オッペンハイマーのレビュー・感想・評価
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予習と解説あって満点
面白かった。満足度は◎
登場人物が多い・複数の時間軸で内容が複雑なのでウィキペディアやYoutubeなどで予習しておけばよかった。観た後でも解説サイト・動画で分かりづらい点を補足すると納得できた。
ノーランらしく複数回みて楽しい出来になってます。
有名な科学者や歴史上の事件が描かれ、知的興奮に満ちた作品でした。...
有名な科学者や歴史上の事件が描かれ、知的興奮に満ちた作品でした。
3つの主要な時間軸が並行して流れる、クリストファー・ノーラン監督らしい、トリッキーな見せ方です。その内、ストローズ氏の閣僚指名の公聴会が白黒で、これは恐らくドキュメンタリータッチで第3者視点を表しているのでしょう。それ以外のカラーの部分は、全てオッペンハイマーの主観映像です。この主観映像は嘘や幻も描くし(スピーチの幻視やコミュニストの恋人の他殺を仄めかすインサート)、重要な場面を描かなかったり(彼が実際には見ていない広島・長崎の爆撃)します。
日本人にとって主な興味は、原爆の開発秘話や悲惨な結果、それに対する開発者の懺悔の日々・・・なので、戦後の政治闘争劇など余分。しかし、これはオッペンハイマーの伝記映画なので、そこが日米の観客の受容のギャップが生まれる(と興業主が心配した)所以かも知れません。
で、日本人として引っかかる点は他にもあって、オッペンハイマーは核廃絶論者では無いという事ですね。彼は、リアリストであり、生まれてしまった核兵器をなくす事など不可能であり、それはコントロールすべきだ、と考えている。(この後、それについてあれこれ書きましたが、映画と関係ないので省略します。)
些細な事ですごいなと思ったのは連鎖反応の話です。「核分裂で空気が連鎖反応を起こすと、被害が限りなく広がり世界が滅亡する・・・なーんて可能性は限りなくゼロに近いので多分大丈夫だろう」と言って、トリニティ実験にゴーを掛けてしまう。我々は原爆というものがどういう物か知っているから良いけど、この程度の安全意識で危険な実験を行っていた科学者たちに恐怖を感じます。
そこかしこに非人間的な感覚も挟みつつ、それでも人間としての苦悩を併せ持つオッペンハイマーという一人の人物を丁寧に描いた作品でした。
最後ですが、この映画のヴィランであるストローズ氏。映画の後でWikipediaを見ていたら、マンハッタン計画には携わっていなかった彼ですが、原爆の攻撃目標に関しては「最初は威嚇攻撃をすべきである。例えば日光のような象徴的な場所で」と発言していたらしい。(英語版wikiなので誤読でなければ。) 彼もまた複雑で面白い人物と感じました。
凝縮された3時間
相対性理論の時間の観念について、素人ながらにどこかで聞き齧っただけのことをぼんやり思い出す。
これほどの人生を3時間に凝縮して、長く感じるわけがない。
映画は世界を変えられる?
描かれるのは教訓でもなく、道徳でもない。
かつて、様々な思惑があった。
純度が高かったり、そもそもは尊かったり、利に偏ったり、大義によりかかったり。
その集積で生まれてしまった、世界中が無関係ではないもの。
この天才主人公は観客の誰とも違うけれど、彼の苦悩は本当に他人事かい?
