「Near Zero」オッペンハイマー Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
Near Zero
政争が題材になり、彼の人となりや生き様が世知辛い世界においてどのように取り扱われるのかに焦点がいってしまう。高慢で鼻っ柱が高く、しかしひとつには打ちこめず目移りもし、野心もあるがただ不器用である。だからって悪いはずもなく、それも人の道であって、卑下するべきものでもない。
政争の仇役となったロバート・ダウニー・Jrが名演である。こういう奴が食い物にする。巡り巡って墓穴に嵌るが、その展開は別にどうでもいい。結局は歴史が評価をする。この男の名は記憶に残らない。
原爆開発や投下に関する道義的な議論は触れるが突き詰めてはいない。肩透かし感はあるが、政治的判断というのはいずれにせよ、オッペンハイマーの演説に熱狂的な声をあげた一般人に帰結する所であり、象徴的にその肌を熱線で焼いた絵を以って、制作者は応えたように思う。
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