラミ・マレックら実力派の俳優陣だった。 セリフも何もなく、表情だけで心理描写を伝えることができたのは、こうした俳優陣だからこそ。 近年の説明的な映画が好きな人には、向かないかもしれない。 歴史的な背景は、作中でも描かれているが、聴聞会・公聴会・過去とオーバーラップして描かれているので、話の時系列をとらえにくい。 なので、当時の社会情勢や歴史的事実は、予備知識としてある程度必要。 例えば、『共産主義と当時の反共運動』、『東京空襲からポツダム会議』、『マンハッタン計画』、『アメリカの公聴会制度』、『原爆の歴史』などである。 知らなくても楽しめるが、知っていることで当時のアメリカを想像しながら見ることができる。 3時間というすさまじいボリュームの映画だったが、時間を忘れ去れる見ごたえのある映画だった。
オッペンハイマーの半生が軸の作品!
本作はオッペンハイマーの半生を軸にした作品ですね。 原爆がどのように扱われているのか、そこに着目されている方が多いのかなとも思いますし 日本での公開が遅れたのもそこかなと想像するのですが そこが軸ではなく、つまり、そこを描きたい映画ではなくて オッペンハイマーの半生を描くのが本作が伝えたかったことなのだろうと感じた次第です。 原爆実験がたぶんいちばんの見せ場になっていますし、 日本へ原爆を投下したことも、各キャラクターのセリフでわかるわけですが、 そこをFeaturingしているわけではないがゆえに、日本への気遣いも一切ないんですよね。 そこは日本人としては賛否分かれるところでしょうが、私は上述のようにそこが描きたいわけではなく あくまでもオッペンハイマーの半生を描くことがテーマなんだろうと思いました。 キャストで気になったのは、 オッペンハイマーの妻を演じたエミリーブラント。 この人の演技がいちばん激しく気迫に溢れていて、特に表情の演技がすごかったです。 それから、ストローズを演じたロバート・ダウニーJr.。 すごくとぼけた感じの演技が効いていて、最後まで対立している構図が本作の軸ともなっていて 素晴らしいと思いました。 フローレンス・ピューは、本作以外にも大作には欠かせぬ俳優になりましたね。 本作での体当たりの演技も素晴らしかったです。 トム・コンティ演じるアインシュタインも大事な役どころでした。 ラミ・マレック演じるヒルにも見せ場があって、嬉しかったです。 すごいキャストだと改めて感じますね。 本年のアカデミー賞7部門受賞も納得です。 宮崎県民でありながら、わざわざ越県して鹿児島でIMAXで観ましたが、 IMAXがマストか!?と言われるとそうでもないですね。 Dolby Atmosでも充分だと思いました。 ※同日、 DUNE砂の惑星PART2もIMAXで観ましたが、これはIMAXの方が断然良いですね。 というわけで、本当に日本で公開してくれて良かったです。 願わくば、日本で公開されない作品など無くして欲しいと切に願います。 ぜひ多くの人に観ていただきたい、オッペンハイマーの伝記映画です。
山本五十六が真珠湾攻撃をしなければ原爆を落とされることはなかった
当時のアメリカ世論は戦争反対。 しかもルーズベルトは戦争をしない事を公約に掲げ当選していた。 つまり攻撃されない限り絶対に戦争できない状況だったのである。 ヒトラーはこの事を良く知っており、 どれだけ米軍に挑発されても反撃しないよう独軍に厳命していた。 実は日本もこの事を知っていた。 したがってアメリカとの戦争は避けると言うのが日本の戦略だった。 ところが、唯ひとり山本五十六だけが真珠湾攻撃を主張。 部下を恫喝し、上官には辞任をちらつかせ脅しをかけた。 米軍トップのスティムソンは真珠湾攻撃をしなければ、 日本は勝っていたと明言している。 日本の戦略は南進して石油を確保した後、インド洋を制圧。 これでインドを独立させる。 インド洋を制圧することによって英、ソ連、中国の補給を遮断。 ドイツ軍と中東で合流して石油を押さえる。 スティムソンの言う通り枢軸国の完勝である。 真珠湾攻撃でアメリカを参戦させ、ミッドウェイ海戦で惨敗。 ダメ押しのガダルカナルで日本の敗戦を決定づけた。 愚将五十六によって広島長崎の惨劇がもたらされたと言っていい。 原爆を作ったオッペンハイマーには何の責任もない。 包丁で殺人事件が起きても包丁職人に責任がないのと同じ事だ。 原爆を民間人に落とす事は国際法違反であり戦争犯罪である。 この戦争犯罪を犯したのは誰か。 トルーマンではない。 ルーズベルトとチャーチルである。 ハイドパークでの会談で原爆投下が決定された。 《When a ”bomb” is finally available, It might perhaps, after mature consideration, be used against the Japanese, who should be warned that this bombardment will be repeated until they surrender.》 原文は、英米首脳の合意・了解事項として、 原爆投下目標は(市街地で暮らす)〝人間であり、日本人〟と明言し、 〝降伏しなければ、「繰り返し」投下し〟 ほぼ全滅させる趣旨を警告するとしている。
