オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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予備知識はあった方が、、、
原子爆弾を開発したアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーの伝記映画。
原爆開発の話、は話のメインテーマの一つだが、それだけでなく、戦後のオッペンハイマーを巡る話が興味深い。オッペンハイマーが戦後、水素爆弾を反対したことを理由に、ソ連のスパイ疑惑を仕掛ける、ルイス「ストローズ」との対決が描かれます。
ここが予備知識が無いと分かりづらいですかね。カラーで演じられているのが、オッペンハイマーから情報アクセス権を剥奪する公聴会で、白黒がその後ストローズが商務長官の指名を上院で否決される議会審議になり、オーバーラップで進行します。
このあたり、アメリカ1950年代の混乱が面白いです。第二次大戦を対日、対独とも闘い勝利に導き、原子爆弾というチート兵器まで手に入れたはずが、結局は共産圏の拡大を招き、その影に恐るアメリカ。戦争が終わっても軍拡が止められず、赤狩り旋風が起きた最中に起きたのがオッペンハイマー下ろしの公聴会ですね。
一方でオッペンハイマーを下ろしたストローズも、今度は自分の商務長官就任を引きずり下されることになる。議会で反対に回った急先鋒がJFKというのも因果ですね。
映画としては、原子爆弾開発にせよ、赤狩りにせよ、Wikipediaぐらいの予備知識を持ってから観た方が良いかも。もちろん、ネタバレ無し、で後から調べるのも楽しいでしょうが、3時間チンプンカンプンってのも辛いと思います。
原爆の父オッペンハイマーをみたので、この流れでロケットの父ベルナー・フォン・ブラウンもやって欲しいですね。こっちはオッペンハイマーの罪悪感など小さく見えるぐらいの悪魔っぷりなので、見応えあると思います〜
科学者の恐れとおののき、そして抵抗
2023年。クリストファー・ノーラン監督。アメリカの原爆開発を主導した物理学者の栄光と失墜、さらに名誉回復までを描く。プロメテウスという原題が表しているように、原爆開発が切り開いてしまった負の側面をしっかりと描いている。たとえ、被爆者が一人も表象されていないにしても。
未知のものへの恐れとして描かれる原子力は、人生への恐れ、女性への恐れ、政治的な失敗への恐れ、真理への恐れ、などと同列に、隠喩的に描かれている。宇宙の真理が恐ろしいように原子力は恐ろしいし、女性も恐ろしいのだ。重厚な音楽と相まって、オッペンハイマーは常に恐れおののいている。だから、女遊びがすぎるとか、口先だけだの男だとか「軽率な男」として説明されてもあまり説得力を感じられない。映画自体が重々しい「恐れ」とともにある。
原爆開発にいたる展開とは別に、ところどころで、開発後に失墜していく場面と、その数年後その失墜を画策した黒幕が失墜していく場面が描かれる。時間軸が入り乱れているのだが、二つの失墜場面は、ともに政治的闘争と科学者の真実追求との葛藤という同型なので、まぎらわしいことはない。裁判ではない場で人生の決定的なことが決まってしまうということが強調されることで、真理の追求ではなく政治的な闘争が支配的な現代社会が批判的に描かれていると思われる。科学者である者はそうした社会に抵抗するのだ。
核
皆んな見た??
トリニティ実験のピカドン、太陽がもう一個地球に落ちたかの発光に人間を吹き飛ばすかの爆風。
1分くらい後かな、爆音のドーーン!!!!