ただただ人間を描きだす表現が、かえって問いを突きつけてくる。
自分の無知を思い知る。観てよかった。
この男が世界を変えてしまった。
共産主義や反ナチの思想を抱えながら、原子力の研究に没頭したオッペンハイマーは原子力爆弾の開発に携わることで様々な思惑に晒されることとなる。
開発チームに入ることを躊躇うメンバーは、物理学の成果が兵器であっていいものかと吐露するが、それをもつ最初の者がナチスであってはいけないと言い説得するシーンからもこの時点では前向きな姿勢が強い。
実験の成功のために注力し続けるが、いざ兵器が完成してそれらが生み出す犠牲を実感する。
一時は戦争を終わらせた英雄とされるものの、過去に公の場で恨みを買った男に立場を追われる謀略を進められる。
結果的に謀略は不当と世間に知られることとなるも、ある種原爆を作った報いとも言える業を消化するにはとても長い時間がかかったことがラストシーンからもわかる。
アインシュタインとオッペンハイマーが池のほとりで会話するシーン。研究が世界に与える影響と受ける報いを理解した上で、全てを受け入れる。
開発中に計算上現れた大気の連鎖爆発、"ほぼ0"は実験により"0"とされたが、核ミサイルの乱発による世界滅亡というあまりにも大きい"ほぼ0"を生み出してしまった。
化学に善悪なし
一人の天才と人類が歩んできた技術研究の進歩と歴史を考えさせられるドラマ。
科学者としての熱意とそれが生み出した悲劇と過ち、しかしそれだけでは無かった。
その時、彼が何を見て何を背負い、思ったのか。
アメリカ史観の映画だから賛否あって当然だし批判も間違いでは無い。
しかし、今作で描かれたテーマは今の世代と未来に強く響くものであったと思う。
勝利した側の論理でしかない
戦争の描き方は、勝った側と負けた側で異なってしまう。たとえ残虐なことをしていても、勝った側は勝つためには仕方なかったんだと言い訳めいたことをアピールする。原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーを描いた本作。原爆投下を仕方なかったと言われてしまうのは少し受け入れがたい。日本での公開が延びてしまったのもある意味仕方ない。でも観てみると原爆投下を仕方なかったこととして礼賛している感じでもなかった(原爆開発の成功に湧くシーンや戦争勝利後のスピーチでの盛り上がりには引いてしまうけど)。
戦争に関わった科学者を描いた物語がたまに公開されるが共通しているのは、科学者は知的好奇心には勝てないということ。やはり本作もそうだったが、本作では科学者としての名声や嫉妬も絡まった物語となっていた。後半、法廷もののような展開になってからは俄然目が離せなくなったが、中盤までは動きが少なく観るのが意外としんどかった。時系列の転換も含めて、彼が追求されることになった流れが微妙に分かりづらい描写になっていたのが少し残念。
一方、女にだらしないとか、妻との関係とか、人間オッペンハイマーの実像はなかなか意外で面白い。原爆を開発してしまった彼の苦悩と、人柄を描いた物語としてはなかなかよかったと思う。たしかに開発した科学者ではなく、実際に使うことを決めた者こそ責められるべき。トルーマン大統領との会合で2人の立場の違いを見せたのはとても効果的だった。トルーマンめ!
原爆投下を扱う話を聞くと考えてしまうことがある。日本だから原爆を落とせたんだろうなと。オッペンハイマーがユダヤ人てあることを示すシーンもあったし。ナチスドイツに勝つためとはいえ、多くのユダヤ人を殺すことになってもドイツに原爆を落とせなかったんじゃないか。やはり複雑な感情を抱くことになった映画だった。
頻繁に入れ替わる時系列と登場人物の多さに置いてけぼりになる場面もあ...
頻繁に入れ替わる時系列と登場人物の多さに置いてけぼりになる場面もあったが、最後までダレる事無く鑑賞 (最低限の知識は入れて鑑賞した方が良いかも) 被爆国の人間だから、どうしても「ロケット打ち上げバンザイ!」トーンで一緒には喜べないのよね。
長かった。
どうしても日本人なんで共感できない部分が有ります。仕方ない事ですが…
ある程度の知識がないとよく分からない映画で、難しかったです。
特に後半の裁判ではない裁判の長さには参りました。理解が追い付かず、理解できないまま進んで行くので退屈でした。
アカデミーが好きそうな映画ではあるし、そうなんだ!ってシーンも有るんだけど、3時間は流石に長過ぎたし、感動もなく、やっぱり私にはノーラン作品は合いませんでした。
所詮日本人は蚊帳の外
オッペンハイマーはマンハッタン計画の責任者だったため有名だが、プルトニウム原子爆弾の圧縮起爆原理を創案し、最も原爆の完成に貢献し、共産主義の理想に忠義を示した故にソ連に情報を流してしまったドイツ人科学者クラウス·フックスのほうが苦難に満ちたヒューマンドラマにふさわしい人物だと思う。クラウス·フックス役のクリストファー·デナムはそっくりだった。しかし、最後のほうでちょっと出ただけ。丸眼鏡の顔も丸い色白の人。パンフレットには掲載なし。残念。