怖かった。
無意識にて、トリニティ実験に自分が参加しているのではないか思うほどの、緊張感。 日本人だからかもしれないが原爆実験が成功したのちの拍手喝さいのシーンは、技術者は理解できていますよねその後を。しかし拍手喝さい。イメージシーンと相まって、自分の感情が揺さぶられているのを感じるし、映画のオッペンハイマーも感じている。 没入感が強すぎて、気持ち悪くなるぐらい。 音響と音楽が凄まじいのでぜひ映画館で観ることをおすすめします。
なぜノーランはオッペンハイマーを描いたのか
(映像と音響による観客の没入体験に重きをおく)鬼才ノーラン監督がなぜオッペンハイマーを題材に作品を作ったのか、納得できた気がする。
過去と今の時間を複雑に交差させる構成、主観と客観を織り交ぜたストーリー構造。三時間という短い時間で決して詰め込み感を感じさせないのはノーラン監督ならではの力量。
広島、長崎の惨状を描かないことに賛否両論入り乱れているが、(長崎市出身で友人知人に被爆者家族もいる)自分としては、そのシーンは(作品の構成を歪める可能性が高くなり)必要ないと解釈した
(鑑賞のうえで、この論点を盛んに議論できることは歓迎したい)。原爆の暴力性は別のシーンで十分に伝えられているし、被爆シーンがあったとしても伝わらない人には決して届かない。
(いつか誰かが発見するという意味での)経路依存性を持たない自然科学の研究者が陥る「悪魔の誘惑」や、神への生贄を誰かに負わせたがる大衆の暴力性、悪魔性は十二分に伝わってくる。
何度か観ないと監督の本当の意図は理解できないかもしれない。
深い
日本人として複雑ですが、科学者も政治に巻き込まれたということですよね。 アインシュタインも核兵器を懸念していたという話は聞いたことがありますが、オッペンハイマーもそういう葛藤があったのではないでしょうか。 映像はさすがノーラン監督で、見応え十分でした。 今回は最初から最後までしっかり観れたし、うとうとしませんでした!笑 前のアカウントを忘れてログインできなくなってしまったので作り直して、コメントです。 これからも常連さんのコメントも楽しみにしてます!
原爆への嫌悪感の正体
科学をテーマにした作品を 描いてきたクリストファーノーランが 原爆の父の半生を描いた本作。 日本人に生まれ戦争と向き合ってきた中で 当時のアメリカ国民に対する計り知れない憎悪がある。 その憎悪の正体は 科学者の飽くなき好奇心、 不可避の運命を受け入れる臆病、 未来を無視した近視眼的な怠慢、 であり、いま自分はそららを 受け入れていることを思い知らされた。 前半の「科学者の成功物語」と 後半の「自責の物語」に分けた構成はお見事。 原爆の実験成功後、歓喜の関係者を前にスピーチをするシーンが特に印象的だった。 そして出番は少ないものの アインシュタインの言葉が秀逸だった。
ダレ場無し。怒涛の3時間
原爆投下まての2時間は怒涛のノーラン劇場。 これでもかというくらいノーランくんが畳み掛けてくるので、観客はそれに振り落とされないようただただスクリーンに釘付け。 そして原爆投下後はロバートダウニーJrの見せ場がこれまた怒涛のように畳みかけてくる。 それまではマットデイモンよりも露出が少なかったのが、ここからの展開でロバートダウニーJrがアカデミー取ったのも納得の演技。 次から次へと主役級スターが出てきて、内容的にもかなりややこしいのに、それを判り易く見せてしまうノーランくんの手腕も凄い。 ただ、原爆投下のところは日本人としては複雑なものが、、、とはいえ、それを差し引いても、圧巻の3時間でした。
複雑(いろんな意味で)
思ってたのと違って、法廷劇のような質疑応答の場面が多いのと、当時のアメリカ政府高官や科学者が多く出てきて、名前と顔を覚えるのが大変(笑) 赤狩り、共産主義、ソ連、この辺の事を知ってないと厳しいかと… メチャクチャ楽しみにしてたのに、大部分は退屈で眠かったです(笑) 本格的に面白くなったのは、日本という単語が出だした1時間30分ごろから。 広島、長崎、京都、という単語も出てきます。 時間がシャッフルされてて、カラーとモノクロで視点が使い分けられてたり、分かりずらい(笑) 面白かった、ってより、まあ良かったです(笑) 1回観ただけじゃ理解しきれず何回も観るべき映画でしょうね(笑) 爆発音だとか音や迫力が重要な映画だと思うので、音がデカくて大画面のIMAXで観てほしいです。 IMAXで観たんだけど、爆発シーンの音や迫力がスゴくて、本物ぽかった。 本当に爆発してるような音と本物の爆風のような迫力を、ぜひ劇場で体感してほしい。 個人的に大部分は退屈で眠かったんだけど、良かったシーンは良かったし、超豪華なキャスティングだったり、この評価になりました。 超豪華なキャスティング陣の中では、キリアン・マーフィー、フローレンス・ピュー、が特に良かった。 最後に言わせていただくと、この映画が描くのは原爆そのものじゃなく、原爆の父オッペンハイマーです。
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