なんかあのシーンでポロポロ涙落ちてきちゃったよ。
アレが広島に落ちたんだ、長崎にも。
俺はあの時この世にも居ないし、教科書と映画とアニメでしか知らないんだけど、もう怖くて悲しくて震えたよ。
知識としてだけどアメリカじゃ核はあの戦争を終わらせた神の正しい兵器みたいなイメージなんだってね。
あのシーン見りゃ解るけど神の雷、人間の力超えてるしね、アメリカみたいな歴史も浅い国だから神話に扱われてんだろな。
俺ら日本は核の被害者、被爆国なんだけど、世界の歴史上で兵器として人を目標に核使った事例ってコレしか無いんだよね。
こないだ見たデューンでも核兵器出てたけど、未だ死の大量殺戮兵器で人類の手に余るんだよ。
たぶんソレ一番解ってるのは俺ら日本人と作った本人なんだな。
凄え怖かったよノーラン、アメリカと被爆国を見てくれたノーランはイギリスだからね。
でも日本はこれで発電する装置を10ヶ所くらい国中に持ってるよ。
しかもちゃんと扱えて無いよ。
「原爆を生み出した苦しみ」を体験する映画
ノーラン監督の作品は欠かさず見ているが、本作品は"リアルに"その人を追体験するという、とてもチャレンジングで、これまでのジャンルとはまた違った取り組みだったと思う。(+18のセンシティブな場面含めて)
インセプションやテネットのようなアクション映画を求めてしまうと、拍子抜けすることに注意が必要。
この作品のテーマとして、「原爆を生み出した苦しみ」を一つ目にあげさるをえない。
某番組のインタビューで、ノーラン監督は「自分の息子が戦争(原爆?)のことに興味がないのがショックだった」と語っていたが、オッペンハイマーを追体験する本作品により、ノーラン監督がやりたかったことは果たせたのではないかと思う。
日本人としてあの時代の記憶というものは、原爆を落とされた被害者の立場だったが、原爆を落とす加害者という側面で理解することはなかなか無かったと思う。
アメリカの世論的には当然、英雄ではあるが同時に大量殺戮を図ってしまったという後悔の念、表裏一体の感情。
他のレビューやインタビューでは、もっと悲惨さを表現しろという声もあったが、映画として最大限ここは表現できていたと思う。
それを超えて核戦争という「パンドラの箱」を開けてしまった苦悩がとても良く表現されている。
二つ目のテーマとして「オッペンハイマー達の名誉挽回」というものがある。
国家の為に尽くしたはずが、逆に国家反逆罪になぜ問われてしまったのか。
様々な陰謀が渦めく中で、発明に罪はないという事を言いたかったと思う。これは戦争云々の議論とは切り離されるべきものであること。
テーマとしての明確さは過去作一だが、作品として純粋に楽しめたかというのは微妙なところ。というか楽しむものではないのかな。と感じた。
公聴会のシーンなどは字幕版ではなかなか理解が追いつかず難しい場面が続いた。何度か見返したら気づける部分もありそうだが、一回の視聴では理解できず。
これまでのノーラン監督の作品は、理解できなくても楽しめたが、残念ながら本作はそういうコンセプトのものではなさそうだ。
作品の展開として、仲間集めをして、強力なキーマンの助言を受けて、プロジェクトを成功させるという、インセプションと同じようなワクワク展開である事はノーラン節が効いてて良かったなと思う。
これまでの作品では、キーマンとしてマイケルケインが務めていたところを、ケネス・ブラナーが見事に演じられていたところには感銘を受けた。重要なキーワードも本作では彼が語っている。
キリアンマーフィーもそうだし、これからも演者側の活躍も含めて作品を楽しみにしたい。
映画として完成度が高い
戦時下で国家の大事業を任されたら全力出しきって当たり前。そして、その破壊力を知ってどうして良いかわからなくなる。という意味で、オッペンハイマーは物理の天才という部分を除いては普通の人という印象。物語上もう1人の主役とも言えるルイスストロースが怪人なんだろうが、最初に出てくる良い感じのおじさん印象が抜けずに話が分かりづらい。事前にオッペンハイマー事件の概要を掴んでおくともっと物語に入れたと思う。しかし、アメリカの国内にいれば遠くで原爆落として何十万人死のうが、やっと戦争終わって良かったぐらいの感覚だったんだろう事がよく分かる。最初から2発用意したから2発落としたとしか考えられないトラックの運搬シーンが印象的。