そりゃ、キリアン・マーフィはいい男だし、興行的にも見込める。おいらもキリアン・マーフィー目当てで観たもの。実際のオッペンハイマーもキリアン・マーフィーに負けず劣らずの色気があるいい男でキャスティングは申し分ない。オッペンハイマーの父親はユダヤ系ドイツ人。この話はアメリカ原子力委員会の私怨に絡む内輪揉めがメイン。しかも長い。
日本人はまったく蚊帳の外。ロスアナモス研究所はいまなお先端科学技術の要所で、多くのアメリカ人の誇り。原爆は肯定的にとらえられている。オッペンハイマーのみならず、携わった科学者は少しは人命を奪うことに良心の呵責を感じていたかもしれないが、映画のシーンにあるように成功した喜びの方がはるかに勝っていたにちがいないのだ。第二次世界大戦中に原子爆弾の開発に着手したアメリカがイギリスと協定を結び、ドイツからイギリスに亡命した科学者などをオッペンハイマーのロスアナモス研究所に送り込み、原子爆弾の開発を促進したことには触れずに、オッペンハイマーと不倫関係にあった共産党員の精神科医ジーン·タトロック役にすぐ脱いじゃうフローレンス·ピューを当て、まったりした話にエロ場面を入れ、眠くなるのを防いだ感が強い。
フローレンス·ピューの固太りの体は嫌いじゃないけどさ、こんなエリート不倫男の開発した大量殺戮兵器にやられたと思うと悔しさ倍増。
ドイツが降伏したから、日本に使ったなんて言い訳。開発はかなり前から着々と行われていて、1943年には日本に落とす目的で開発を急いでいたんだから。水爆を作る余裕もあったし。しかも、オッペンハイマーはユダヤ系ドイツ人で、ドイツを故郷と感じていた。彼もまた時代の被害者であったと思うが、映画としてはあまりにアメリカの正当化に寄与し過ぎではいないか? クリストファー·ノーランの観るものを混乱させる時系列のいじりも悪意に思えてくる。
ソ連への牽制が一番大事で日本はただの舞台だった。黄色人種での人体実験だったんだと思う。爆心からの距離や被曝線量と人体への影響が測り易い都市を選んでいたんだから。ロスアナモスはもともとネイティブアメリカンの居留地だし。朝鮮戦争やキューバ危機で核が使われなかったのはクラウス·フックスの機密漏洩によりソ連がアメリカに遅れをとらずに核兵器を実戦配備したため、冷戦下の均衡が保たれたためだと指摘する人も多い。割を喰ったのは日本人だけ。そして、瞬く間に中国が核を保有し、北朝鮮がロシア、中国の鉄砲玉になって、極東アジアの平和を脅かしている現実。この映画を観るためのお金があったら、赤十字やユニセフに寄付したほうがいいと思う💢それと、ロバートダウニーJr(ストローズ役)のアカデミー賞授賞式の振る舞いも嫌だよね。早く終映にしてほしい。
【追記】1200円もするパンフ買ってしまった。読んでもピンとこない内容だった。
NHKがアメリカのテレビ局が作成したマンハッタン計画を正当化するような内容の番組を独自の解説を添えることもなくタダ流しするのは怠慢過ぎると思うのである。
前章とか序章とかなくて、いきなり飛ばす感じ 最後まで全く息抜きでき...
前章とか序章とかなくて、いきなり飛ばす感じ
最後まで全く息抜きできないんだけど
ちょっとぼーっとしちゃっても何故か追いつける
原爆がどうのとかじゃなく、
ドキュメントとして良かった
彼らはボタンを押した。多くの人は「優位と破滅は紙一重」と気がつかない。
ある程度は事実関係の知識は持ってたが
その程度のレベルじゃ追いつかなかった。
それでも3時間は長くは感じなかった。
できれば「ネタバレ」を気にせずに
全ての登場人物や内容を押さえておくこと。
それがこの映画を一番楽しめる方法だと思う。
ネタがバレてもカット割までは分かるまい。
全編に渡り監督は問いかける。
手にしてはいけないものの正体を。
権力者は優位に立つことが全てと思い
調査し、策略し、罠を仕掛ける。
「核爆弾」という兵器を作り上げ
名を上げ、金儲けをし、優位に立つが
それが破滅への道と気がつかない。
学者は常に新しいものに挑戦する。
没頭し、探って探って探りまくる。
敵国と競う様にソレを作り上げ
ソレが完成した途端、恐れを感じる
オッペンハイマーの気付きと
アインシュタインの顔が全て。
彼の描いた、とある破滅のシーンは
今ある核を使えば簡単に現実化する。
※
指導者の機嫌で核が使われそうになってる今このとき、「後ろ向き」の人類を思い知る映画
結局人類の多くは後ろ向きに歩いているのではなかろうか。
と言う意味ではなかったんだろうけど→TENET。
事前情報何も入れずに見に行った。
マット・デイモン?マット・デイモン?マット……デイモン!