人類視点で見た方がいい映画
優れた映画は感情を揺さぶるものだと思っているが、この映画を見ることでしか得られない感情があるという意味で価値のある映画だと思う。
愛国心や探求心が結果的に人類を滅ぼし得る兵器を生み出すって、これほどの皮肉はないんじゃないだろうか。
この映画のテーマに愛国心によって憤りを感じる人は多いのだろうが、オッペンハイマーや開発者達も同じ愛国心によって最悪の発明をしたというところがなんとも・・・。
おそらく人類が争いを始めた遥か昔からこの未来はある程度決まっていたのだろう。世界情勢やテクノロジーの発展度合で多少の誤差はあったとしても人が人である以上、この発明自体は避けられなかった事だという事を改めて感じた。
この発明以上に人を殺してるテクノロジーはあるのに普段ほとんど問題視されてない事にも人間の都合のよさを感じる。
オッピーの走馬灯
映画としてはオッペンハイマーの死に際の走馬灯かと。
事情を知らなものにとっては時系列追えないし名前も追えないだろう。その方面の好きな自分は有名な物理学者数学者が登場して盛り上がったけど。
厳しい映画でもある。(最近NHKやNetflixでたまたま関連番組見てたので助かった。)
アメリカ人は知ってて当然の事なんだろうか。マンハッタン計画、赤狩り、個人的なゴシップ、ユダヤ人コミュニティ。知らなくても知ったふりして気取ってオスカーを与えないといかんと考えるのもまあ当然か。
広島長崎の惨禍はその後の冷戦の一部として消化されてるのがアメリカ的。
日米の価値観歴史観は永久に交わることは無いだろう。
ドラマとして良かったと思います
最初は「これは裁判ではない」なんていいながら小部屋で聞き取り調査をされていたり、会議場みたいな場所で証言をしていたり、大学などで実験や講義をしていたり、場面はコロコロ切り替わるし、それがカラーだったりモノクロだったり、とらえどころのない、奇妙な映像だと感じました。
でも、お話としては一見善悪に頓着がなさそうな根っからの科学者が、軍拡競争が起こることを懸念しながらも、技術の進歩やドイツに先駆けた開発成功による戦争の早期終結などと、平和を考えて原子爆弾を作って、その力が政治を増長させて、政治家の悪意で名誉を失ったけれど、最後には悪い政治家が失脚して科学者は勲章を得るっていう、いい話だと思いました。
たしかに日本は被爆国で、子供達は修学旅行で原爆ドームへ行き、戦争の歴史の爪跡や戦争を経験した語り部さんの話を聞いて、「核兵器を二度と使ってはいけない」と教わります。
でも、僕らは自分が被爆したわけでなく、その苦しみを聞いた話でしか知らないのに、「日本は被爆国だ」と声高にいうのはおかしいと思うし、この映画が日本で上映されることに対してなんらかの特別の感情を持つのはどうかと思います。
ファーブルやエジソンの伝記を読むのと同じように、偉人の偉業を、文章や映像などの記録媒体から追体験して学ぶ以上の、なんらかの政治的な意図を持って観るのは良くないと思うのです。
原爆の標的を決める会議で、京都は歴史的価値があるからやめよう、妻と新婚旅行で行ったなどという話が歴史上の事実として存在したとしても、ただありのままでいいと思います。
何らかの思想によって過去の事実をねじ曲げるのを政治的といいます。
ネット上のコラムなどで、日本への原爆投下があっさりし過ぎていたという感想を見ましたが、オッペンハイマー氏にスポットを当てるなら、自分の開発した爆弾がどのような被害をもたらすのか不安を抱えながらも、ラジオなどのメディアを通じてしか知ることができなかったという表現は自然だと思います。
原爆投下が成功した後、悲鳴の幻聴などに目眩している場面も、科学者もやっぱり人間で、自分の作った物が多くの人の命を奪う罪悪感と苦悩が表現されているようで気に入りました。
映画を観始めたときには、「この淡々とした流れで3時間の上映は、眠ってしまいそうだ」と思ったけれど、終わってみれば普通にいい話でした。
苦い気持ちも
オッペンハイマーの苦悶が伝わってくる。
カラーと白黒の映像対比、
音楽がずっと流れて効果的。
原爆が完成したあたりは、
なにか苦い思いも。
日本も他国へ戦争の傷みを与えているけれど…
アメリカの歴史的なことを予習しておけば良かったかな。
もしかして太鼓叩いてた人はファインマン?
クリストファー・ノーラン監督作品にも関わらず、題材に配給会社が気を使って、日本での上映がないと聞いてガッカリして、米国amazonからブルーレイを取り寄せていました。荷物が届いた次の日ぐらいに日本での公開決定のニュース。狙いすましたかのようにアカデミー賞直後の封切り。ブルーレイを封印してIMAXで鑑賞。
時系列を分解して見せるのが、この監督の得意技ですが、今回は登場人物が多く(全員、オッピーやアインシュタインのようにわかりやすく区別がつけばよかったのですが)、話についていくのがたいへんでした。
鑑賞後にパンフレットを見て、カラーシーンはオッペンハイマー視点、モノクロシーンはストローズ視点になっていたと知って、あー、それ観る前に聞いておけば、もっと見通しがよかったかもと思いました。これからブルーレイで見直します。(追記:オッペンハイマーを2回目見ることをモッペンハイマーというそうです)
米国と日本の一般人の原爆に対する温度差を考慮すると、本作品が与えたインパクトはかなりのものだったのではないかと、彼の国では。それこそアカデミー賞7部門受賞するぐらいの。前評判と違って、原爆の被害もきっちり表現されてますし。
伝記なのにちゃんとエンタメ演出
心が痛い。
人間として、日本人として。
実験・原爆・国家戦略と
大きく三つに分かれる構成は観やすく
そしてノーラン監督的複雑。
ジャンルは伝記なのだが
人生の描き方が動と圧なので飽きない。
テキストの説明も一切ない。
エンタメに振り切れる演出が圧巻。
反戦映画とも取れるけどそう謳いたくない。
でも、戦争の怖さや
日本に対する描き方も
日本人が観る観点と
米国人が喜ぶ観点を
バランスよくイギリス人監督が描いている。
3時間と聞いて「えー、長そう」
って思う人がいるかもしれないが
6時間を3時間に圧縮編集しましたって
くらいのリズム感なので
大人の方には本当にお勧めです。
熱と圧は凄いけど映画館(出来ればIMAX)で観るべき作品です。
胸糞悪い作品!
「胸糞悪い作品」だった!
どの様に、米国人は受け留め
どうして、米国アカデミー賞・作品賞を受賞したのだろうか?
日本では、意図的に、
米国公開から、8ケ月も遅れての公開となりました。
この事も面白くない。
また、当該作品は、2006年にピュリッツァー賞を受賞した
「原爆の父と呼ばれた男の栄光と悲劇」を
映画化しただけの作品です。
本当に、胸糞悪い作品でした、最低です!