あらまー。
フレディ(マーキュリー)やった人しかわからなかった。
ミスター・ロレンスなんてわかるわきゃないでしょ。
トルーマン、一瞬ゲイリー・オールドマンが中の人?と思ったがそんなことはなかった、と思ったらやっぱ本人だった!遠視のメガネ効果。
ほんの数分あるかないかのカットのためにとんでもない予算が投入されている。
が、IMAX専用カメラ史上最も狭い部屋(推測)は予算削減のために組んだんじゃないよね?
そして現物主義の監督がモノホンを爆発させてたりしないよね?
するわきゃないとはいえ、現物を落っことされた我々からしてみると「それじゃスケール感が伝わらない」「ショボい」と思えてしまう映像だった。
音響はエグい。
「わー!すご〜い!」というより「うわぁぁあぁ」という感じ。
音に過敏な方々は注意が必要。
東京大空襲で10万人死んだ、という情報の提示は予期していなかった。
広島と長崎が風化しそうで、日本人ですら現在の港区青山あたりも焼け野原、ってのを知らない人が増え続けてる状況でこの情報はアメリカ映画の脚本として何を意味しただろう。
「この世界の片隅に」がまことに日本らしい日本側視点としたら、オッペンハイマーはまことにアメリカらしいアメリカ側だったのかもしれない。
ケネディ情報はダサい蛇足だと思った。
功罪を冷静に観れるか?
多感な時代に長崎で生活したから、「原爆の父」にはすごく興味があった。科学者としての未知への追求と裏腹の葛藤が分かって少しは気持ちが安らいだ。ただ爆発力だけでなくその後の被害まで創造できたのか? そこが何とも許せなく切ない気持ちになる。あえて惨状を表現しなかったのは語り尽くせないのがその理由と理解したい。
この作品では 矮小な経緯で天才科学者を葬った点にも重点を置く。あえて争わない主人公の思いは何だったのか。正直に感情をむき出す奥さんの方がよほど分かりやすい。エミリー・ブランドはこういう芯の強い役が似合う。
科学者の視点で描かれる、原爆という人間史上最悪の兵器。
小さい頃に近所で企画され、親の手を握りしめて見た原爆写真展。そして修学旅行の広島・原爆ドームで改めて実感した悲劇。幼い時に受けた、あの衝撃的な日本の描写は本作には無い。
だがロスアラモスで行われた『マンハッタン計画(トリニティ実験)』、この実験で起こる事と頭の中にあるイメージが重なる瞬間。まさに息を呑むと言った表現がピッタリ合う。そして数十秒後、思い出したかの様に遅延して襲い掛かってくる現実。
原爆開発の他国間競争、そして時間との戦い。開発している科学者達とは別のベクトルで進んでいく、戦争という誰にも止められない国の暴走。
キリアン・マーフィー演じるオッペンハイマーの乏しい表情は、本人もきっとそうだったと何の疑いもなく受け入れてしまう程のハマり役だった。
本作で広島や長崎への投下描写が無かったのも、オッペンハイマーの視点からすれば納得。それでもほんの一瞬、あの酔っぱらいの嘔吐までの数シーンの描写をオッペンハイマーに絡めて入れてくれたノーラン監督に感謝。人間の想像力を最大限に活用して、あとは個々人に任せてくれた。
そして圧倒的な演技力で本作の主演を奪う程の勢いだったロバート・ダウニー・Jr.演じるストローズ。本作を観るまで知らなかった人物だったが、2つの伏線に見事にやられた。
"赤狩り"や"共産党"の予備知識だけは、鑑賞前に必要かも知れない。
何が良くて、何が悪いのか。何処に所属するとどうなるのか。この時代だからこその歴史背景がわかると、オッペンハイマーが翻弄されてしまった意味もある程度は理解出来ると思う。
(という自分も一回の鑑賞だけでは全く理解しきれませんでした(笑))
日本人の根底にある原爆被害国という意識は一旦横に置いておいて、科学者という1人の人間が戦争に翻弄される人生を擬似体験する3時間。新たな視点で原爆を考えさせられた素晴らしい作品。
ノーラン監督お得意の時間軸、カラーとモノクロで複雑に絡み合うが、絶妙な脚本で混乱一歩手前ギリギリで楽しませてくれた。何度も観たくなる傑作。
恐ろしい作品でした。