Michi
天才だが愚かなオッピーの伝記映画
面白かった。
ノーラン監督の映像作品として、すばらしい完成度でした。3時間があっという間てすが、時間軸が入り乱れ、登場人物と台詞がめっちゃ多いので集中力が必要。
しかしながら、トリニティ実験成功〜原爆投下の場面は観るのがとてもつらくて涙出ました。でも、作品のメッセージとしては間違いなく反戦、反核だと思います。何故ここまで日本公開が延期延期になったのか…。
たしかに広島長崎の被害は直接描かれないが、オッペンハイマーが原爆の威力や被害状況、パンドラの箱を開けてしまったことについて衝撃を受けて悩んでいることは明らかにわかる(が、開発時点で分かっていたことであり、やや偽善っぽい)し、それをキリアン・マーフィーの抑制的な演技で見せたのは、個人的には良い演出だと思いました。
オッペンハイマーは物理学に限定されず、文理芸術問わず何でも出来て何ヵ国語も操れる天才であった一方で、神経質で情緒不安定なところがあり、女たらしで、好人物でもない。キリアン・マーフィーはぴったりでしたね。インテリで、ちょっと不健康そうで、でもなんか色気がある。
ジーンとの情事で、サンスクリット語読ませるところエロかったな…
後半はストローズとの対立と、赤狩り。あんまり詳しくなかったけど、ロバート・ダウニー・Jrの演技も、聴聞会の演出も見ごたえ十分。
できれば原作を一周してからIMAXで2回目に行きたいのだが間に合うかな〜。
なんとも
難しい視点を描いている
3時間20分は長く感じてしまった
ほぼ会話なので人を見失わないように必死だった
原爆の描写は凄かった
日本の国の名前が出てきた時は言い表せない気持ちになった
映画館の入り口に原爆の描写があるので注意の貼り紙が貼ってあって丁寧だなと感じました
難解
ノーランさんよぉ、また一回観ただけでは解らない映画を作りましたね、が第一の感想
スピルバーグならもっと解りやすく作りますよ、と
でも、ノーランはいつもそうだから…
「インターステラー」は自分の中では父娘愛モノとして、「テネット」は2回観てオモシロ動画として納得
シン・ゴジラのようにひたすら会話劇が続くなか、一番の見せ場として最終実験からの広島、長崎のあの日の場面は、自分も含め観客一同、日本人なら強く思う部分はある!
原爆投下の直接描写が無かった訳だが、もし被害描写があったら平静を装うのは難しかっただろう‥
作った側の論理、使った側の責任、日本人であるなら観なくてはいけない映画なのだが、これ難解すぎるからな~ノーラン!
エンドクレジット見ながら、フローレンス・ピュー、ケイシー・アフレック、マット・デイモン、お前ら出ていたのか⁉と(そういえば、君たちあの役ダッタノネ‥)
こうやって作って、リピーター増やす魂胆ダナ、ノーラン‼ とりあえずオスカーオメデトウ(・∀・) オワリ!
気が抜けない
場面展開が早く、セリフも矢継ぎ早なので、3時間気が抜けないです。原爆の開発は、戦争で日本を降伏させる大きな役割をしましたが、能力が大きく、それに伴う罪悪感をももたらせた。ロバート・ダウニー・Jrはイメージが全然違いましたね。
目と耳に、そして脳内、想像に訴える
観終わりました、3時間が1時間にしか感じない。
超一流のドラマにして、
見応えたっぷりの大衆娯楽映画のバランス。
ノーラン監督はますますレベルアップしてます!
今年いちばん見るべき作品。
広島長崎を想像させるあたりが、恐ろしくて闇が深い。
キャスティングの豪華さでちゃんとサービスしてますから、安心して楽しめる作品です。
みなさん、テーマのことばかり言及されてる人がたくさんで、映画自体のすばらしさを語らない。
そりゃ専門用語や情報量は一度ではわからないことばかりですが、それよりも、主人公の一挙一動についていけば、しっかり理解できると。
君たちはどう生きるかは、眞人について行けばいい。
眞人の感知した世界を味わう。
オッペンハイマーは、オッペンハイマーが、どう生きたかを掴むこと。
ラストエンペラーやケンラッセルが描いたマーラーを思い出しました。
映像をしっかりみて、音を聴いて、感じること。
自滅へのカウントダウン
ノーラン作品はインターステラーが好きで、他はそれほど・・といった感じ。本作、アカデミー賞を受賞し、かねてよりヒートアップしていた「ノーランやべぇ」「やっぱりノーランだよね」という世間的ノーラン熱が最高潮に達しているので、IMAXで鑑賞してきました。