決して投下肯定作品ではなかったし、氏を美化もしてない。ノーランを信じててよかったという部分と、いや原爆の悲惨さはこんなものじゃない…という気持ちとで心がぐちゃぐちゃに。映画として素晴らしかったのは間違いない。投下のタイミングからは涙止まらず。投下の報告でこんなに泣くとは自分でも驚きでした。わたしも親も戦後生まれ、身内にも被爆者はいません。それでも、まぎれもなくわたしは被爆国に生まれたひとりなんだと思った。
「広島・長崎」と誰かの口から出るたびに胸がえぐられる思い。2度とこんなことで(攻撃目標として)日本の地名が出ることがないように心から願う。直接凄惨な被害を描かないからこそ「彼ら」にとっては開発のある時点、軍事作戦のある時点に原爆投下があったにすぎないのだ、そして「敵国」へのその成功を熱狂的に賞賛する人々…それらが逆説的に原爆や戦争の恐ろしさをかえって増す。…が、「直接的に描かないことで恐ろしさや重大さが伝わる」のは被爆国のわたしたちだからかも…?この描写で米国や非被爆国の人たちに恐ろしさが伝わるか…はわからないな。実写にこだわるノーランだけど、実験爆破シーンはCGを使った方が良かった気もする。あんなものじゃないと思うで。
原爆を落とす都市、日時、爆破高度までを、落とされる側と同じ「人間」が決める、という究極の傲慢さと恐ろしさに身震いした。そんな権利、世界中の誰にもないのに。「目を背けた」オッペンハイマーの一瞬の描写。死傷者の数。壮大な「過ち」「愚かさ」を描いた作品でもあると思う。
ただ、戦後の部分が少し長いようにも感じたのと、フローレンス・ピュー氏が胸をさらす必要があったかな?というのは気になりました。これは他の作品でも感じることで、エロスやヌードをテーマにしている作品以外で、女性のバストトップをさらす必要性があるのか、最近はいつも思っています。オッペンハイマーの生々しい人間的な部分を描写したかったのかもだけど、それなら別に裸の背中を映す、とかでも充分伝わるだろうと思うので。
見終わったらシワシワ
割と人間ドラマだよと聞いていたがそんなことなかった。ちゃんとプロメテウス的世界を描いていたと思う。映像と主題とが、時間を操作したがるノーランの作家性と(ようやく)うまく一致したのではないか。/キリアン・マーフィもRDJもよかった。RDJに至っては、あとから「あれか!」となる始末。/善悪なんてそう簡単にはわからないこと、未来は予測可能か・コントロール可能か、ということを通して人間というもののダメさと限界を突きつけられ、それは当然こちらに残された宿題になるので、見終わったらシワシワである。
(2024.4.2追記)原爆の惨状を描いてないという批判もあり、そうかもしれないが、それを直接描かなかったのに、原爆なんかにそうそう手を出すもんじゃねえ、と思わせたのがこの映画の凄みではないか。
(2024.4.23追記)原爆の被害の惨状に関する描写についてしつこく考えていて、アジアへの軽視みたいなことも考えたんだけど、それでいうと『バービー』の方がそれを感じたんだよなあ。先のアカデミー賞受賞式でも話題に上がっていた、“そもそも視界に入ってない”みたいな意味で。
うーん、これはさすがに無理があるなぁ。
ノーラン監督の作品はこれまで
なぜか食指が動かず本作が初。
感想を一言でいえば、寅さんの名台詞
「てめぇさしずめインテリだな」
’
わかりにくさは予習を相当したので
クリア。
映画は、天才科学者の光と闇にスポットを当て
時代が変われば世間の評価がガラリと
変わること、核の虚しさ、無意味さ、
「一人を殺せば殺人だが、百万人を殺せば
英雄である」の怖ろしさを描こうと
しているのだと思う。
’
だからゆえ、なるべく社会や政治的背景を
省き、オッペンハイマーに寄せたのも
理解はできる。
後半は、サリエリとモーツァルトを彷彿と
させる対比も有りだろう。
’
けれどことは原子爆弾だ。
政治的駆け引きの中ですべて行われた大惨事、愚行を
天才の内省だけで追いかけるのは、やはり片落ち
だろう。
’
せめてパート1,2と分けてもっと歴史も含め
綿密に描いて欲しかったなぁ。
’
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