セリフの応酬ばかりなのでかなり体力要りますが、アメリカのノー天気さというか、人類の愚かさみたいなものを感じましたね。追いつけ追い越せの独善的な思惑で、人類史上最も忌むべき兵器を生み出してしまった。そして今、AIがものすごいスピードで我々の生活領域に入ってきている。AIについてはもちろん恩恵も大いにあるけど、個人的にはターミネーターやマトリックスのような暗い未来しか浮かばない。物凄い発明なんだけど、世界的な影響や人類の存続に関わるリスクを犠牲にしてまで、何だか人類が自分たちの首を自ら絞めているような、自滅への道を歩み続けているような、そんな恐怖をこの作品を観て改めて抱きました。
そして原爆の恐ろしさは描いて欲しかったですね。オッペンハイマーの視点で描かれてるとか、セリフなどで言及してるとか、そういったことは分かった上でなお、やはりその思いは消えなかった。有名なフィルムメーカーが製作し、色んな人が観に来るであろう話題作だからこそ、その訴求力を以て少しでも観る人に原爆の恐ろしさを知ってもらえたのではと思ってしまいました。
あと、ノーラン作品て作りに関心することはすごくあるんですが、心から感動したっていうのは少ないです。単に相性だと思うんですが、どこか醒めた目で語っているというか、理詰めの人なのかなと。例えば、この作品オリバー・ストーンに撮らせてたらどうなったか。オールスターキャスト、政府の陰謀の犠牲者、何となくJFKに通じるところがあった気がします。彼の場合はもっと政府批判を強めて、思いを主要な登場人物に熱く語らせると勝手に思ってるのですが、ノーランにはそれがない。それが良いとか悪いとかではなく、ノーランの作家性みたいなのが改めて自分の中で腹落ちした、そんな鑑賞体験でもありました。ロバート・ダウニー・Jrは流石の演技でした。ゲイリー・オールドマン、チャーチルがトルーマンて・・こちらもカメレオン俳優の面目躍如ですね!
日本人を守る為に原爆を使った?
第一次世界大戦が終わって、外国で物理の勉強をするオッペンハイマー、林檎に青酸カリを入れて、先生を殺そうと?あれ?辞めた。何で?
じゃ、この先、人殺しでもやるのかなと想像。
でもオッピーさん、とてもいい人でしたね。
この映画、登場人物がめっちゃ多くて、会議ばかりしてました。話しながら過去と現在、カラーとモノクロが行ったり来たり。もし自分がアメリカ人だったら、知ってる名前、もっとあったかもなぁ。
第二次世界大戦中に核開発のリーダーに任命されて、研究用の街を作る。えっ!そんな凄い事してたんだ。
1番驚いたのは、オッピーとアインシュタインに接点があった事。それ本当?
戦争中でチョコチョコ軍服は出てきたんだけど、具体的な戦闘の話は一切なくて、戦時中って感じゼロだった。それ、本土を攻められていないほぼ勝ってるアメリカだからなのかな。
原爆はとてもやばい兵器と分かっていながらアメリカが開発をやめなかった理由に納得。このままでは日本は降伏しないから、戦争を早く終わらせる為に凄い爆弾を中くらいの街に2回使い、被害を及ぼし、降伏を促す。確かに正しい選択だっかも。ただ予想より被害がでかかった。それでオッピーは、水爆の開発にますます反対する。その後、ソ連のスパイ容疑を受けるんだけどね。
最後の方で、やっと日本の名前が出るようになって、ワクワクが止まらなかったです。
ずっと会議だったけど結構楽しめました。続編として、はだしのゲンが観たくなっちゃった。
American Prometheus
原作を読んだ上で鑑賞。登場人物も用語も多い為、ある程度把握しないとしんどいですかね。アインシュタインぐらいは分かりますが。容姿も寄せてある。似てる!ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr)もかなり寄せてる。トルーマンに至っては…
原作にかなり忠実であり、あの感じで3時間ダレずに観れるのはさすが。ただ、トリニティ実験の成功で頂点を迎えて以降の流れはやや失速感があります。オッペンハイマー自身の伝記ですからこの流れで正解ではあるが、映像で見るような展開ではありません。文字で見た方が引き込まれました。
産み出したオッペンハイマーや、それを実際に使ってしまったトルーマン。個人的には憎悪の対象でしかありません。しかし、単純にこいつらだけが悪魔だとは言えない複雑な…いや、案外複雑でもない…背景があります。こいつらがやってなくても、どうせ誰かがやったんだよ。人間だもの。
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